近年、スマートフォンの録音アプリの進化により、「わざわざICレコーダーを買わなくてもスマホで十分では?」という声も聞かれます。果たしてスマホ録音アプリとICレコーダーはどちらが便利なのでしょうか。
それぞれのメリット・デメリットを比較し、利用シーン別にどちらがおすすめか解説します。
なお、以下の過去記事もあわせてご参照ください。
過去記事:音声の録音に適しているのは、スマートフォン? それとも、ICレコーダー?
スマホ録音アプリとICレコーダーの比較
まず、両者の特徴をいくつかのポイントから比較してみましょう。
比較ポイント | スマホ録音アプリ | ICレコーダー(専用機) |
---|---|---|
携帯性・手軽さ |
★★★★☆ スマホさえあれば追加機器不要。常に持ち歩くスマホで手軽に録音可能 |
★★☆☆☆ 別途ICレコーダー本体を持ち歩く必要あり |
音質・マイク性能 |
★★☆☆☆ スマホ内蔵マイクは簡易的。遠くの音や小さな声は拾いにくい |
★★★★☆ 高性能マイク搭載でクリアに録音。ステレオ録音やPCM対応機種もあり |
録音安定性 |
★★☆☆☆ 長時間録音するとバッテリー消費大。電話着信などで録音中断の恐れ |
★★★★★ 録音に特化したデバイスであり、中断されにくい(通話で途切れる心配なし)。電池交換や大容量メモリで長時間録音に耐える |
機能 |
★★★☆☆ トリミングやクラウド同期、AI文字起こしなどアプリ連携が充実 |
★★★★☆ 録音シーン自動設定やノイズカット機能など録音専用の便利機能が豊富 |
コスト |
★★★★★ アプリは基本無料~低コストで利用可能 |
★★★☆☆ 本体購入が必要(価格は数千〜数万円)。電池やSDカードなど維持費も少しかかる |
※★の数は相対的な目安です。
スマホにはこのように手軽さやコスト面で大きな利点があり、一般的な利用ならスマホでも充分という意見もあります。一方、ICレコーダーは専用機ならではの音質や信頼性の高さが魅力です。
では、具体的な利用シーンごとにどちらが向いているかを見てみましょう。
学生・社会人が講義やセミナーを録音する場合
学生が大学の講義を録音するケース、社会人がセミナーを録音して後で復習したいというケースです。
スマホ録音
メリット:スマホなら思い立ったときにすぐ録音できます。荷物が増えないので通勤・通学や持ち歩きの負担になりません。また、一部の録音アプリでは録音後にテキスト化する機能もあり、ノート代わりとして活用することもできます。
デメリット:が大きくて肝心な部分が聞き取れませんでした。ICレコーダーを使ったら音声がクリアで驚きました!」という学生の口コミもあります。やはりマイク性能の差で録音できる音質に違いが出ます。
ICレコーダー
メリット:ステレオ録音や集音性の高いマイクを搭載したICレコーダーなら、後方の席からでも先生や講師の声を比較的はっきりと録れます。雑音を抑えるフィルター機能や、録音した音声をスロー再生して聞き取りやすくする機能など、復習に役立つ機能も豊富です。
デメリット:やはり端末を別に持ち歩く手間とコストです。録音頻度が低い場合や、前方の席で短時間録音する程度ならスマホで十分でしょう。
結論
普段はスマホで手軽に録音しつつ、試験前など重要な講義・セミナーではICレコーダーを使うといった併用がおすすめです。どうしても一方だけ選ぶなら、録音品質を重視するならICレコーダー、一般的・一時的なメモや記録のためならスマホと覚えておきましょう。
ビジネスマンが会議を録音する場合
社内会議や打ち合わせの内容を後で議事録にまとめたい、といったビジネスシーンです。
スマホ録音
メリット:突発的なミーティングでもスマホがあればすぐ録音できます。録音した音声をそのまま社内チャットに共有したり、AI文字起こしアプリにかけて議事録の下地を作ったりと、スマホならではの連携のよさがあります。また、スマホを机に置いて録音してもあまり違和感がなく、相手に気にされにくいという利点もあります。こっそりパワハラの証拠を残す……といった用途ではこの点が大きな力を発揮するかもしれません。
デメリット:仕事中に電話がかかってくると録音が止まってしまうなど信頼性に欠ける面があります。特に長時間の会議ではスマホの電池切れや通知による中断リスクが無視できません。「会議録音にスマホを使っていましたが、途中で着信があり録音が途切れてしまいました。それ以来、ICレコーダーを持ち歩いています……」という体験談もあるほどです。
ICレコーダー
メリット:やはり確実に最後まで録音できる安心感があります。電池残量や容量さえ事前にチェックしておけば、途中で途切れる心配はほとんどありません。会議参加者が多い場合も、全方向の声を拾える360度録音対応モデルや、指向性を調整できるモデルを使えば、発言者ごとにマイクを向け直さなくても満遍なく記録できます。
デメリット:録音した音声をそのままテキスト化するにはPCへの転送などひと手間必要です。ただ、最近はICレコーダー側で文字起こしサービスと連携する製品(例:AutoMemoなど)も登場していますので、工夫次第ではスマホ同様に効率化も可能です。
結論
重要度の高い会議や長時間の会議はICレコーダーで確実に録音することをおすすめします。短い打ち合わせ程度であればスマホでサッと録音→共有でも問題ありませんが、会議録音は「万が一録れていなかった」が許されない場面も多いので、信頼性を重視しましょう。
YouTuber・記者が取材音声を録音する場合
YouTube向けの動画コンテンツを作るクリエイターや、インタビュー取材を行うジャーナリストの場合です。音声自体がコンテンツの一部となるケースと言えます。
スマホ録音
メリット:最新のスマホはマイク性能も向上しており、静かな室内であればそれなりに良好な音声が録れます。機材を増やさず身軽に撮影・収録したい場面ではスマホ一台で済むメリットは大きいでしょう。たとえばVlogを撮影しながらちょっとしたコメントを録音する程度ならスマホで十分です。
デメリット:音質にこだわる必要がある場面では、スマホ録音だと限界があります。「スマホで楽器演奏を録音したら音割れしてしまった。ICレコーダーで録り直したところ臨場感のあるクリアな音で記録できた!」というYouTuberの声もあります。特に音楽や環境音などダイナミックレンジの広い音では、専用機との差が顕著です。
ICレコーダー
メリット:高音質モデルやピンマイク連携モデルを使えば、プロに迫るクオリティの音声を収録できます。例えば結婚式の撮影で新郎新婦の声をしっかり録りたい場合、TASCAMのピンマイク付きレコーダーをスーツに仕込めば、カメラから離れた音源もクリアに拾えます。楽器演奏の収録でもリニアPCM対応機であればCD並みの音質で録音可能です。
デメリット:スマホに比べて機材準備のハードルが上がります。映像と音声を別撮りして後で同期させる必要があるなど、編集手間も増えます。しかしその分完成したコンテンツのクオリティも上がるため、手間をかける価値は大きいでしょう。
結論
コンテンツの品質を重視するクリエイターや記者にはICレコーダーが強く推奨されます。逆に、機動性重視で「とにかく今この瞬間を記録したい」という場合はスマホでさっと録るほうが好都合です。状況に応じて使い分けましょう。
おわりに
スマホ録音アプリとICレコーダー、それぞれに一長一短があり、用途によって向き不向きがあります。普段は手軽なスマホアプリで対応しつつ、いざという時のためにICレコーダーを用意しておくのが理想的と言えるでしょう。実際、多くの人が「スマホで足りない部分をICレコーダーで補完する」という使い分けをしています。
重要なのは、録音に失敗すると困る場面では信頼性の高い方法を選ぶことです。スマホアプリとICレコーダーの特性を理解し、シーンに応じてベストな方法で大切な音声を記録してください。
スマホ向け録音アプリにはさまざまなものがありますが、Voista Media編集部も開発に関わり、iPhoneで使えるAI録音アプリ「Voistand」では、
- バックグラウンドでの長時間録音が可能
- スマホの容量を気にしなくてもよいクラウドデータ保存
- カレンダーUIなので、いつどこでの録音かがわかりやすい
- AIベースの自動文字起こし機能がある
- 過去の音声データの取り込みや文字起こしが可能
など、日々の記録として音声録音を活用する機能が充実しています。
まずは無料で利用できますので、ぜひお試しください。
iOS版(App Store) | https://apps.apple.com/jp/app/id1544230010#?platform=iphone |
Voistandをさらに詳しく知りたい人は、ぜひ以下の過去記事をご覧ください。
過去記事:録音や音声メモに無料スマホアプリ「Voistand」を使おう。その7つのメリットとは?