ホーム ビジネス 医療従事者以外も申請可能。新型コロナウイルスの労災申請方法と労災認定事例

医療従事者以外も申請可能。新型コロナウイルスの労災申請方法と労災認定事例

この記事のサマリー

  • オミクロン株「BA.5」と感染者の増加で、いつ誰もが罹患する恐れあり
  • 医療従事者以外でも、労災保険を受け取れる可能性も
  • 治療を受けた病院が労災指定病院の場合、申請は病院へ
  • 治療を受けた病院が労災指定病院ではない場合、請求書を労働基準監督署に提出(治療費は一時立て替え)
  • クラスターの発生なし、感染経路が不明でも労災認定される事例も

目次

一時は落ち着きを見せつつあった新型コロナウイルスの感染ですが、6月末から全国の感染者が再び急増し(第7波)、いつ誰が罹患してもおかしくない状況です。

新型コロナウイルスが流行した初期、多くの企業で導入された時差通勤やリモートワークも、足かけ3年が経過し通常勤務に戻った企業が多く見受けられます。

業務が理由で新型コロナウイルスに感染してしまった際には、医療従事者だけではなく、業務上多数の人と接した方や、複数の感染者が確認された労働環境下などで働いていた方は、労災保険を受け取れる可能性があります。

申請方法や事例についてまとめましたので、ぜひご一読ください。

感染力の高いオミクロン株「BA.5」

新型コロナウイルスも時間とともに変化を続け、これまで主流だったオミクロン株「BA.2」から、感染力がさらに強い「BA.5」と呼ばれる変異ウイルスに急速に置き換わっていることが感染爆発の背景にあるといわれています。

 新型コロナウイルス「オミクロン株」の特徴について

画像出典ひまわり医院コラム「新型コロナウイルス『オミクロン株』の特徴について【感染力・症状・重症化】」

オミクロン株の感染力については、上記画像出典に大変わかりやすい説明がありましたため、ぜひそちらをご覧ください。

BA.5は感染力が強い一方で、重症化リスクは低いとされていますが、通常の風邪やインフルエンザよりも脅威が大きいのは、長期間にわたって後遺症に悩まされる危険性があるという点です。

新型コロナウイルスの後遺症の具体例

医学誌『ランセット(The Lancet)』の新型コロナウイルスの後遺症で悩む56カ国の3,608人を対象とした国際研究結果によると、「90日以上後遺症に悩まれている方の91%以上が、35週目(約7か月)以降も後遺症が続いている」という発表がありました。

後遺症の例は、次のとおりです。

  • 咳・息切れ
  • 倦怠感
  • ブレインフォグ(集中力・思考力・決断力の低下)
  • 味覚障害
  • 嗅覚障害
  • 脱毛

これらの症状が半年以上も続くとなると、生活上のストレスや不安はとても大きいといえるでしょう。

ワクチンの接種が進み、「なんとなく喉が痛いけど発熱はないから仕事に出よう」「軽い咳が出るけど買い物に行こう」という方もいると思います。もし知らずに罹患し、そのまま後遺症に悩まされてしまった場合、長きに渡って生活や仕事に支障をきたす可能性があります

重症化のリスクは下がっているとはいえ、恐ろしいウイルスであるという認識が必要です。

満員電車で通勤、市中も人であふれ、不安な働き手

新型コロナウイルスに「絶対にかかりたくない」と不安に思う方がいる一方で、社会は通常モードに少しずつ戻りつつあるように思えます。

流行し出したころには電車はガラガラ、商業施設も人がまばらで、営業時間の短縮、リモートワークや時差出勤を推奨していた企業も多かったですよね。しかし、「もう日常生活を普通に送っていても、罹患するときはするので」と上司から告げられ、リモートワークが廃止されたという声もいくつか耳にしました。実際に、通勤電車の混雑やオフィス街で働く人もだいぶ戻り、コロナ禍前の働き方に近くなっているように思えます。

このような中、コロナウイルスでの労災認定の事例も増えています

以前は医療関係者に限ったイメージがありましたが、クラスターの発生に限らず、また、感染経路が不明であっても、宿泊・飲食業や保育士、運輸業、卸売業、小売業、建設業にまで広がっています。

労災の申請は、正社員・パートなどの雇用形態に限らず、雇用者側ではなく労働者本人が行うものです。新型コロナウイルスの罹患によって生活が困窮することのないよう、該当する場合は申請を行いましょう。

※ もし症状が重篤化し入院となった場合は、私生活での感染であっても感染症法に基づき入院費は無料となります。こちらも要申請ですが、申請手順や方法は各自治体によるので、お住まいの自治体にご確認ください。

厚生労働省提示の労災保険給付の対象・種類

労災の対象となる場合

  • 感染経路が業務によることが明らかな場合
  • 感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務※に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合
    ※(例1)複数の感染者が確認された労働環境下での業務
    ※(例2)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務
  • 医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象
  • 症状が持続し(罹患後症状があり)、療養等が必要と認められる場合も保険給付の対象

労災保険の種類

業務に起因して感染した労働者の方やそのご遺族の方は、正社員、パート等の雇用形態によらず、次のような保険給付を受けられます。また、保険給付の請求は、労働者ご自身が行うものです。感染経路が不明であることなどにより、請求書に会社からの証明が受けられない場合、まずは労働基準監督署にご相談ください。

療養補償給付 労災指定医療機関を受診すれば、原則として無料で治療を受けることができます
やむを得ず労災指定医療機関以外で治療を受けた場合、一度治療費を負担してもらい後で労災請求をすることで、負担した費用の全額が支給されます。
休業補償給付

療養のために仕事を休み、賃金を受けていない場合、給付を受けることができます。

給付日:休業4日目から
給付額:休業1日あたり給付基礎日額の8割(特別支給金2割含む)
※原則として「給付基礎日額」は発症日直前3か月分の賃金を暦日数で割ったものです

遺族補償給付 業務に起因して感染したため亡くなった労働者のご遺族の方は、遺族補償年金、遺族補償一時金などを受け取ることができます

引用厚生労働省「職場で新型コロナウイルスに感染した方へ」(PDF)

労災申請の手順

簡単な流れは以下の通りです。

労災指定病院で治療を受けた場合と、指定医療機関以外で治療を受けた場合には、申請方法や必要書類に違いがありますので、まずは病院に尋ねてみるのが良いでしょう。

労災指定病院

  1. 病院で治療を受ける
  2. 申請書に会社の証明をもらう
  3. 申請書を病院に提出する
  4. 病院から申請書が労働基準監督署に提出される
  5. 労働基準監督署が病院に治療費を支払う

申請に必要な書類:療養補償たる療養の給付請求書(様式第5号)

労災指定医療機関以外

  1. 病院で治療を受ける(※領収書が必須)
  2. 請求書に会社の証明をもらう
  3. 請求書を労働基準監督署に提出する(※領収書・必要書類を添付)
  4. 厚生労働省から労働者に治療費立て替え分が支払われる

申請に必要な書類:療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)

指定病院か指定外かにより、申請様式が異なるので注意が必要です。

労災認定事例

令和2年4月28日付の少し古い情報ですが、以下のような事例が厚生労働省より紹介されていました。一部をご紹介します。

医療従事者等の事例

医師

感染経路は特定されなかったが、Aさんは、日々多数の感染が疑われる患者に対する診療業務に従事していたことが認められたことから、支給決定された。

介護職員

感染経路は特定されなかったが、Cさんは、介護施設で日々複数の感染が疑われる介護利用者に対する介護業務に従事していたことが認められたことから、支給決定された。

医療従事者等以外の労働者で、感染経路が特定されない場合

建設資材製造技術者 感染経路は特定されなかったが、Aさんは、発症前 14日間に、会社の事務室において品質管理業務に従事していた際、当該事務室でAさんの他にも、新型コロナウイルスに感染した者が勤務していたことが確認された。このため、Aさんは、感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下での業務に従事しており、私生活での行動等から一般生活では感染するリスクが非常に低い状況であったことが認められたことから、支給決定された。

顧客等の近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

販売店員

感染経路は特定されなかったが、Aさんは、発症前 14日間に、日々数十人と接客し商品説明等を行う等感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下での業務に従事しており、私生活での行動等から一般生活では感染するリスクが非常に低い状況であったことが認められたことから、支給決定された。

保育士

感染経路は特定されなかったが、Eさんは、発症前 14日間に、日々数十人の園児の保育や保護者と近距離で会話を行う等感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下での業務に従事しており、私生活での行動等から一般生活では感染するリスクが非常に低い状況であったことが認められたことから、支給決定された。

引用厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例」(PDF)

さらに多くの事例については引用元をご参照ください。

まとめ

感染者数が増加を続ける中で、「罹患した場合」の新しい知識や備えはいっそう重要度を増しています

体調を崩してから、慌ててゼロから調べるのは非常に困難です。

情報のアップデートを定期的に行い、もしものときには上記のような法的保証や保険を適切に活用しましょう。

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