恋人、パートナー、上司、同僚、お客様、知り合い、親子、家族……どんな間柄であっても、相手の人間性や性格、本質的な性質(身体的特徴や生き方など)を否定することは、その人の尊厳を踏みにじる行為です。
人格否定は、たとえ怒りで我を忘れていても最もしてはいけない行為であり、してしまった場合には一瞬で相手との関係が終わる可能性があります。また、されてしまった場合には心を壊されてしまう前にその相手との距離を見直そうとするでしょう。
昨今では「パワハラ」「セクハラ」「モラハラ」「DV」「虐待」などのハラスメントの中で、人格否定に該当する言動がなされることがあります。場合によっては裁判沙汰となり、「罪」として裁かれることも。
では、どのような言葉が人格否定となってしまうのか、なぜしてはいけない言動なのか、あなたは理解していますか?
もし「なんとなく自分は言わないだろう」「そう言われてしまうのは自分が悪いから……」と考えている人こそ、要注意。
大切な相手を傷つけないために、あるいは相手の心無い言葉で自分自身の尊厳をないがしろにしないために、ぜひ一緒に考えてみましょう。
人格否定の「人格」とは?
そもそも人格否定とはどのような意味でしょうか?
よく「人間性や性格、本質的な性質を否定すること」と定義されてはいるものの、まだ少し抽象的ですね。
よく似た言葉で「性格」という言葉がありますが、こちらは行動や思考といった狭い意味を持ちます。
人格とは、生まれ育った家庭環境や国籍、身を置いた地域や集団、身体的な差といった社会的な要因であり「本人が選択することができない事情から生じた個性」というと、イメージしやすいのではないでしょうか?
もちろん、その環境の差から人は経験を積み、それが未来の行動や思考に影響を及ぼすのですから、「人格」の中には「性格」も含まれるのです。
つまりは、それらを否定することは、「本人がどうこうできる問題のラインを超越した干渉(否定)」となるのです。
自分がどうこうできない問題を批判される……というと、理不尽さを理解しやすいですね。
それでいて、人格否定の場合は「本人がどうこうできる問題」ではないことに加え、「本人の今までの人生で積み重ねてきた時間」を否定することにつながってしまうのです。
投げかけた言葉や相手の性格によっては「すべてを否定された」と受け止められても不思議ではありません。
ここまで来ると「大袈裟な」と思う人もいるかもしれません。
しかし、そんなあなたが言われて一番嫌な言葉はなんでしょうか?
それはきっと、あなた自身ではどうしようもないけれど受け入れ難いポイントなのではないでしょうか?
そのポイントは、人によって千差万別なのです。
人格否定の具体例
冷静なときは理解していても、頭に血が昇っているときは言葉選びが雑になってしまいがち。怒りに支配されているとき、「これは相手自身がどうにかできる問題だろうか」と考える余裕はないかもしれません。
また、激昂した人を目の前にして「これは自分にはどうにもできないから、気にしない」なんて冷静にいられる人も少ないでしょう。
そんなときのために、頭の引き出しにいくつかサンプルをいれておくのも悪くありません。例文があることで、似た言葉を耳にしたときに頭の中でエラーを察知しやすくなります。
なお、まさにいま人格否定の言葉に傷ついている人にとっては、文章を目にするだけで落ち込んでしまう可能性があります。そんな方は具体例は読み飛ばし、次の「もし人格否定をされてしまったら?」にお進みくださいね。
1. 「性格」を理由にした否定
- 暗いから人間関係(友人作り・恋愛や結婚など)がうまくいかないんだ
- のろまだから◯◯(仕事・勉強・運動など)ができないんだ
- 大ざっぱな性格だからミスをするんだ
- そんな性格だから〇〇なんだ
2. 「生まれ・育ち」を理由にした否定
- 育ちが悪い
- 親の顔が見てみたい
- やっぱり〇〇(国や地域名)人だね
- お金持ちの人(貧乏人)はやっぱり〇〇だ
- 高卒(中卒・◯◯大卒などの学校名)だからバカなんだ
※ 学歴や、家庭の収入に関することも含まれます。
3. 「容姿・性別(性自認も含む)」を理由にした否定
- 太っているから〇〇なんだ
- 美人(かわいい)から〇〇だ
- 女(男)のくせに〇〇だ
- やっぱりオカマ(ゲイ・レズビアン・バイセクシャルなどLGBTQ+)は変わっている
4. すべてを否定する言葉
- だめな人間
- どうしようもないやつだ
- 生きてる価値なし
- そんなんでこれからどうするの?
- バカだから
- 頭が悪い
- だからお前は信用できない
もし人格否定をされてしまったら?
例文をみてみると、自分ではどうにもできないことである上に、多くが属性に対する偏見にもとづいて否定的な発言をしていることが見えてきたのではないでしょうか?
偏見の塊のような言葉は、実はあなた自身に対するものではなく、属性に対する偏った見方なのです。
基本的には「気にしない」のが一番とはいえ、そうもいかないのが人間の心。
もしどうしても気にしてしまう人も、「自分にはどうにもできないことだから気にしない」ということを強く念頭において、以下の5つの中でできることを試してみてください。
1. 言われた日付や内容を記録しておく
人格否定は、パワハラ、セクハラ、モラハラなどのハラスメントに該当します。
もし相手がビジネス上の付き合いや婚姻関係などの人であり、今後もし訴えを起こそうという場合には記録が大切な証拠になります。
また、記録に残すことであなた自身が冷静になり、相手との心の距離をしっかりと取れるようになる効果もあります。
2. 嫌悪感など、不快に思っていることをしっかり相手へ反論する
人格否定をした相手は感情的になっていることが少なくありません。相手をどれだけ傷つける言葉なのかを考えていない可能性があります。
あるいは、相手に対して自分の優位性を示したいケース(いわゆるマウンティング)もあり、我慢をせずにしっかりとした拒絶や反論を見せることがとても有効です。
その場ですぐに言い返せない場合にも、「あのときにあのように言われて悲しかった」と冷静に伝えることはとても重要です。
3. 相手との距離を取る
言い返しができない相手には、物理的な距離を取りましょう。
会社でのパワハラの場合には配置転換や転職を検討すること、友人関係の場合は相手との連絡を徐々に減らすことがベターです。
心配をしなくても、あなたの人格を否定せず、ありのままの姿を肯定してくれる人は、広い世界の中で必ず見つかります。
4. 離れられない相手には、適当に相づちを打つ
肉親やパートナーの家族など、どうしても関係を断つのが難しい場合には、心の距離を取りましょう。
あなた自身が「相手のことを気にせず」に、投げかけられた言葉を「心では受け取らず」に場をやりすごすようにしましょう。
特に、あなたのよき理解者であるはずの親族から人格否定をされた場合、あなたの心を大きく傷つけると思いますが、度が過ぎた人格否定はたとえ親からであっても受け入れる必要はありません。また、その否定の言葉は「世の中のすべての人が同意する言葉ではない」と考えることが重要です。
5. 日常的に人格否定をされているならば、証拠を残すために録音を試みる
人格否定の言葉は特に「語気(言い方)」に強い悪意が込められている場合があります。もし訴えを起こす場合でも、言葉だけではなく前後の文脈や相手がどのようなトーンで発したかが、第三者がその言葉の適否を判断するのに重要なファクターとなります。
そのためにも、もし可能であれば録音を試みてみるとよいでしょう。
また、録音データを聞き直すことで、落ち込んだあなた自身の「自分が悪いわけではなく、相手が悪い」という気持ちに切り替えられるかもしれません。
判断がつきにくい場合は第三者に相談を
以上の点を踏まえても、「本当は自分が悪いのではないか」「相手のいうことが正しいかもしれない」といった不安が拭えない場合には、第三者に相談することがおすすめです。
信頼できる友人や家族のほか、ビジネスシーンの場合にはハラスメント相談室などがあります。もし誰にも相談できないという方は公的機関の相談窓口やカウンセリングをはじめ、心に関する相談を受け付けている機関を頼るのもおすすめです。
その際には、メモや録音データがあると、自分が受けてきた人格否定の実態が相手に伝わりやすいでしょう。
iPhone、Androidのどちらでも使える無料の音声録音アプリ「Voistand」では、
- バックグラウンドでの長時間録音が可能
- スマホの容量を気にしなくてもよいクラウドデータ保存
- カレンダーUIなので、いつどこでの録音かがわかりやすい
- AIによる自動文字起こし機能がある
など、他人からの暴言やハラスメントに悩まされている人に寄り添った機能が充実しています。
無料で利用できますので、ぜひお試しくださいね。
iOS版(App Store) | https://apps.apple.com/jp/app/id1544230010#?platform=iphone |
Android版(Google Play Store) | https://play.google.com/store/apps/details?id=com.voistand.app |
Voistandをさらに詳しく知りたい人は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
過去記事:録音や音声メモに無料スマホアプリ「Voistand」を使おう。その7つのメリットとは?
まとめ
以上、人格否定の意味から具体例、さらには被害にあった場合の対処法について説明しました。
いかがでしたでしょうか?
今回は主に被害者の視点からの話でしたが、「もしかして、自分は相手にひどいことを言ってしまったのではないか?」と思った人には、以下の過去記事がおすすめです。ぜひお読みください。