2020年9月17日に提供が開始されたiPhone向けOSの新バージョン「iOS 14」。今回のアップデートのうち、オーディオ関係で注目されているのが、AirPods Proと組み合わせて利用できる「空間オーディオ」です。
空間オーディオは、まるで映画館にいるように、四方から包まれるように音声が聞こえる3Dオーディオ機能のこと。5.1chサラウンド、7.1chサラウンド、ドルビーアトモス(Dolby Atmos)に対応した動画や音声で、配信プラットフォームがサポートをしていれば、空間オーディオとして楽しめます。
動作条件は次のとおりです。
- iOS 14またはiPadOS 14がインストールされているデバイス
- AirPods Pro(AirPodsでは非サポート)
それでは、iPhoneでの空間オーディオの設定方法を見ていきましょう。
空間オーディオの設定方法
設定で「Bluetooth」を開き、AirPods Proの右側の「i」をタップします。
スクロールで下のほう行き、「空間オーディオ」をオンにしましょう。
すぐ下の「機能を試してみる」をタップすると、機能チェックの画面に移ります。
ステレオオーディオは、通常のステレオ(2ch)ですので、当然ながら左右からしか音が聞こえません。
一方、空間オーディオは、頭上、背後、斜めからの音が加わり、まさに音の空間に包まれているような感じがします。ヘッドホンの装着感が弱まり、環境に溶け込んでいる感覚になります。
以上で設定は終了です。
空間オーディオに対応している動画配信サービス
現状、空間オーディオに対応しているサービスは多くありませんが、Apple TVをはじめ、Disney+、HBO Maxなどが対応を開始しているようです。
たとえば、Apple TVで、映画のビジュアルの下のほうに「Dolby Atmos」のロゴがあれば、その映画を空間オーディオで楽しめます。
ダイナミックヘッドトラッキングにも注目
iOS 14では、頭の向きや位置が移動しても、空間と音の位置関係が維持され、臨場感が損なわれることなく音声を楽しめる「ダイナミックヘッドトラッキング機能」がサポートされました。
AirPods Proに搭載されているジャイロセンサーを活用しています。
たとえば、正面を向いて映画を見ているときに、映像の中で大きな爆発音が鳴ったとします。直後に左を向いたときに、爆発音の残響が右のほうで聞こえることで、空間的な認識と音の関係が維持される、ということです。
自動スイッチング機能でデバイスの切り替えが楽に
iOS 14では、複数のデバイス間でのAirPods Proの接続先を自動的に切り替える「自動スイッチング機能」がサポートされました。
たとえば、iPadで映画を楽しんでいるときに、iPhoneに電話がかかってきたとします。この際に、AirPods Proの接続先をiPhoneに自動的に切り替えてくれます。iPhoneでの通話が終わったら、一時停止中のiPadの映画を再生すれば、AirPods Proの接続先が自動的にiPadに戻ります。
iOS 14、iPadOS 14、tvOS 14、macOS Big Sur(2020年秋リリース予定)を搭載しているデバイス同士でスイッチングが可能です。
まとめ
以上、iOS 14とAirPods Proの新機能「空間オーディオ」を中心に解説しました。
動画配信サービスが空間オーディオに対応すれば、映画などの映像作品はもちろん、360度カメラやVRカメラで撮影した動画の視聴体験が大幅に向上するでしょう。
なお、iOS 14ではもうひとつ、「ヘッドフォン調整」という地味ながら便利な機能が搭載されましたので、ぜひ記事をご覧ください。