証拠としての資格のこと。
法律上は、ある人物や物事について、訴訟において証拠方法として用いることのできる資格を意味し、裁判官が証拠として採用するかどうかの基準となる。
刑事訴訟上は、証拠能力が認められるために、自然的関連性があること、法律的関連性があること、証拠禁止に当たらないことが必要とされる(刑事訴訟法第317条)。このことを「証拠裁判主義」といい、事実認定は証拠によって行われなければならないとする原則である。
刑事訴訟上で「証拠禁止」に当たるのは、強要された自白(自白法則)、伝聞証拠(伝聞法則)、違法収集(違法収集証拠排除法則)とされる。つまり、違法な盗聴によって取得した証拠は、原則として証拠能力が認められない。
一方、民事訴訟上は、証拠能力に特別な制限はないため、伝聞や違法な手段で収集されたものであっても、証拠として採用される可能性がある。
それぞれの証拠の証明の程度(証明力)は、民事訴訟上も刑事訴訟上も、裁判官の自由な判断に委ねられる。このことを「自由心証主義」という(民事訴訟法第247条、刑事訴訟法第318条)。