Amazonは現地時間の2025年3月28日より、Echoデバイスの「音声録音を送信しない」機能のサポートを終了することを発表しました。
Amazonのプライバシーデータの扱いについてはたびたび訴訟問題に発展しており、Voista Mediaでも何度か取り上げてきていました。本件の対象地域に日本が含まれるかどうかは公式発表がない状態ですが、複数の海外メディアが本件を取り上げ、論議が広がっています。
Amazonからの通知内容
きっかけは、3月15日にEchoシリーズのユーザー宛にAmazonから送られた案内メールだったようで、明らかになっていることは以下の通りです(3月27日現在)。
AmazonのEcho(第4世代)、Echo Show 15、Echo Show 10でサポートされている「音声録音を送信しない」を有効にしているユーザーに、「Amazonの安全なクラウドの処理能力に依存する生成AI機能によってAlexaの機能を拡張し続けているため、音声録音を送信しない機能のサポートを終了することにしました」という内容だったようです。
これに先立ち、Amazonは2月27日の発表会で、生成AIを使った次世代バージョン「Alexa+」を発表しています。
Alexa+で期待されている機能のひとつに、Alexa Voice IDと呼ばれる、音声を元に話しかけている人物を認識する機能が搭載されいます。Alexa+はVoice IDによって、話者ごとにカレンダーに登録されたイベントのリマインドや、音楽の共有などができるようになります。
Amazonは「音声録音を保存しないことを選択した場合、Voice IDは機能しない可能性があります」という旨も発表しており、Alexa+の機能をフルに利用する場合には、音声録音を許可することが必須のようです。
Alexa+の機能の日本語対応は今のところ未定であるため、前述のとおり音声録音の送信について日本も対象となるかは不明です。通知メールには「安全なクラウド処理能力に依存する生成AI」とはあるものの、過去にAmazonが音声データの不正利用や防犯カメラへの不正アクセスなどについて訴訟を起こされたことは事実であり、プライバシー問題が懸念されます。
日本語対応を進めるためにも、一足早く音声データを取得したいという意図がある可能性も十分に考えられるでしょう。
Echo(第4世代)、Echo Show 15、Echo Show 10は個人利用のほか、企業で導入が進められているケースもあります。プライバシーや守秘義務を厳守したい環境では、利用の継続は慎重に検討したほうがよいかもしれません。
まとめ
AlexaやSiriなどスマートデバイスの音声アシスタントは、ここ数年でもう一段階の進化が見られる時期に来ているようです。
Siriの開発を進めるAppleでは、独自システムのApple Intelligenceの発表の際に「セキュリティを考慮し、デバイス完結で処理を実現する」と発表し、音声データとプライバシー問題に対するひとつの解決策を示しました。
なお、和解済みではありますが、先のAmazonの訴訟では「数千人の子どもの音声データと位置情報を違法に保持していた」という問題もありました。昨今ではサイバー攻撃や情報流出が増えており、Amazon側にデータ悪用の意図はなくとも、犯罪のターゲットになったり、トラブルに巻き込まれたりする可能性も考えられます。
音声にまつわるさまざまな生成AIが世の中を豊かにしていく中で、どのサービスを利用するかの判断軸に「プライバシー保護」を置くのもよいかもしれません。