世界各地で自然災害が相次ぐ中、2025年7月30日にはカムチャツカ半島付近を震源とする地震(マグニチュード8.8と推定)と、その影響による津波の懸念が報じられ、日本でも広域の沿岸部で避難のアナウンスが続きました。
大規模災害では避難所での生活が長期化し、特に女性や子どもの防犯上の不安やリスクが高まります。避難所や公共スペースでのプライバシー侵害、言動に起因するハラスメント、性被害などに、「声を記録する」という手段が安心を生むこともあります。
この記事では、過去の大震災で報告された被災地の実態を踏まえながら、スマートフォンで利用できる録音アプリなどを利用した「録音」を活用する意味について解説します。
災害時・避難所で増える女性・子どもへの加害リスク
大震災や避難所では、緊張や混雑、情報の混乱、不安によるストレス、プライバシー確保の困難さなどが重なり、女性や子どもが犯罪の被害に遭いやすい状況が生まれます。国際的にも大災害後に性暴力やDV、児童虐待が増加する傾向が指摘されており、日本でも東日本大震災以降、女性支援ネットワークによる避難所での性被害の実態調査が行われました。
男女共同参画局の調査によれば、東日本大震災時、避難所や仮設住宅などで、同意のない性交の強要(強姦・強姦未遂)が少なくとも10件報告され、性的な嫌がらせや暴力行為も含めて複数の被害例が記録されています。被害者の年代は20歳未満から60代まで幅広く、加害者は夫や元夫、交際相手だけではなく、近隣住民、避難所の関係者、震災支援者(ボランティア)というケースもありました。
参考:男女共同参画局「東日本大震災『災害・復興時における 女性と子どもへの暴力』に関する事例調査」(PDF)
さらに、札幌市などの自治体の運営マニュアルでも、避難所におけるプライバシー不足や更衣室の未整備が女性や子どもの心身に大きな負担をもたらすことが指摘されています。
参考:札幌市「⼥性の視点を取り⼊れた 避難場所運営の取組について」(PDF)
東日本大震災での被害実態
上記の男女共同参画局の事例調査によると、震災直後の避難所や仮設住宅などで、女性や子どもを対象とした性暴力や物理的・精神的被害が広く発生していました。
以下に、調査で明らかになった実態を、より詳しく整理します。
1. 性暴力の実態と加害形態
避難所の居住スペースや共用スペースにおいて、わいせつ行為、望まない接触、覗き行為などが報告されました。子ども(女児・男児とも)に対する同様の行為も含まれており、避難所という共有空間での不安全な状況が浮き彫りになっています。
加害者が顔見知りというケースも多数報告されています。地域住民、避難所関係者、震災支援者(ボランティア)などの知り合いといえる存在だったため、被害者が声をあげにくく、二次被害や報復の恐れから沈黙を強いられる雰囲気があったと報告されています。
また、もっとも多かったのは、夫(元夫)、交際相手(過去の交際相手)からの加害です。震災前から暴力が継続している事例もあり、震災と加害の関係は多様であるものの、震災後に深刻化したり、震災をきっかけに再発したというケースも報告されているようです。
2. 被害の多様性と構造的要因
性暴力だけでなく、精神的・経済的暴力、ストーキング、支援と引き換えの性的要求など、多様な形の加害が確認されています。
これらはDVや家庭内暴力に限らず、環境不備型・対価型の性暴力に分類されます。調査では、こちらも被災後に被害が再発した、あるいはより深刻化した事例もあり、災害がトリガーとなる暴力の顕在化が指摘されています。
3. 避難所運営とジェンダー視点の欠如
岩手県、宮城県、福島県では、東日本大震災時に避難所の設計・運営の中心を担った96〜97%程度が男性であり、女性等への配慮が必要であるとの認識が十分浸透していなかったことも指摘されています。
参考:男女共同参画「平成24年版男女共同参画白書」第2節 被災者の状況
女性用の物資やプライバシー確保、授乳室・更衣室などが不十分で、女性や子育て世代が声を上げづらい環境ができあがっていたという背景があるようです。
4. 二次被害や相談体制の限界
性的な被害を訴えても、被災地では「証拠がない」「大したことではない」「あなただけが不幸だと思うな」と軽視される二次被害が多く報告されました。
警察や行政、ボランティアなどへの相談時にも理解不足や偏見による対応があり、被害者が深刻な精神的負担を負うケースもありました。
録音が持つ「防犯と安心の力」
このような被災下では、証言だけでは信憑性が疑われたり、証拠不足で対応が難しいケースもあります。そこで、「本人が音声で記録を残すこと」が被害の証拠として有効とされる可能性があります。
- 現場の音声をそのまま残せる
被害の加害者や状況を実際に発せられた言葉として記録 - 証言の信頼性を補強
録音データは第三者機関や行政への提出材料に - 抑止力になる
録音を意識することで、不審行動や犯罪を抑止する効果 - 当事者の心の安心につながる
「記録している」という事実が心理的な支えに
上記は一例ですが、このように災害時にスマートフォンアプリやボイスレコーダーを使って声を記録することは、証拠保全だけでなく、心理的にも大きな意味を持ちます。
肌身離さず手元にあるスマートフォンの録音アプリであれば、手書きのメモを取ることができない環境でも発言内容や状況を、忘れないうちに一言一句を記録しておくことができます(例:「◯日○時、○○さんが◯◯と言った」など)。録音データは、あとで必要に応じて、防災支援団体や行政への相談に役立てられます。
また、特に「抑止力」という点で、犯罪を未然に防ぐ効果が期待できることも重要なポイントだと筆者は考えます。
災害時や避難所で、相手の言動に不安を感じたら、その場で 「記録します」 と声に出して録音を開始しましょう。「録音をされている」という事実は、相手に対して「よからぬ言動」を踏みとどまらせる力になるかもしれません。
近親者や顔見知りの人を犯罪者にしたい人はいないと思います。相手は極度の緊張状態やストレスで我を忘れ、冷静さを欠いている場合があります。「録音」という第三者に似た存在を介入させることで、相手が冷静さを取り戻してくれる可能性があるのです。
災害時・避難所でも使いやすい録音アプリ
災害時や避難所などでも使いやすく、信頼できる録音アプリとしておすすめなのが、iPhone・iPad向けのAI録音アプリ「Voistand(ボイスタンド)」です。
特徴と強み
- ワンタップ録音
緊急時でもすぐに録音を開始できる簡単操作です。 - クラウド保存
スマホ紛失や故障時にも録音データが失われません。 - 録音日時・場所の記録
自動で録音日時・場所が記録されます。 - 自動文字起こし
自動文字起こしが可能であり、あとから文字でも振り返れます。 - カレンダーUI管理
録音データは日時で整理され、カレンダーや検索から見つけやすいUI設計です。
これらの特徴によって、たとえば避難所で不審な言動を見つけた際や、トラブルになりそうな会話を記録することで、あとから支援機関に相談する際の事実確認や証拠データとして利用できます。
まとめ
災害時、特に避難所生活では、女性や子どもが犯罪に直面するリスクが増えます。そのような中、「会話を記録すること」はあなた自身や大切な人を守る、つまり「防犯」という効果が期待できます。
Voistandのような録音アプリを用いれば、高額な機器も専門知識も不要。災害が起きたとき、いざというときの「安心」を、いつも手元にあるスマホに備えておけます。
ひとりでも多くの方に、災害時の防犯のひとつとして「会話を記録すること」を知っていただき、少しでも不安を取り除くきっかけになることを願っています。