ホーム ハラスメント 夏休み明け、子供の様子に要注意。9月1日に18歳以下の自殺が多く発生するわけ

夏休み明け、子供の様子に要注意。9月1日に18歳以下の自殺が多く発生するわけ

この記事のサマリー

  • コロナ前まで夏期休暇明けの9月1日が、子供の自殺数が多い日だった
  • 5類感染症への移行で生活がコロナ前に戻り、再び9月1日には要注意
  • 自殺の原因は「いじめ」だけではなく、年代や性別により傾向が異なる
  • 学校・家庭以外の「第3の居場所」を作る、心を学んで視野を広げるのがおすすめ
  • 必要であれば、録音・録画によっていじめや暴言の証拠を残すことも

目次

はじめに

今とても辛い思いをしている方へ。

死ぬほど辛い場所に居続ける必要はありません。
その場所以外に、あなたが快適に感じる本当の居場所があります。

その辛い場所が「家庭」や「学校」であっても、あなたに合わなければ別の場所を探しにいきましょう。

※ 本記事には、自殺や自傷に関する内容が含まれています。ご自身の責任の下でお読みください。

学校がはじまるのが「死ぬほど辛い」と感じる子供たち

平成27年(2015年)に、過去40年のデータを元に文部科学省から発表された「18歳以下の日別自殺者数」では、多くの学校で夏休みが明ける9月1日に自殺者数が群を抜いて高いことが明らかになりました。

これは「9月1日問題」とも呼ばれています。

出典:文部科学省「18歳以下の日別自殺者数」(PDF)

日別データが発表されたのは平成27年(2015年)のため、その後のコロナ禍による生活や就学環境の変化により、近年のデータには異なる傾向があるようですが、新型コロナウィルスの流行前年までは同様の傾向が見られました

以下のデータは、令和4年(2022年)2月24日に文部科学省から発表された数値です。紫の折れ線グラフがコロナ流行前の令和元年(2019年)、黄色がコロナの流行が始まった令和2年(2020年)、赤色が継続して警戒期間だった令和3年(2021年)です。

令和2年と令和3年とも、前年までと比べて大幅に増加し、400名を超えたことがわかります。

出典:文部科学省「児童生徒の自殺対策について 令和4年2月24日(木)」(PDF)
※ グラフ上の「参考」の文章と、9月の赤枠は加筆。

令和2年(2019年)は先行きの見えない不安さから、子供たちだけではなく全年代で自殺者が増え、対前年比912人(約4.5%)増という悲しい年でした。児童生徒だけでも100人増となりました。詳しくは後述しますが、子供たちの自殺の原因として多い中に「家庭問題」が挙げられています。特に自宅学習が増えたとされる令和2年〜3年では、「学校へ行けない(=逃げ場がない)」という理由で追い詰められてしまい、自ら命を絶った命を児童生徒も少なくないと考えられます。

今年、つまり令和5年(2023年)5月8日からの新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により、児童生徒たちの生活はコロナ前に戻りつつあります。しかし、自宅学習の多かった2年間から、通学が当たり前の状態に戻り、そして夏期休暇と、多感な子供たちの心がどのように変化しているのかは未知数です。大切な子供たちを守るために、大人は注意深く見守ってあげる必要がありそうです。

学校種別では、どの年でも高校生の自殺者数が多い傾向です。

高校生は小学生、中学生に比べ、親などの大人の影響を受けるよりも、自立に向けて自分自身で深く考える年頃であり、その分、問題を抱え込みやすい年代といえます。周囲の大人はいっそうの注意が必要です。

出典:文部科学省「児童生徒の自殺対策について 令和4年2月24日(木)」(PDF)
※ 9月の赤枠は加筆。

子供たちは何に追い詰められているのか?

子供の自殺の理由といえば「いじめ」と決めつけてしまっては、SOSを見落としてしまうことがあります。どのような理由で子供たちが追い詰められてしまうのかを知ることが、適切な見守りのための大きなヒントになります。

厚生労働省が平成21年(2009年)から令和3年(2021年)を対象期間に調査した、学生や生徒などの自殺の原因・動機では、小学生では「不詳」の割合が多く、次点が「家庭問題」でした。

中学生・高校生では男女で差が大きく、男子中学生は「不詳」が最多女子中学生は「学校問題」が最多でした。一方、男子高校生では「学校問題」が最多女子高校生では「健康問題(主にうつ病や精神疾患など)」が最多でした。

高校生では男女ともに「不詳」の割合が大幅に減り、「男女問題」が原因・動機の上位に入っているのが特徴です。また、高校生の「学校問題」については、校内や学友の問題というよりも「学業不振」や「入試・進路の悩み」が大きな理由です。

小学生の自殺の原因・動機の割合

理由 男子 女子
1 不詳 46.9% 41.7%
2 家庭問題 35.9% 20.0%
3 学校問題 21.9% 21.7%
4

その他
(犯罪発覚等・犯罪被害・後追い・孤独感・近隣関係など)

1.6% 3.3%
5 健康問題 1.6% 6.7%

中学生の自殺の原因・動機の割合

理由 男子 女子
1 不詳 43.4% 28.6%
2 学校問題 31.0% 38.6%
3 家庭問題 19.8% 26.0%
4

健康問題

7.5% 15.5%
5 その他
(犯罪発覚等・犯罪被害・後追い・孤独感・近隣関係など)
6.4% 8.4%

高校生の自殺の原因・動機の割合

理由 男子 女子
1 学校問題 35.6% 27.9%
1 健康問題 15.5% 31.8%
2 家庭問題 13.2% 17.6%
3

男女問題

7.8% 9.5%
4 その他
(犯罪発覚等・犯罪被害・後追い・孤独感・近隣関係など)
9.2% 7.7%

厚生労働省の「令和4年版 自殺対策白書」では、「家庭問題」の中でも項目が別れており、「親子関係の不和」「家族からのしつけ叱責」などの詳しい項目や数値を見ることができます。特に高校生の理由は多岐にわたっていますので、ぜひあわせてご覧ください。

出典:厚生労働省「令和4年版 自殺対策白書」(PDF)

「死にたい」から「死のう」に変わる前に

前述のとおり、死に至ってしまう子供たちの理由はさまざまですが、追い詰められている子は共通して視野が狭くなってしまっている状態です。

いま意識が集中してしまっている「絶望」(学校であったり家庭であったり、自分自身の心の問題であったり)とは、まったく異なる視点や世界を知ることで、「死にたい」という気持ちをシフトチェンジすることができる可能性があります。

いくつかの方法をご紹介しますので、まさに「辛い状況にあるお子さん(親御さん)」や「辛そうなお子さん(親御さん)」を知っている方は、ぜひ共有してあげてくださいね。

1. 「家」や「学校」のほかに第3の居場所(サードプレイス)を作る

「学校」や「家庭」は子供の力では変えることが難しい世界のため、本人が心穏やかに居心地よく感じる第3の場所(サードプレイス)を見つけてみましょう。放課後の児童クラブや子ども食堂など、子供たちのためのサードプレイス作りは年々増えていっています。

保護者が協力的で金銭的な援助ができる場合には、興味のある分野の体験学習をしてみたり、学校以外の習い事をはじめてみたりもおすすめです。インターネットを利用すれば、趣味の探求も新しい友だちを見つけることもできる時代です。第3の居場所は健全な場であることが重要であり、ある程度の注意は必要ですが、もし自分の力で心から安心できる場所を見つけられたとき、いまの苦しい居場所がとても狭い世界だったと、きっと感じるはずです。

もし何も見つからないというお子さんには、図書館でぼーっとしてみることを勧めるとよいでしょう。

2015年8月26日、鎌倉市中央図書館が「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい」とSNSで発表しました。図書館は入場料も何もかかりません。図書館には『図書館の自由に関する宣言』というものがあり、たとえ子供であっても来館者のプライバシーは尊重され、来館者がどんな本を読んでいても、ただ空間を静かに楽しんでいても「そっとしておいてくれる」場所なのです。

参考:日本図書協会「図書館の自由に関する宣言」

2. 心や脳の仕組みを学んでみる

「死にたい」「辛い」という理由の本質を学んでみるのもおすすめです。

たとえば「心の病気」といわれるうつ病は、脳の物質バランスがくずれてエネルギーが低下した状態だといわれています。栄養の偏りや生活習慣の乱れからも発生するといわれており、たとえば「太陽の光を浴びる時間が不十分(セロトニンの不足)」という原因で心のバランスを崩す人がいます。

また、「カサンドラ症候群」と呼ばれる、家族をはじめとした身近な人が発達障害などで、コミュニケーションや情緒的な相互関係を築くことが難しいため、不安や抑うつなどの心身の不調を来たすこともあります。

心や脳を勉強することで、辛いと思う気持ちの原因を知ることができるかもしれません。同時に、「大人である親自身にもコンプレックスやさまざまな問題があるのだ」と気づいたり、「いじめていた相手の生育環境や精神状態に問題があるようだ」など、「自分のせい」や「自分が悪い」と思い、追い詰めてしまっていた心を解放してあげることができるかもしれません。

いまは、心や脳について医師や専門家がわかりやすく解説してくれているYouTube動画で、いつでもどこでも学ぶことができます。おすすめのチャンネルをいくつか紹介しますので、ぜひ見てみてください。

精神科医がこころの病気を解説するCh

早稲田メンタルクリニックの院長、益田先生による、さまざまな心の問題を解説するチャンネルです。週一回に行われるYouTubeライブでは視聴者からの質問にも答えています。

名越康文TV シークレットトークyoutube分室

精神科医(専門は思春期精神医学)の名越先生によるYoutubeチャンネル。心に関する解説が中心ですが、ゲーム実況をしながらゲーム内の精神分析を行ったりとバラエティに富んだチャンネルです。不定期に視聴者からの質問に答える動画も投稿しています。

ほかにも、心の問題について専門家が解説しているチャンネルはたくさんあります。まずは身近なYouTube動画を通して、自分の心のうちを覗いてみてはいかがでしょうか?

辛い気持ちを抱えている人が「心」や「脳」について学ぶと、視野がグッと広がるはずです。そして、いつか同じような状況の人に出会い、相談されたときに、誰よりも助けとなるでしょう。

3. 一矢報いるために証拠を残す

いじめであったり家庭の問題であったり、他者からの悪意によって追い詰められている場合には、記録をつけてみるのがおすすめです。

第三者の助けを得る際には客観的な証拠としては録音や録画があることが一番確実ですが、相手にバレずに動画を撮影するのはかなり難しいかもしれません。また、「証拠を持っている」ということ自体が被害に遭っている人の心を強くすることもあります。

現在では、長時間録音が可能なボイスレコーダーやスマートフォンアプリがあるため、いつ起こるかわからないいじめや暴言への対抗策としては音声データの録音がおすすめです。

iPhone、Androidのどちらでも使える無料の音声録音アプリ「Voistand」では、

  • バックグラウンドでの長時間録音が可能
  • スマホの容量を気にしなくてもよいクラウドデータ保存
  • カレンダーUIなので、いつどこでの録音かがわかりやすい
  • AIによる自動文字起こし機能がある

など、いじめや暴言に悩まされている人が証拠を得るのに役立つ機能が充実しています。

無料で利用できますので、ぜひお試しくださいね。

iOS版(App Store) https://apps.apple.com/jp/app/id1544230010#?platform=iphone
Android版(Google Play Store) https://play.google.com/store/apps/details?id=com.voistand.app

Voistandをさらに詳しく知りたい人は、ぜひ以下の過去記事をご覧ください。

過去記事:録音や音声メモに無料スマホアプリ「Voistand」を使おう。その7つのメリットとは?

まとめ

追い詰められた人が死に至ろうとするエネルギーを持ったとしても、その気持ちを一瞬でもほかのことに逸らすことができれば、生存率がぐんと上がるといわれています。

ただ、自分の置かれている環境に「耐える」「我慢して居続ける」のではなく、「もうあんな場所は知らない。自分には他に楽しい場所がある」と考えてください。

辛い状態に置かれている方が、よい「第3の居場所(サードプレイス)」を見つけられることを願っています。

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