「〇〇さんは独身だから」
「女子力低いね」
「男性なのに」
「結婚しないの?」
「○○大卒なのに」
「また太ったんじゃない?」…
こんな言葉を言われて、なんとなく愛想笑いをして誤魔化したものの、家に帰ってからも、どこか心が重たかったという経験はないでしょうか?
その場で「それ、ハラスメントですよ!」とズバッと言い返したくても、「大げさと思われてしまうのでは?」「会社や付き合いなどで関係は悪化させたくないし…」なんて悩んだり。
今日はそんな方にぜひ覚えていただきたい、その場の空気を悪くしない話のそらしかたや、切り返しのテクニックをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
ハラスメントは「嫌がらせ」を意味する言葉
セクハラ、パワハラは言うに及ばす、モラハラ、マリハラ、学ハラなどなど。そもそもハラスメントの定義とはどのようになっていると思いますか?
ハラスメント(harassment)は、日本語で「嫌がらせ」を意味します。
他者に対して不愉快な気持ちにさせることや、実質的な不利益を与えることが「嫌がらせ」の意味です。
嫌な言葉をかけられてしまったときに、「冗談で返せないなんて、心が狭いやつなんて思われてしまうかも」と悩む必要はありません。
あなたが嫌だと思ったら、その発言はハラスメントに該当するのです。
ハラスメントというと職場にスポットがあてられがちですが、一時期話題になったモラハラ(モラルハラスメント)などもハラスメントです。つまり、職場だけでなく、地域社会や家庭内でも起こり得ることなのです。
ハラスメントトークが生まれやすい5つのケース
あなたが遭遇したハラスメントトークは、「誰から」の「どのような」ものだったでしょうか?
勤務中や、参加者の関係がそれほど親しくないコミュニティ内での雑談や飲み会、いわゆる「微妙な距離」で「微妙な話題」の中で発生することが多いのではないでしょうか。
発言の「やっかい度合い」と「生まれた背景」としては、おおむね次の5つが関わっています。
- 多様な生き方や考え方があることをよく理解していない
- あなたと仲良くなりたがっているが、距離の詰め方を間違っている
- 面白いことを言おうと、本人は「いじり」のつもり
- 会話のマウントをとろうとしている
- 本人の劣等感や相手への敵意から、意図的に傷つけようとしている
5の場合は、ハラスメントが継続的に発生していると考えられるので、しっかりとした対策や防衛策を講じたり、そもそもその場に居合わせないように工夫することをおすすめします。
日常生活の中でハラスメントが発生しやすい状況としては上記の1〜4が多く、さらに、ほかに楽しい話題がないという場合が多いのではないでしょうか?
趣味や興味のある話題で盛り上がれるのであれば、自然とそちらの話題になるものです。
何気なく発したハラスメント発言の多くは、そのくらい無責任なものなのです。
相手に語らせ、ハラスメントトークから脱しよう
ハラスメント発言をされた場合、相手とはもう会話もしたくないと思うかもしれませんが、その場で盛り上がれる別の話題を見つけられれば、したくない話題に戻ってくる可能性をぐっと下げることができます。
話題を切り替える場合の一番大きなポイントは「相手に語らせる」ことです。
- 相手の趣味や好きなものの話題に切り替える
- 相手の家族やペットの話を聞いてみる
- 相手の学生時代の思い出を聞いてみる
- 相手とその場にいる別の人との共通の話題に切り替える
特に「その場を盛り上げたい」「優位に立ちたい」と考えている人ほど、承認欲求や自己顕示欲が強い傾向があるため、好きな話題は自分からポジティブに語り出すでしょう。
セクハラ、ジェンダーハラスメント、ジェネレーションハラスメントの場合は、発言者自身の家族など身近な他者を思い出させると、ピタリと止まることもあります。その人に配偶者やお子さんがいるのであれば、ハラスメントトークのたびに、さりげなく家族の話題を振ってみましょう。家族と仲が良ければやましい気持ちになるでしょうし、もし良好な関係でなければ会話が少なくなるでしょう。
「彼氏できないの?」「女子力が低い」と言いながら、家族のことはほったらかしであったり、息子さんや娘さんとの距離が遠かったり、といった人も少なからずいます。
興味のない話が続いてしまった場合には、痛み分けできたと考え、「みなさん、いろいろありますよね」のひと言で大人に締めくくり、次の話題に移るのがおすすめです。
話題を断ち切るキラーワード「あ、そういえば」
会話の雲行きが怪しくなったときに最適なのは、自ら話題を変えることです。あいまいにその場を切り抜けようと会話が進まないようでは、さらに追い討ちにあってしまうこともあります。
思い出したかのように、「あ、そういえば」と別の話題を続けましょう。
飲み会であれば、ドリンクや食事の追加注文の話題から、食べ物の好き嫌いなどに話題をシフトしてしまうのも手です。
相手が嫌がるかどうかを考えずになされた発言は、そもそもが真剣な話題ではないことが多いものです。「急に何で?」と言われたら、「ちょっと思い出したので」と切り返せば十分でしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
会話の主導権を握ることができれば、自然と嫌な話題を避けられるはずでし、汎用的に使える雑談力も上がります。
多人数がいる場では、テレビの司会者になったつもりで、いろいろな人に話題を振ってみるのもよいでしょう。
もちろん、明らかな悪意を持って向けられたハラスメントで、それが何度も繰り返されるようであれば、毅然と対応すべきです。ボイスレコーダーで会話を録音するなど、証拠集めをするのもよい方法です。
訴えを起こすといった極端なケースになるかどうかは置いておいて、録音データがあれば、誰かに相談するときに冷静なアドバイスをもらいやすくなりますし、いつでも反撃できる材料があるというだけで、少しは心が晴れるはずです(なお、録音にあたっては、秘密録音と盗聴の違いとは? 違法性や音声データの証拠能力など、気になる点を解説 を一読することをおすすめします)。
この記事が、ハラスメントトークに悩むみなさんのお役に立てば幸いです。