ホーム ビジネス 「声」でメンタルヘルスチェック? ストレスやうつ病、認知症の診断にも注目が集まるワケ

「声」でメンタルヘルスチェック? ストレスやうつ病、認知症の診断にも注目が集まるワケ

この記事のサマリー

  • 音声を通じて、感情やストレスの状態を診断できる技術が活用されている
  • 感情認識技術は、うつ病、認知症、パーキンソン病などの発見にも役立つ
  • AIを用いた言語解析と音響解析では、迅速かつ高度な感情分析が期待できる

目次

あなた「がんばるぞー!」
未来のシステム「あなたの心の元気度は12点です。医療の受診や休息をおすすめします」
あなた「……」

本人も気づかない些細なストレスを診断できる音声感情認識技術。

うつ病や認知症の早期発見のほか、コールセンターやスマートスピーカーへの導入が進んでいます。

近い将来、健康診断の提出項目として音声が求められたり、スマートスピーカーから病院の受診を勧められたりする日が来るかもしれません。

コロナ禍によるリモートワークの増加などで、社員のメンタルヘルスをどう守るかが重大な関心事になっている中、今回はメンタルヘルスチェックのための音声活用について解説します。

声の健康診断でわかること

  • 最近気が沈んだり気が重くなることがありますか?
  • 眠れない、朝起きられないなど、睡眠に関する悩みはありますか?

ストレス診断を、このようなチェック形式で受けた経験がある人は少なくないでしょう。

従業員が50人以上の企業では1年に1回以上のストレスチェックが義務づけられており、ストレスの度合いによっては上司や産業医との面談が設けられることもあります。

しかし、こういったチェック形式では、体に不調が表れていない段階で蓄積している無自覚のストレスは、見つけにくいものです。また、「どれを選べばストレス得点が高いか」が明白なため、回答者の意思によっては正直な結果が出にくい欠点があります。

一方で、「あれ、元気がないな」「何か嫌なことがあったのかな?」など、会話の最中に相手の不調に気づく体験をした人は、意外と多いのではないでしょうか?

実は、声にヒントが隠されており、その時々の感情やストレスの状態によって、無意識のうちに声帯が硬くなったり緩んだりする結果、普段とは違った声に聞こえるのです。

ここに着目したのが、音声による感情認識技術です。

音声分析は、うつ病、認知症、パーキンソン病などの発見にも役立つとされています。

たとえば、「言葉がうまく出てこない」という点でこれら3つの病気は非常によく似ており、医師でも判断が難しいとされています。

しかし、声の周波数などを分析すると、どの疾患によるものか、またその重症度についても明確に診断できるといいます。

参考「声」をバイオマーカーに、うつ病や認知症の診断補助ツールになるか

本人が気づかないようなストレスの発見から、脳疾患のSOSまで、声には意味深い信号が隠されているのです。

どのように分析されているのか

簡単に触れたとおり、本人が意識しなくても、感情と声帯の間には深いつながりがあります。

人はストレスを感じたときに、脳から体のさまざまな場所へ信号が送られます。体が緊張状態に入り「動悸がする」「冷や汗をかく」といったわかりやすい反応のほか、声帯も緊張して固まり、声の周波数が高くなるのです。

参考音声こころ分析サービス

心理状態による周波数の違いや、言葉の力みに目を向けたものを音響解析といい、「ガラパゴス諸島」など感情とはつながりにくい単語を読み上げた音声だけでも分析することが可能なのです

リアルタイムでの会話については、言葉を音声認識させ、どのような言葉を選んでいるかで分析を行う「言語解析型」というタイプもあります。しかしこれだけでは、言葉のニュアンスは考慮されないため、複数の意味合いを持つ言葉が用いられた際に、正しい解析ができないという弱点がありました。

特に日本語にはあいまいなニュアンスの言葉が多く、本音と建前が異なる場合はまったく真逆の結果になりかねません。

そこで、近年では会話中の単語を評価する言語解析と、声の力みなど強弱をの評価も含む音響解析をAIで掛け合わせることで、迅速かつ高度な感情分析が行えるサービスも出てきています。

参考パナソニックの音声感情認識AI

会話中の「何か元気がないかも」という直感は、科学的にはこのように紐解かれているのです。

広がる活用の幅と気をつけるべきポイント

音声による感情認識技術は、

  • 企業や学校でのメンタルヘルスチェック
  • 相談ダイヤルでの緊急度判断
  • 精神科や心療内科での電話カウンセリング
  • コールセンターでの顧客満足度の見える化
  • スマートフォンやスマートスピーカーとの連携でのヘルスチェック
  • 電車、バス、タクシーなど公共交通機関の運転手のヘルスチェック

などなど、さまざまな場所での活用が期待できます。

今後ますます、人事や採用の場面やマーケティングに生かされる場面が出てくるかもしれません。

心の中を丸裸にされるようで、恐怖心や抵抗感を抱く人もいるはずです。たとえば、「この面接は、ハラスメントに考慮し、音声による感情分析を行いますがよろしいでしょうか?」と聞かれ、「No」と答えられる人は稀でしょう。何となく居心地の悪さを感じつつも、面接が粛々と進められるはずです。

また、身近な例として、あるサービスのサポートセンターに電話をした際、「今後のサービス改善のため、音声を録音させていただきます」というメッセージが流れた際に、「一方的だな」と違和感を覚えたことがある人もいるでしょう。

このように、感情認識技術もまた、人びとの合意をどのように形成しながら進展していくのかが課題といえます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

日ごろ発している声には、このようにたくさんの信号が隠されているのです。

身近な人がどのような気持ちを込めて話しているのか、まずはご自身の耳で感じたり類推したりすることが、感情認識技術の理解に役立つでしょう。

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