新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、打ち合わせや会議、面談や面接をオンラインで行う機会が増えました。
通常、対面で会話するときには、声だけではなくリップシンク(声と連動した口元の動き)やアイコンタクト(目線)、仕草といった顔や体全体から、相手の態度や意図を判断していますが、オンラインでのコミュニケーションでは判断材料が限られています。
裏を返すと、声や話し方、表情などを少し工夫するだけで、好印象を与えることができるのです。
そこで今回は、オンラインの会議や面談で使える話し方テクニックを、話し方、テンポ、表情や仕草の観点から7つご紹介します。
話し方
子供のころ、さっきまで怒っていたはずのお母さんが、電話に出た瞬間、別人のように朗らかな声色に……という経験はないでしょうか?
このように一瞬で声色を変えることは、工夫次第でできるようになります。
特に会議や面談で使えるテクニックは、次の3つです。
1. 口角を上げる
口角を上げて声を出すこと。これだけで、笑顔ならぬ笑声(えごえ)で話すことができ、相手に好意的で聞きやすい声を届けることができます。
対面で会うことができないぶん、第一声では相手と話せてうれしいという気持ちを込めて声がけができると、会話を雰囲気よくスタートできるでしょう。
2. 強弱を変える
伝えたいポイントを意識し、声の大きさや抑揚を変えましょう。一本調子では内容が伝わりにくいもの。特に、資料の読み上げや説明の際は単調になってしまいがちなので、重要な部分を大きな声で、ゆっくりと力強く話すように意識しましょう。
たとえば、「この施策によってコンバージョンが5%アップしました」という一文では、「5%アップ」を少し大きな声で話すと、相手にとって印象深くなります。これを応用すると、複数の案を示すときに、一番おすすめの案を相手の印象に残るよう伝えることが可能です。
面接の場合も、面接官の印象に残ってほしいポイントは大きさや抑揚を変えて話すのがおすすめです。
3. 声色を変える
やや練習が必要ですが、TPOに合わせた声色を使うこともおすすめです。さきほどの「お母さんの電話」の例は、無意識的にTPOに合わせた声色になっていた、ということになりますが、これを意識的に行うことがポイントです。
面接、営業、プレゼン、重要な決議の場。それぞれで雰囲気がまったく異なりますので、場に合わせた声色を意識するとよいでしょう。
高い声は明るく元気な印象を、逆に低い声は信頼感や落ち着いた印象を与えるといわれています。
ひとつの商談の中でも、序盤では高くハツラツとした声色で話し、中盤で相手の悩みや課題を打ち明けてもらう際には、同調するような低い声へシフトするという感じで、オンラインでも相手に寄り添ったコミュニケーションが可能です。
俳優や声優がキャラクターに合わせた声色を使うように、場の雰囲気や自分のポジションに合った声色をイメージし、実際に表現できればベスト。一朝一夕にはいかないかもしれませんが、ぜひ心がけてみてください。
テンポ
オンラインでは、ほかの人が話している途中で発言をしないようにしたり、聞き手から話し手にうまく変わったり、ということが難しいものです。
テンポよく会話が進むように、次の2つを意識しましょう。
4. 会話の速度を合わせる
会議やプレゼンなどでまとまった情報を伝えるときには、ゆっくりとていねいに話すことで、自分も相手も落ち着きをもって会話の理解を深められます。
特に、人前で話すことに慣れておらず、緊張しがちな人ほど、早くその場から切り抜けたいという心理から、つい早口になってしまいがちです。緊張しているときほど、ゆっくりとていねいに話すことを心がけましょう。
ブレストや社内のショートミーティングなどカジュアルな打ち合わせの場であれば、会話のスピードは速めが好まれるかもしれません。このような場面では、素早くレスポンスできるように心がけます。
もしアイディアや意見がぽんぽんと浮かばなくても、「それはつまり、こういうことですね」と出てきたアイデアを整理する、「◯◯について教えてもらえますか?」と質問するなど、積極的に会話に参加している姿勢を見せることも大切です。
迷ったときには、進行役や会話の中心人物のテンポに合わせることで、一体感のある会議にできます。
5. 発言の終わりを明確にする
発言の最後には「以上です」など、次の人が会話をしやすいように締めくくるのも喜ばれます。
オンライン会議で、発言タイミングに迷ってしまったことはないでしょうか?
前述のとおり、オンラインでは相手の仕草や視線がわかりにくく、音声の遅延などが発生してる場合もあり、会話にタイミングよく入り込むことが難しくなっているのです。
そこで、話し手側に回っているときは、発言の区切りを明確にすることで、ほかの人が会話に入りやすくなります。
表情や仕草
ここまでは会話にフォーカスしてお伝えしましたが、カメラから伝わる雰囲気にも意識ができるとよいでしょう。
特に大切な2つのポイントは、次のとおりです。
6. ジェスチャーをつける
非対面だからこそ、ジェスチャーや身振りを加えることもおすすめです。
たとえば、「1つめ、2つめ…」など数を示す時に指を使う、会話に加わりたいときには挙手をする、了承の際にOKサインを出すなど、ジェスチャーを意識的に取り入れることで、言葉以外でも意思を伝えることができ、会話を円滑に進められます。
Zoomなどでは、リアクションスタンプ(反応ボタン)を活用するのもよいでしょう。
7. うなずきや笑顔を多くする
相手が話している最中のうなずきや、空気が和らいだタイミングの笑顔など、リアクションを対面時よりもやや大げさにしてみましょう。
話し手にとっても、相手の反応は気になるところです。小さな画面でもわかるように反応をはっきりと示すことで、話し手に安心感を与えられます。
特に参加者が大勢いる場合は、相づちは声ではなくうなづきで表現するのが望ましく、ほかの人の発言を邪魔しないスムーズな会話のコツです。
まとめ
さて、すぐにでもできるテクニックを7つ紹介しましたが、普段のみなさんの話し方や表情と比べてみていかがだったでしょうか?
気になった人は、自分のオンライン会議の様子を録音してみるとよいでしょう。
自分の話し方の癖などが気になった人は、テレビのナレーターやYouTuberなど、こんなふうに話したいと思う人を参考に、聞き比べて練習してみるとよさそうです。
どのテクニックも、もちろん対面でも生かせます。この機会に身につければ、オフラインでの印象もグッと上がるはずです。
誰もが直面している新しい生活様式。特にオンラインでのコミュニケーションに不安を感じている人は、まずはこれとこれ、次はこれとこれ、という感じで、ゆっくりでよいので実践してみてください。