みなさんは職場内や仕事上で付き合いのある人と、よく「雑談」をしますか?
職場に毎日出社している人はもちろん、リモートワークが中心の人はなおさら、「雑談をほとんどしていない」「必要な要件だけの会話しかしない」という人が少なくないでしょう。
しかし、後述のとおり、雑談にはさまざまな効果があることがわかっており、職場で自然と雑談がしやすい環境を整えることは、管理職やチームリーダーに求められる条件のひとつといえるでしょう。特に、リモートワークが一部または全社的に導入されている会社が珍しくない現在、オフラインよりもオンラインを前提に「雑談環境」を整えるのが効果的です。
それでは、職場における雑談のメリットを見たあと、リモート時代の雑談に関する実態調査を取り上げます。
雑談のメリットは3つ
社員同士や仕事仲間が積極的に雑談をすることで得られるメリットは、主に次の3つです。
1. 職場の心理的安全性の向上
雑談によって、周りの人と仕事以外のつながりができ、話しやすい環境が作れます。他の人に仕事以外の部分で魅力を感じたり、他愛のない会話の中で本音を吐露し合ったりすることで、人間的なつながりが強くなります。このようなコミュニケーションによって、社員同士の警戒心が薄まり、職場の心理的安全性が向上します。
また、人間関係のストレスが減ったり、よい意味での仲間意識や帰属意識が生まれたりすることで、個々人のメンタルヘルスの改善やモチベーションの向上にもつながるでしょう。
2. 会議の活性化やアイデアの創出
普段の雑談だけでなく、定例会議などで雑談を交えて進行することで、これまで以上に意見が活発に出やすくなったり、新たなアイデアの発言をうながせたり、合意形成がしやすくなったりする効果が期待できます。
ともすれば、「会議はイヤイヤ参加するもの」と受け止められがちです。しかし、会議で自分にも発言の機会が頻繁にあり、自由な意見を言ってよいのであれば、前向きな姿勢で参加できます。これは、メリットの1や3の効果にも通じる大切なポイントです。
3. 業務効率の改善
特にリモートワークでは、業務で行き詰まったときにひとりで考え込んでしまったり、手が止まってしまったりすることがあります。雑談によって上司や同僚に気軽に相談できる雰囲気が生まれていれば、ひとりで悩まずに気軽に意見やアドバイスをもらえるでしょう。
また、雑談の中で、仕事の中身ではなく心構えや進め方などを教えてもらうことで、驚くほど効率が上がった、という経験をした人も少なくないはずです。このように、相手にわざわざ時間を作ってもらって意見を聞くのではなく、雑談の中でカジュアルに聞けるのは、業務効率や生産性の面からも大きなメリットです。
リモートワークで雑談ができずに困っている人が75%も
スコラ・コンサルトが2020年に発表した「『テレワーク下の雑談』に関する実態調査」では、リモートワークで雑談ができずに困っている人が75%もいるそうです。
データ・画像出典:スコラ・コンサルト「『テレワーク下の雑談』に関する実態調査」
具体的には、「仕事をするうえで『雑談』ができなくて困ることはありますか?」という質問に対して、「かなりある」が23.0%、「少しある」が51.7%と、74.7%の人が支障が出ていると回答しています(「ほどんどない」は3.5%、「あまりない」は21.7%)。
理由としては、
- 相手の考え方や状況が見えないため、相談や業務を依頼するタイミングがつかめない
- 対面でのコミュニケーションに比べ、オンラインツールや電話ではちょっとした確認や非公式での意見交換がしにくい
- 新しいアイデアの創出、発想の転換ができない
- 自然となされる情報共有ができず、効率的にならない
- 業務上必要なこと以外は話さない、報告系のみで心が通じ合う感じが生まれない
といったものがあります。
また、「職場のメンバーとの「雑談」が減って不安に思うことはありますか?」という質問では、「かなり不安」が20.0%、「少し不安」が49.6%と、69.6%の人が不安に思っていると回答しています(「ほとんど不安はない」は8.7%、「あまり不安でない」は21.7%)。
「かなり不安」または「少し不安」な人たちに「どんなことに不安を感じましたか?(複数回答)」と聞いたところ、一番多く選択された回答は「みんなの状況が分からない」で28.5%、次いで「ちょっとした相談ができない」が22.2%、「入ってくる情報が少ない」が20.9%となっています。
このように、リモートワークの浸透によって生まれた負の側面が、「雑談」という切り口から明らかになっているのです。
まとめ
以上、雑談のメリットと、リモート時代の雑談に関する実態調査のうち主要部分を取り上げました。
オンラインでの雑談について個人的に思うことは、たとえばSlackやDiscordなどのチャットツールでほとんど発言しない人も、ほかの人の発言はよく見ており、実はよいコミュニケーションになっている、ということです。私も、グループによってはよく発言をしますが、あまり発言しないグループでも会話をウォッチし、状況把握などに役立てています。
それでは、また別の機会に、オンラインを前提に「雑談環境」を整える方法を解説したいと思います。