みなさんは、ボイスレコーダー(ボイレコ)を使ったことがありますか?
ニュースの中継などで、記者に取り囲まれた政治家や芸能人の口元に突き出されている、アレですよ、アレ。
もちろん知ってはいるけれど、限られた職業の人にしか必要ないでしょ、ですって?
いえいえ、とんでもない。ボイスレコーダーが活躍しそうなシーンって、日常生活の中に意外とあるんですよ。
ボイレコで会話を録音しておけばよかった話
たとえば、私の場合。
この間、賃貸で住んでいる部屋からが漏水したんです。あとからわかったことですが、給湯管が老朽化して、大きな穴が開いていたとか。幸い、家財道具にはまったく被害がなかったのですが、真下にあたる部屋は、天井のクロスの内側にたぷんたぷんと揺れるほど大きな水たまりができる大惨事!
住人から連絡を受けた大家さんと、出入りの工務店さんが私の部屋へ飛んできて、その場で水道の元栓を締めました。水がいっさい使えなくなったわけですから、工事が完了するまでこの部屋で生活することはできません。
すっかり顔面蒼白な私。
ところが、世の中はうまくできているもの。捨てる神あれば、拾う神あり。マンションの同じ階に空き室があったため、すぐに別室へ転居できることになりました。
このとき、管理会社でもある大家さんと、いくつかの条件を相談する必要があったんですね。
- 転居する部屋の水道・ガス・電気の支払いは、個人(私)と管理会社のどちらの名義にするのか
- 元の部屋の水道・ガス・電気の解約、転居先の契約の連絡はどちらが行うのか
- 家財道具はいつまでに搬出する必要があるのか
- 大型家電や家具の搬入に人手を借りることはできるのか
そういったことを一つひとつ話し合い、各自がメモに残しました。
元の部屋を借りるときに仲介してくれた不動産屋さんの担当者から、事前にアドバイスを受けてはいたんです。「言った言わないの水かけ論にならないように、取り決めた内容をすべて紙に書き留めて、コピーを取って、両者で保管するといいですよ。押印も忘れずに」と。
それなのに……大家さんを目の前にしたら、とても言い出せませんでした(涙)。
しばらくして、ふっと思ったんです。角を突き合わせてメモの中身を確認するのがむずかしい場合でも、せめて会話を録音しておけばよかったな、と。
そんなことがきっかけで、ボイスレコーダーが気になりはじめた私。
日常生活のどんな場面で役に立ちそうか、考えてみました。
ボイレコが役立つ4つのシーン
そもそも、ボイスレコーダーで音声を録音することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。
1. メモが追いつかなくても大丈夫
わずか数秒、長くても数分の会話なら、内容を覚えられます。話が少し込み入ってきて、記憶できるか不安を感じたら、メモをとろうと考えるでしょう。
でも、数十分にもわたる会話なら――。あるいは、聞いたことのない専門用語が飛び交う話を、漏らさず聞き取らなければならない状況なら――。メモを書くのでは、とても追いつきません。
2. 会話に集中できる
相手の話を黙って聞いていればよいなら、ひたすらペンを動かしてメモをとれるでしょう。でも、たまに相づち槌を打ったり、質問したりする必要がある場合は――。
メモをとることに集中しすぎて、相手に居心地の悪い思いをさせることもあります。相手の目をできるだけきちんと見る、目線を下に落としすぎない、といった気づかいが必要です。
3. 繰り返し聞ける、あとから聞ける
人の言葉は、口から出た瞬間に消えてしまう、はかないもの。内容を文字や文章にして紙やデータに残すこと、頭で覚えておくことはできても、音声そのものを何回も繰り返し聴いたり、あとから聞く聴くことはできません。ボイスレコーダーで録音しない限りは、ですね。
4. 言質をとれる
大事な話をする際、あとになって「言った言わない」の水かけ論になるのは避けたいもの。「人の記憶は、自分の都合のいいようにつくりかえられる」という怖い話も耳にします。ましてや、発言の意図、言葉のニュアンスなどを時間が経ってから検証するのは、至難の業です。
以上、思いつくままに4つ、挙げてみました。
ボイスレコーダーで会話を録音しておけば、すべてクリアにできます。
私が遭遇したのは、まさに4つ目のパターン! 今さらですが、自分の愚かさにがっくりしました(泣)。まあ、大家さんはとってもよい方なので、揉めごとにはならないと信じているのですが……。
気を取り直して、この4つのメリットが当てはまりそうな日常生活のシーンを考えみましょう。
- 取材(1・2・3・4)
- 会議の議事録(1・2・3・4)
- クライアントとの打ち合わせ(1・2・3・4)
- セミナー・講演会(1・3)
- 座談会(1・2・3・4)
- 交渉・商談・契約(1・2・4)
- 職場での会話(3・4)
- 授業・講義(1・3)
- 習いごと(1・3)
- 語学学習(1・3)
- 楽器・歌の練習(3)
ほらね。ボイスレコーダーが活躍しそうなシーンって、けっこうあるでしょう?
アレをボイスレコーダーで録音しておくんだった!――と自分を責めたところで、「時、すでに遅し」。
私のように後悔しないためにも、今日から“ボイレコ”生活、してみませんか?