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子どもにいじめ問題が発生! 解決のための証拠集めや話し合いに「録音」を役立てよう

この記事のサマリー

  • いじめ問題は、学校側に相談すれば解決するわけではない
  • いじめの存在を証明したり、いじめの程度を示す証拠として、音声データが有効
  • 学校や当事者間での話し合いの場でも、録音を徹底すること

目次

子どものいじめに関する凄惨な事件が後を絶ちません。

事件として明るみになり、報道で取り上げられるのは、実は氷山の一角。何千、何万という「未発覚の事件」が存在している可能性があります。

では、いじめは年間でどのくらいの発生しているのでしょうか。2019年10月17日に公表された文部科学省の調査(「平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)によると、過去3年間の「いじめの認知件数」は次のとおりです。

いじめの認知件数(文部科学省調査)

区分 2016年度 2017年度 2018年度
小学校 237,256
(前年比56.4%増)
317,121
(前年比33.7%増)
425,844
(前年比34.3%増)
中学校 71,309
(前年比19.8%増)
80,424
(前年比12.8%増)
97,704
(前年比21.5%増)
高校 12,874
(前年比1.7%増)
14,789
(前年比14.9%増)
17,709
(前年比19.7%増)
特別支援学校 1,704
(前年比33.8%増)
2,044
(前年比20.0%増)
2,676
(前年比30.9%増)
合計 323,143
(前年比43.5%増)
414,378
(前年比28.2%増)
543,933
(前年比31.3%増)

全体として認知件数は大幅な増加傾向にあります。特に小学校が顕著で、2016年度は前年比56.4%増、2017年度は33.7%増、2018年度は34.3%増となっており、「急増」といってよい状況です。

次に、同調査の「学年別いじめの認知件数」を見てみましょう。

学年別いじめの認知件数(文部科学省調査/2018年度)

おおむね、年齢が上がるについて、いじめの認知件数は減る傾向があります。もっとも多いのは小学校2年生、次いで小学校3年生、小学校1年生、小学校4年生と続きます。つまり、小学校に通っている児童の中でも、低学年のいじめが非常に多いことがわかります。

ほかにも、この調査全体から次のような事実が読み取れます。

  • いじめの発見は、学校の教職員等が66.2%、本人や保護者からの訴え、他の児童・生徒からの情報などそれ以外が33.8%
  • 小、中、高を通じて、国立、公立、私立の順で1校当たりの認知件数が多い
  • 1,000人当たりの認知件数は、全国平均で30.9人(2018年度)
  • 全学年で、男子と女子では男子のいじめの認知件数が多いが、学年が上がるにつれて拮抗
  • 警察への相談・通報率は極めて低く、全体で0.2%程度(2018年度で1,229件)

なお、文部科学省の調査に出てこないいじめとして、塾や近所の友だち間で行われる「学校外いじめ」があります。また、この記事では扱いませんが、家庭内で行われる子どもへのDVも、いじめに該当する行為といえるでしょう。

いじめ問題の解決のための録画や録音

もし学校内で起こっているいじめであれば、真っ先に先生やスクールカウンセラーに相談することが大切です。

ただし、学校側が解決に向けてどれだけ努力をしてくれるかは、いじめによって子どもが命を落としたというニュースが後を絶たないとおり、正直にいって心もとないといえます。いじめの証拠を突きつけることで、学校側の真摯な対応をうながす必要があるかもしれません。

学校外いじめの場合はどうでしょうか。学校のような特定の空間ではなく、公園や空き地、路地裏、商業施設など、ありとあらゆる場所で行われる可能性があります。また、同じ学校の同学年や近い学年だけでなく、他校の生徒やつながりのある先輩後輩が関わることがあり、事態はより複雑になるでしょう。過去に起こった凄惨な少年犯罪も、このような学校外いじめがエスカレートした結果として、重大な犯罪にいたったケースが少なくありません

学校内であれ学校外であれ、いじめ問題を解決するには、親や近親者が子どもの異変に気づくこと、そして、子どもがその事実を明らかにしたら、解決のために速やかに行動することが大切です。

たとえば、いじめの証拠を得るために、録画や録音をすることが、解決の糸口になるかもしれません。

いじめ現場の録画や録音は現実的か

録画については、スマートフォンの録画機能を使って現場をおさめる方法が、まず思い浮かびます。しかし、いじめの現場で当の本人が実行できるかというと、極めて困難です。

いつも決まった場所でいじめが行われるのであれば、物陰にスマートフォンやデジタルカメラを隠して撮影できるかもしれません。とはいえ、都合のよい置き場所があるかどうかはわからないこと、屋外などでは紛失や盗難のリスクもありえることから、そう簡単ではありません。もし発覚した場合、いじめがエスカレートするきっかけになることも考えられます。

もし自宅に子どもの友人が遊びに来て、ただ遊んでいるだけかと思いきや、実はいじめ(暴行や恐喝など)が行われており、それが常態化している場合は、子ども部屋をひそかに録画する、といった方法があるでしょう。このように、極めて限定的な状況でないと、録画を実行するのはむずかしいのです。

一方、録音であれば、録画に比べて実行できる可能性が高いでしょう。たとえば、子どもの通学カバンや制服、普段の持ち物にICレコーダーや盗聴器を忍ばせるだけであれば、いじめている側がそのことを知らずに、録音を実行できるからです。

小学校低学年の児童の場合、とっさの操作はむずかしいため、長時間録音できる機器を用意し、登校前から録音を開始しておく、といった工夫が必要です。逆に、中学生や高校生であれば、スマートフォンを持ち歩いていることは珍しくなく、ボイスアプリで首尾よく録音できるかもしれません。

なお、年齢が上がるにつれて、身体的な暴力をともなうケースが増えるため、録音機器を服に取りつけたり、持ち物に忍ばせるとしても、わかりにくい場所にする必要があります。

ここで、文部科学省調査の「学年別加害児童生徒数」を見てみましょう。

  • 児童 = 小学生(特別支援学校の小学部の在籍者を含む)
  • 生徒 = 中学生・高校生(特別支援学校の中学部・高等部の在籍者を含む)

学年別加害児童生徒数(文部科学省調査/2018年度)

暴力行為(対教師暴力、生徒間暴力、対人暴力、器物損壊)を行った加害児童生徒数を学年別に集計したグラフです。小学生の間は年齢が上がるごとに数がゆるやかに増え、中学生になると急増することがわかります。

男子は特に、中学生になると急に背が伸びたり、声変わりをしたり、体毛が濃くなったりと、体つきが大人に近づくと同時に、性的な衝動も強くなります。また、他者の支配欲求が強くなったり、心身のバランスを失して粗暴な行動に走りがちです。

したがって、中学生の間で起こるいじめ問題は、身体的な暴力や器物損壊をともなう可能性が高いことを認識しておく必要があります。このことは、直接的にも間接的にも、物証(物的証拠)が生じやすいことを意味します。

いじめの証拠集めの法的な根拠

さて、いじめの証拠を押さえるための撮影や録画、録音は法的に許されるのでしょうか

民法第720条(正当防衛及び緊急避難)では「他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない」とされています。

いじめの証拠を収集する行為は、いじめられている本人やその家族が安全に生活する権利を守ること、つまり「正当防衛」にあたると考えられるのです(秘密録音に関するこちらの記事を参照)。

また、いじめは重大な人権侵害です。その解決のために行動することは、基本的人権のひとつである生存権(日本国憲法第25条)を守ることとイコールです。

実際に、いじめ問題の解決に取り組む団体でも、証拠として音声データを収集することを勧めているところが多いようです。また、保護者が弁護士や探偵事務所などに相談し、収集方法についてアドバイスを受けたり、具体的なサポートを受けるケースも珍しくありません。

いじめの証拠は「直接証拠」と「間接証拠」の2つ

いじめの解決のためには、証拠をできるだけ多く集めることが大切です。

ひとくちに証拠といっても「直接証拠」と「間接証拠(情況証拠、状況証拠)」がありますので、整理して考えておきましょう。

直接証拠

直接証拠は、いじめられた本人といじめた側とその行為が特定できるような証拠です。たとえば、次のようなものが該当します。

  • いじめ現場の音声データ(ただし、音声から当事者間の関係が把握できるもの)
  • いじめ現場の映像データ(ただし、映像から当事者間の関係が把握できるもの)
  • 当事者間のSNSメッセージ内での発言(暴言や誹謗中傷など)
  • いじめた側の証言(自白)
  • いじめた側が損壊した器物(ただし、誰が損壊したか明確にわかるもの)

間接証拠

間接証拠は、いじめの事実を間接的に推測させる証拠のことです。たとえば、次のようなものが該当します。

  • いじめられた本人の記録や証言
  • 第三者の記録や証言(他の児童や生徒、本人の家族など)
  • インターネット掲示板への投稿(実名や学校名の暴露など)
  • いじめられた本人が損壊された器物(傷ついたり壊れたりした持ち物、汚れたり破れたりした服など)
  • いじめによってケガを負った場合の医師の診断書

直接証拠としての音声データの注意点

直接証拠の中でも「音声データ」については、音声から当事者間の関係が把握できるものでないと、証拠能力が低い点に注意が必要です。

加害者の名前やいじめ行為(悪口や暴力など)が特定できる必要があるので、録音にあたっては、いじめられている本人が、あえて相手側の名前を呼ぶ(「◯◯くん、やめてよ」など)、どのような行為かを発言する(「殴るなんてひどいよ」など)といった工夫が求められます。もちろん、一度の機会でうまくいくとは限りません何度も機会をうかがい、粘り強く続けることが大切です。

いじめた側の子どもや保護者は、間接証拠だけではいじめの存在そのものを否定したり、言い逃れをはかったりする可能性があります。また、学校も問題解決のために動いてくれなかったり、事実の隠蔽や責任逃れをしたりするかもしれません。

直接証拠、特に音声データの存在は、このような事態を防ぐ後押しになります。万が一、裁判に訴える場合でも、自らの主張を裏づけるために有利に働くでしょう。

なお、少年法によって、未成年者の刑事責任は制限されています。刑事責任が問えるは14歳以上です(2000年の少年法改正前は16歳以上でしたが、凶悪な少年犯罪が後を絶たないことから、2歳引き下げられました)。

大人であれば刑事責任が問われるような行為も、13歳までの少年少女であれば責任が問われないことになり、民事で争うしかありません(14歳以上であれば、刑事責任が問えますが、量刑の緩和措置があります)。

話し合いの場でも「録音」を徹底しよう

いじめの証拠が集まったら、まずは学校側と話し合いの機会を持つ必要があります。また、いじめた側の保護者や子ども(子どもたち)と話し合う場合があるかもしれません。

このような話し合いの場も、きちんと録音しておくことが大切です。

学校側に「安全配慮義務」と「いじめ防止対策」を強く求める

いじめが存在することについて、学校側には「安全配慮義務」と「いじめ防止対策」を求めるかたちで、責任を問うことができます。

安全配慮義務は、学校において児童生徒が安全な環境で安心して生活できるよう、学校・教師が負っている義務です。

教師自身がいじめ現場を目撃していた場合、児童生徒から直接いじめ被害を受けているという申告をされた場合、校内でいじめが起きているという事実を誰かから聞いた場合などには、学校関係者は因果関係や被害の内容などを調査し、解決する義務があります

また、いじめ防止対策は、「いじめ防止対策推進法」にもとづく学校の義務です。個別のいじめに対して学校が講ずべき措置として、いじめの事実確認、いじめを受けた児童生徒またはその保護者に対する支援、いじめを行った児童生徒に対する指導またはその保護者に対する助言、いじめが犯罪行為と認められるときの所轄警察署との連携を求めています。いじめられている児童生徒の生命または身体の安全が脅かされているようであれば、ただちに警察に通報する必要があります。

学校側との話し合いの場で、いじめの存在を認めなかったり、上記のような義務を果たす姿勢が見えない場合は、教育行政を司る教育委員会や、人権問題として法務局に相談したり、暴行や器物損壊が行われているのであれば、刑事事件として警察に被害届けを出すことも選択肢となるでしょう。このようなポーズを見せることが、学校側の対応をうながすきっかけにもなります。

保護者同士や子どもたちでの話し合いは、問題をこじらせる場合も

学校側との話し合いのあと、いじめの当事者同士での話し合いが提案される場合があります。

注意したいのは、保護者同士や子どもたちでの話し合いによって、いじめが解決に向かうどころか、双方の関係がいっそう悪化したり、いじめられた側の児童や生徒が不登校になったりする、という報告が多数あることです。

もちろん、いじめの程度が軽い場合や、小学校低学年で悪意がそれほどない場合は、話し合いによって解決に向かうケースもあるでしょう。しかし、保護者同士や子どもたちでの話し合いが、必ずしもいじめをなくすことには直結しない、と考えておくべきです。

どのような経緯であれ、もし話し合いの場が持たれるのであれば、ICレコーダーやスマートフォンで会話を録音しておきましょう。自分がいじめられている子の親だとすれば、怒りや憤りを抑え、冷静さを保つように自らを言い聞かせる一助にもなるはずです。

まとめ

以上、いじめ問題を解決するという観点から、証拠としての音声データの有効性を考えました。

いじめは大人の世界にも存在しますが、いっそう未成熟な存在である子ども同士のいじめのほうが、肉体的な暴力に訴えがちであり、時に残虐な行為をともなう可能性があります

また、最初は遊び半分のつもりでも、次第にエスカレートしたり、巻き込まれる人数が増えてしまうことも、子ども同士のいじめの特徴です。スマートフォンやSNSが普及し、大人の目が届かないところで、子どもたちだけで密に連絡し合える現在、この傾向は特に顕著です。

ご自分のお子さんが「いじめの被害に遭っているかな」「いじめ問題に巻き込まれているかな」と思ったときに、この記事を思い出してもらえたら幸いです。

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