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男女格差指数が156カ国中120位の日本。あらためて考えたい「ジェンダーバイアス」とは?

この記事のサマリー

  • 2021年の男女格差指数ランキングで、日本はG7で最下位の156カ国中120位
  • 1969年6月27日を皮切りに始まったLGBTQ+の解放運動
  • アメリカではたった50年前まで、性的指向を理由に不当逮捕や不当解雇が横行
  • 身体の「性」に縛られない、性自認(心の性)と性的指向の多様化
  • 「男・女」ではなく「個人の能力や魅力」を考えることが平等のきっかけに

目次

世界経済フォーラム(World Economic Forum/WEF)において、2021年の男女格差(ジェンダーギャップ)指数ランキングでは、日本はG7で最下位の156カ国中120位であると発表されました。

参考男女共同参画 「共同参画」2021年5月号

世界経済フォーラムによると、ジェンダーギャップ解消までに必要な期間は135.6年と試算されており、トップの国々との遅れの差は100年近くあるということになるでしょう。

ジェンダーギャップやジェンダーバイアスを生む根本原因とされているのが、「女性とは」「男性とは」という思考であり、「ひとりの個人」ではなく「女性」「男性」といった属性で他人を見ていることに問題があるのかもしれません。

これは男女格差だけではなく、多様性(ダイバーシティ)への遅れでもあり、SDGsの「ジェンダー平等を達成しよう」という2030年までの目標達成の遅れにもつながります。

世界各地が虹色に染まる6月

世界のさまざまな地域で6月が虹色に染まる理由をご存じでしょうか?

6月は、アメリカをはじめ世界各地で「プライド月間(Pride Month)」とされ、LGBTQ+の権利について啓発をうながすさまざまなイベントが開催されます。

そもそも「プライド月間」は、1969年6月27日にアメリカのゲイバー(当時はLGBTQ+の多くが「ゲイ」と表現されていました)「ストーンウォール・イン」で起きた警察の不当な踏み込み捜査と、そこに居合わせたLGBTQ当事者たちが初めて警官に真っ向から立ち向かい、5日間にも及ぶ騒動となった事件が始まりです。

これは、たったの50数年前の話です。

当時のアメリカではほとんどの州でソドミー法(「自然に反する」と見なされる性行動を違法とし、同性愛者が逮捕される根拠としていた)が適用されてあり、「同性愛者に酒類を提供することが違法」とされ、「同性愛者というだけで突然解雇される」ということが日常的に起こっていました。

愛情を向ける対象者が同性であるだけで、お酒の禁止、会社で働くことができない、最悪の場合、逮捕や罰金……。

もしマジョリティ(多数派)と呼ばれる性的指向をお持ちの方や、「わざわざ他人の性自認や性的指向について大声をあげてパレードしなくても」と思う方も、「あなたがその人を好きなので逮捕します」と言われることを想像すれば、その理不尽さをより身近に感じられるかもしれません。

ゲイからLGBT、そして「LGBTQ+」への変化

前述のとおり、昔は性的マイノリティのほとんどが「ゲイ」と表現されていました。

近年では「LGBT」という言葉が浸透し、さらには「LGBTQ+」や「SOGI(性的指向・性自認、Sexual Orientation and Gender Identity)」と表現されるようになり、誰にとってもいっそう「自分ごと」に感じられるようになってきました。性という枠を超えて、一人ひとりの性質という意味になっていっています。

あらためて、LGBTQ+は同性愛者だけを示す言葉ではありません

  • L = レズビアン
  • G = ゲイ
  • B = バイセクシャル
  • T = トランスジェンダー
  • Q = クエスチョニングまたはクィア
  • + = 他のさまざまな性的指向

LGBTQ+はこれらの組み合わせた頭文字であり、もともと使われていた恋愛感情や性的欲求(LGB)、体と心の性の不一致(T)だけではなく、より広い性質(Q+)を示す呼び方へ変わりつつあります。

さらに、最近では多数派も含めたすべての人が個々に持つ属性として「SOGI」という言葉が使われるようになった、という経緯があります。

性的指向・性自認、性表現の幅広さを知る必要性

性的マイノリティという言葉も、次第に古くなっていくかもしれません。

性のあり方が多様化していく中で、時には混乱し、考えることをやめたくなったり、面倒くさく感じてしまったりするでしょう。

しかし、大切なのは用語を覚えることではなく、言葉を通して「こういった考えの人もいる」という認識を広げるきっかけとし、自分自身を深く知ったり、身近な誰かをいっそう理解するための栄養にすることです。

性自認(心の性)と性表現(ファッションなどを含む見た目の性別)は切り離して考える必要があります。体の性別と異なるファッションを好む方(女装家や男装家などと言われます)が、トランスジェンダーというわけではないのです。

相手を「個人」ではなく、目に見える「性別」で括ってしまうことはセクハラ、ジェンダーハラスメント、SOGIハラスメントを生みやすい環境につながります。詳しくは、以下の過去記事を参考にしてみてください。

過去記事ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは? セクハラとの違い、LGBTやSOGIとの関係を解説

目に見える性(ジェンダー)のバイアスを取り払い、無意識のうちに誰かを(場合によっては、あなた自身の心も)傷つけることのないよう、性的指向と性自認の種類の代表例を簡単に紹介しますので、参考にしてみてください。

性的指向の種類(一部)

ヘテロセクシュアル

男性と女性の間(異性間)での親愛や性愛
自分とは異なる性別の相手に、恋愛感情や性的欲求を抱く性的指向。

レズビアン

自分は女性であると感じている人が、恋愛感情や性的欲求の相手が女性である性的指向。

ゲイ

自分は男性であると感じている人が、恋愛感情や性的欲求の相手が男性である性的指向。

バイセクシャル

自分自身に感じている性別に関係なく、恋愛感情や性的欲求の相手の性別を問わない性的指向。

アセクシュアル(エイセクシュアル)

他者に対して性的欲求や恋愛感情を抱かないという性的指向。

ノンセクシュアル

他者に対して性的欲求は抱かないものの、恋愛感情は抱くという性的指向。

クワセクシュアル(クォイセクシュアル)

自分が他者にいだく好意が恋愛感情か否か、また自分が他者に感じる魅力が性的魅力か否かを判断できない、もしくは判断しない性のあり方。

デミセクシュアル

基本的に性欲を抱くことはないが、強い愛情や友情を持った相手に対してなど、ごく一部の場合に性的な欲求を抱くこともある性のあり方。

性自認の種類(一部)

シスジェンダー

心の性(性自認)と体の性(身体的性)が一致しているセクシャリティ。
性表現(ファッションなど見た目の性別)は関係なく、必ずしも心の性の見た目を好むわけではない。

トランスジェンダー

心の性(性自認)と体の性(身体的性)が一致していないセクシャリティ。
※ シスジェンダー同様、性表現(ファッションなど見た目の性別)は関係なく、必ずしも心の性の見た目を好むわけではない。

クエスチョニング

自身の性自認や性的指向が定まっていない、もしくは意図的に定めていないセクシャリティ。

Xジェンダー

以下のようなタイプがある。

中性:男性と女性の間だと自認している
両性:男性かつ女性だと自認している
不定性:ある時は男性、ある時は女性として流動的な自認を持つ(性表現は含まない)
無性:男性でも女性でもないと自認している

ノンバイナリー

男女のいずれにも属さない(あるいは流動的)と考える性自認を持ち、性表現(見た目の性別)にも男性・女性の枠組みを当てはめない。

Xジェンダーと近いのですが、以下の文章が非常にわかりやすいので、引用します。

ノンバイナリージェンダーとは
ジェンダーバイナリーとは、男性と女性の2つのみに性別を分類する考え方。この単語の頭に、否定の意味を持つ「ノン(non)」をつけたのがノンバイナリージェンダーです。
ノンバイナリーは性自認と性表現を表すセクシャリティのため、性的指向や身体的性は問いません
Xジェンダーは性自認のみが男女の枠組みにとらわれないのに対し、ノンバイナリーは性自認と性表現の「2つ」が男女の枠組みにとらわれない。

引用ETHCALCHOICE「ノンバイナリーとは?Xジェンダーやクエスチョニングとの違いも解説」

クィア

すべてのセクシュアルマイノリティを包括した言葉

ジェンダーレス

英語の形容詞「genderless」に由来し、性差(男女の社会的な差)が取り払われていること、および、取り払おうとする考え方のこと。

「ジェンダーレスファッション(ヘアー)」など名詞の修飾にも用いられます。

自分自身や上記のような他者の性自認そのものを表現する言葉ではなく、形容詞としてあくまで価値観や考え方を示す言葉。

まとめ

男女格差(ジェンダーギャップ)指数ランキング3位のフィンランドでは、子どもたちに対する幼いころからの男女平等の教育が浸透しているといいます。

そして、世界最年少34歳の女性首相として注目されたサンナ・マリン首相(大統領に次ぐナンバー2)が現在も活躍しています。さらに驚くべきことに、フィンランドでの女性首相はサンナ・マリン首相で3人目となるのです。

世界各国で女性が国のリーダー的存在になることが非常にセンセーショナルに取り沙汰されていましたが、最終的には「女性の首相」と特筆されないような時代が、本当のダイバーシティといえるでしょう。

前述のとおり、以前は男女の2つしかなかった性別は、さらに広がりを見せています。

身体的な違いが生んでいた差は、モノ(物質)で解決できる程度の微妙な差異になってきました。

「あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんは全自動洗濯機のスイッチを押して洗濯、おばあさんは芝刈り機とともに山へ芝刈りに行きました」という日常も、すでに現実にあるはずです。

性別というバイアスにとらわれることなく、「男・女」ではなくそれぞれが「ひとりの人間」として能力や魅力が尊重される世の中になるとよいですね。

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