ホーム 生活 ヘッドホンの音量や利用時間に注意! ヘッドホン難聴を防ぎ、耳の健康を保つ方法

ヘッドホンの音量や利用時間に注意! ヘッドホン難聴を防ぎ、耳の健康を保つ方法

この記事のサマリー

  • ヘッドホンで大音量を聞き続けると「ヘッドホン難聴」になるリスクあり
  • 耳に大きな負担をかけたあとは、2日間以上、大きな音を聞かないようにする
  • ヘッドホンと耳穴を清潔に保ち、細菌の繁殖を抑えることが大切

目次

リモートワークが増え、自宅で音楽や音声を聞き流しながら仕事をしている人が少なくないでしょう。

その際、ヘッドホン(イヤホン)を使っている人も多いはず。最近では、ワイヤレスヘッドホンを使っている人も増えています。

その分、耳(聴覚器官)を酷使している可能性があり、健康への影響が気になるところ。たとえば、難聴や耳鳴り、めまいを感じるなどの恐れがあるのです。

そこで今回は、耳の健康を保ちながら、ヘッドホンと上手に付き合うための知識や、日常的なケアの方法を解説します。

耳の健康を保つために、
適切な音量と利用時間を知ろう

音の強さや音圧を示す単位にdb SPL(デシベル・エス・ピー・エル)があります。SPLは「Sound Pressure Level」の略で、文字どおり「音圧レベル」を意味します。

日常的に、幹線道路の交通騒音や建設中のビルの騒音などがデシベルで示されるとおり、実は私たちにとって身近な単位です。

さて、アメリカのOSHA(米国労働安全衛生庁)は、聴覚を損なわないようにするために、90db SPL以上の各音圧に耐えられる最長限度時間の目安を示しています。日本の自治体が示している騒音の具体例や目安とあわせて表にしてみると、次のとおりです。

db SPL OSHAの
最長限度時間
騒音の大きさ うるささの目安
20db SPL 木の葉の触れ合う音
雪の降る音
きわめて静か
30db SPL 深夜の郊外
鉛筆での執筆音
静か
40db SPL 閑静な住宅地の昼
図書館内
50db SPL 家庭用エアコンの室外機(直近)
静かな事務所の中
普通
60db SPL 走行中の自動車内
普通の会話
デパート店内
70db SPL 高速走行中の自動車内
騒々しい事務所の中
セミの鳴き声(直近)
うるさい
80db SPL 走行中の電車内
救急車のサイレン(直近)
パチンコ店内
90db SPL 8時間 カラオケ音(店内中央)
犬の鳴き声(直近)
きわめてうるさい
95db SPL 4時間
100db SPL 2時間 電車が通る時のガード下
地下鉄の構内
105db SPL 1時間
110db SPL 30分 自動車のクラクション(直近) 聴力機能に障害
115db SPL 15分
120db SPL 回避推奨 飛行機のエンジンの近く
近くの落雷

OSHAの最長限度時間を見ると、90db SPL以上の音は、5db SPL上がるごとに半分の時間で聴力に異常をきたすリスクが高まることがわかります。

飛行機のエンジンや落雷の音を近くで耳にすることはめったにありませんが、たとえばライブハウスでのロックバンドの演奏では、120db SPL以上の大きな音に長時間さらされる可能性があります。また、花火大会で打ち上げ地点に近い場所も120db SPL以上になります。

このような大きな音にさらされたあと、しばらく「キーン」という耳鳴りに悩まされた人も多いはずです。これは、耳の奥(内耳)にある蝸牛(かぎゅう)などの聴覚器官がダメージを受けているサインであり、一時的な難聴といえます。

このような機会が頻繁にあると、慢性的な難聴になるリスクが高まります。

120db SPLまでは行かなくても、ヘッドホンやイヤホンで音楽を85db SPL以上の音量で長時間聞き続けると、いわゆる「ヘッドホン難聴」のリスクが高まるようです。

WHO(世界保健機関)では、80dBで1週間あたり40時間以上、98dBで1週間あたり75分以上聞き続けると、難聴の危険があるとしています。

ヘッドホン難聴を避けるには、
聞く時間を短くするか、音量を下げるか

ヘッドホン難聴を避けるには、次の2つの方法しかありません。

  1. 聞く時間を短くする
  2. 音量を下げる

なお、2については、周辺環境や騒音の状況が大きく影響します。

騒音が大きければ、ヘッドホンから流れる音楽が聞き取りにくくなり、音量を大きくしがちです。一方、騒音が小さければ、音量を下げても音楽がしっかりと聞き取れます。

したがって、周囲の騒音を低減するノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンを使うことが、耳の健康を守ることにつながります。特に、電車での移動中などで騒音が大きいときは、ノイズキャンセリングをオンにし、比較的小さな音量でも音楽を楽しめるようにするとよいでしょう。形状は、インナーイヤー型よりもカナル型(耳栓型)のほうが密閉性が高く、騒音の影響を受けにくいといえます。

また、専門的な話として、音を脳に伝わる電気信号に変換するのは、内耳の蝸牛の中にある有毛細胞です。有毛細胞の毛は約2日(48時間)ごとに生え替わります。日常生活の中で使われた有毛細胞の毛は、抜け落ちては生え、抜け落ちては生えを繰り返すのです。

大きな音で耳を酷使すると、有毛細胞の毛が一気に抜け落ちるため、生え替わりが追いつかなくなります。これが、一時的な難聴の原因です。

ライブやイベントなどで耳に大きな負担をかけたあとは、2日間以上、大きな音を聞かないようにし、耳を休ませるとよいでしょう。

日常の耳のケアは?
清潔にして、かゆみや痛みを防ぐ

ヘッドホンと接する外耳や外耳道をヘッドホンで擦って傷つけたり、長時間の使用で多湿の状態が続いたりすると、かゆみや痛みを引き起こすことがあります。

ひどくなると外耳炎や外耳道炎、そして「耳のカビ」といわれる外耳道真菌症になるケースもあるようです。かゆみや痛みが数日でおさまらなければ、医師に相談しましょう。

さて、これらの症状を防ぐには、ヘッドホンと耳穴を清潔に保ち、細菌の繁殖を抑えることが大切です。具体的には、

  • 除菌シートなどでヘッドホンや充電ケースをこまめに拭く
  • たまにヘッドホンを耳から外し、風通しをよくする
  • 綿棒などで耳穴まわりの汗や水気をやさしく拭き取る
  • 爪や固い耳かきで耳穴まわりを傷つけない

といったことを心がけましょう。

また、筆者はワイヤレスヘッドホンのAirPods Proを使っていますが、音楽は両耳で聞いて楽しむ一方、YouTubeなどでインターネット番組を見るときは(ステレオではなくモノラルで聞けばよいので)、片耳だけで聞いていますAirPods Proを片耳で使う方法。これで長時間の「ながら聞き」が可能に! を参照)。

耳への負担を片耳ずつにし、耳鳴りや頭痛を防ぐことや、外出中に周囲の音をきちんと聞き、危険を避けることを目的としていますが、個人的な体感として、一定の効果があると思っています。

まとめ

WHOは2019年2月に、世界的なスマートフォンやポータブルプレーヤーの普及によって「世界の若者(12~35歳)の半数近くに当たる11億人が難聴になる危険性が高い」と警告しました。

WHOは2007年から3月3日を「World Hearing Day」とし、聴覚の安全性や耳のケアについて啓蒙活動を続けています。日本でも同日が「耳の日」とされています(日本耳鼻咽喉科学会が1956年に制定)。3月3日は、電話を発明し、音声学や聾唖教育に貢献したグラハム・ベルの誕生日でもあります。

参考:WHO “World Hearing Day”
参考:日本耳鼻咽喉科学会「耳の日」

このような状況から、Appleは2019年に、iPhoneやApple Watchを通じて収集したデータを、聴覚に関する研究「Apple Hearing Study」に活用すると発表。そして、今年の「World Hearing Day」の前日、20201年3月2日に、ミシガン大学公衆衛生学部と協力して行った研究結果を公表しました。

それによると、

  • ヘッドフォンがその普及によって、長期的な聴覚障害の主因になっていること(そのため、AppleはiOSに騒音レベルの測定機能を組み込んだこと)
  • 調査協力者のうち20%がWHO基準と比較して難聴であること
  • 調査協力者のうち25%が週に数回以上の耳鳴りを経験していること

といった実態が浮き彫りになっています。

参考:Apple Hearing Study shares new insights on hearing health

この記事が、ヘッドホンの使い方や耳への負担を考えるきっかけになれば幸いです。

おすすめアプリ

Recommended Apps

Voista Mediaがおすすめする
ボイスレコーダー系のスマートフォンアプリをご紹介。

詳しく見る

カテゴリー新着記事

New Articles in the Same Category

週間アクセスランキング

Weekly Access Ranking

Voista Mediaとは

About Voista Media

ボイスレコーダー(ボイスアプリやICレコーダー)を使って、生活を豊かにするコツをご紹介するメディアです。もっと便利で、もっと楽しいボイレコライフを送りましょう!

AI録音アプリ「Voistand」

AI-based Voice Recording App

ボイスタメディア編集部も開発に関わるAI録音アプリ「Voistand(ボイスタンド)」がご利用いただけます(現状、iOS版のみ)。詳しくは、こちらをご覧ください。