ホーム ハラスメント なぜか年々増えているスポハラ(スポーツハラスメント)相談。約半数が小学生、最多は暴言

なぜか年々増えているスポハラ(スポーツハラスメント)相談。約半数が小学生、最多は暴言

この記事のサマリー

  • 日本スポーツ協会(JSPO)への相談件数は、2024年度は過去最多の536件
  • スポハラ相談で一番多いのが「暴言」、次いで「パワハラ」と「暴力」
  • スポハラ被害者の約8割が高校生以下で、小学生が48%

目次

スポーツ関係の仕事をされている方、ご自身がスポーツ選手である方、お子さんが部活やクラブチームなどでスポーツに関わっている方は、スポーツ現場でのハラスメント(スポーツハラスメント、スポハラ)について、どのような印象をお持ちでしょうか?

公益財団法人 日本スポーツ協会(JSPO)は2025年4月16日に、スポーツの現場での暴力や暴言などの不適切行為(スポハラ)に関する窓口に、2024年度には過去最多の536件の相談が寄せられたと発表。最も多かった前年度の485件を上回りました。

以下、日本スポーツ協会(JSPO)によるスポハラ関連のデータを見ていきます。

日本スポーツ協会(JSPO)の相談窓口データ(2024年度最新)

日本スポーツ協会(JSPO)は「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」を設置し、スポハラに関する相談を随時受け付けています。
冒頭で触れたとおり、相談件数は増加傾向にあるようで、中身を見ていきましょう。

以下、画像出典:日本スポーツ協会(JSPO)「暴力根絶に向けた取り組み」

相談件数は増加傾向、2024年度は過去最多の536件

2023年度の相談件数は485件で、2022年度(374件)の約1.3倍でした。
2024年度にはさらに増加し、536件と再び過去最多を記録しました。

増加傾向の背景には、

  • 一時、新型コロナウイルス感染症の影響により減少したものの、その後はスポーツ活動などが再開したこと
  • 「NO!スポハラ」活動の展開相談窓口の認知度向上

があるとのことです。

なお、日本スポーツ協会(JSPO)の活動や相談窓口に関する調査については、のちほど別のデータを見ていきます。

相談内容は「暴言」が最多

2023年度は約40%、2024年度は41%が「暴言」に関する相談でした。暴力に関する相談の割合は年々減少傾向にある一方、暴言に関する相談が増加しています。

次いで、パワハラ(暴力・暴言を除く)が18%、暴力が13%となっています。暴力には「頭をたたく」「ボールを投げつける」といった内容が含まれていました。

筆者は、スポーツのクラブチームに所属し、熱心に取り組んでいる子どもを持つ親の身です。普段の練習中はまったくといってよいほどありませんが、いざ試合となると、チーム全体に対して、時には特定の子どもに対して、強く鼓舞するような声がけがあります。これをパワハラや暴言と受け止める子どもや保護者がいないとも限りません。

また、試合での選手起用についても、何らかの不満を抱き、それをパワハラなどに結びつけて考える保護者がいるかもしれません。

明らかなハラスメントは論外としても、指導者と子ども、指導者と保護者、子どもと保護者が、チームの指導方針や育成に関する考え方をきちんと共有し、理解し合うことが大切であり、スポハラ自体の抑止にもなると常々考えています。

被害者の約半数が「小学生」

2024年度のデータでは、スポハラ被害者の約8割が高校生以下で、うち小学生が48%を占めています。相談者(通報者)は保護者からの相談が6割以上(63%)を占めています。

なお、2014年度以降の累積データでは、被害者の約7割が未成年者で、そのうち4割が小学生でした。2024年が48%ですから、低年齢化がいっそう進んでいるといえます。

指導者から高圧的な指導を受けても声をあげにくい立場にある子どもたちが、被害に遭いやすい傾向があるといえそうです。ただし、すでに説明した「保護者の受け止め方」も関係していると考えられ、それが保護者からの相談が6割以上という数字にも表れています。

また個人的には、自分で課題を見出し、練習に取り組むという姿勢の違いもある思います。小学生はまだ、練習への主体的な取り組みという点で十分ではないことが多いでしょう。中学生、高校生と年齢が上がるにつれて、指導者からの強い指導がなくても、練習に取り組める人が多いはずです。実際に、相談件数は小学生が48%に対して、中学生は18%、高校生は12%、大学生は1%となっています。

近年のスポーツ指導では、年齢が高くなればなるほど「自分で考えさせること」を重視します。たとえば、筆者の親としての経験では、子どもたちが試合に負けたとしても、「どうして負けたのか」「どのような課題があるのか」を子どもたちに話し合わせる指導をよく見ます。とはいえ、スポハラ被害の相談件数が増えていることは確かであり、指導者の性格、チームの方針などはもちろん、スポーツの種類によって温度差が大きいのが実情でしょう。

なお、日本スポーツ協会(JSPO)は、小学生・中学生・高校生の相談が多数を占めていることを踏まえ、2022年7月に子ども(未成年)向けの相談窓口も開設。2023年度は44件、2024年度には61件の相談が寄せられたそうです。

「NO!スポハラ」活動等に関する認知度等調査(2025年1月実施)

同じく、日本スポーツ協会(JSPO)は2025年1月に「NO!スポハラ」活動等に関する認知度等調査を行いました。

一般層(3,000人)と公認指導者等(5,681人)を対象にオンラインで実施。概要は次のとおりです。

  • JSPO相談窓口の認知度は、一般層では8.8%と低い一方、公認指導者等では70.8%でした。JSPOは2027年度までにこの認知度を一般層20%、JSPO関係者85%に向上させる目標を掲げています。
  • 一般層の23.7%(約4人に1人)、公認指導者等の52.9%(約2人に1人)が「スポハラを受けたことがある」と回答しました。被害内容で最も多かったのは、いずれの層でも「暴言」でした。
  • 「指導者による不適切行為はいかなる理由でもあってはならない」と考えている人の割合は、一般層で54.0%公認指導者等で71.8%でした。一方で、競技力向上を理由に不適切な行為を容認する意見も少数ながら存在しました。JSPOは2027年度までに「いかなる理由でも、指導者・コーチによる不適切な行為はあってはならない」と回答する割合をJSPO関係者85%、JSPO関係者以外80%にすることを目指しています。
  • 「スポハラ」という言葉を聞いたことがある人の割合は、一般層で21.4%公認指導者等で83.5%となっており、認知度に大きな差が生じていることが。明らかになりました

調査結果について詳しく知りたい方は、以下のPDFをご覧ください。

参考:日本スポーツ協会(JSPO)「NO!スポハラ」活動に関する認知度等調査(PDF)

まとめ

以上、日本スポーツ協会(JSPO)によるスポハラ関連のデータを見てみました。

個人的には、昔ながらの「スポ根」的な指導を見かけることはほぼ皆無なので、スポハラの相談件数が増加傾向にあることは意外でした。また、相談者の63%が保護者という点は、すでに説明した「指導者との相互理解」が不足していることも一因となっていると考えます。

今回の記事に興味を持った方は、以下の過去記事もぜひお読みください。

過去記事:世代連鎖するスポーツ体罰。ハラスメントをなくすために指導者や保護者に求められる姿とは?

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