ホーム ハラスメント 「自分が悪いだけ……」被害者の認識を歪ませる心理的虐待「ガスライティング」とは?

「自分が悪いだけ……」被害者の認識を歪ませる心理的虐待「ガスライティング」とは?

この記事のサマリー

  • ガスライティングは洗脳でも使われる心理的虐待の手口
  • 記憶や認識を否定され続けることで、被害者は判断力や自信を失ってしまう
  • 周囲からの切り離しや加害者への依存心を高め、被害者をコントロールする
  • 否定されるづける人間関係ではガスライティングが発生する可能性が高い
  • コミュニケーションに不安を抱いたら、日常会話を録音してみよう

目次

何をしても否定され、自分の意見はいつも言いくるめられてしまう。時にはまでつかれ、共通の知り合いには「あいつは使えない」「本当にダメだ」と悪口を言われる始末……。気づけばいつも自分が折れてばかりで、相手を優先するようになってしまった。

そんな人間関係に心当たりはありませんか?

このような不均衡な関係では、ガスライティングと呼ばれる心理的虐待が生まれている可能性があります。

ガスライティングとは

ガスライティング(Gaslighting)は心理的虐待の一種で、些細な嫌がらせや嘘の情報を示すなどの悪質な行為を重ね、被害者が自身の精神や判断力を異常だと思うように仕向ける手口です。ガスライティングによる心理的コントロールを受けた被害者は、「自分が悪い。相手が正しい」と思い込むようになり、自信を喪失します。

ガスライティングにおいて、被害者は加害者への依存関係に陥りやすく、本来であれば虐待やハラスメントの被害に遭っているにも関わらず、被害者自身が問題に気づきにくくなってしまうという危険な傾向があります。

夫婦・恋愛・親子関係といった一対一での関係から、職場や学校といった集団でのハラスメントやいじめなど、さまざまなシチュエーションで起こりうる現象で、不平等な力関係が発生している場合に発生しやすい問題です。

用語の歴史は古く、舞台劇・映画の『ガス燈(Gaslight)』という1938年の物語が語源で、現在では臨床や学術論文で使用されています。

舞台劇・映画の『ガス燈』では、夫による嘘や小細工によって「妻は精神的に不安定で正気を失っている人物である」と知人や妻本人が思い込まされます。そうして次第に周囲から孤立した妻は夫に支配され、相続した遺産を夫に奪われるというストーリーが描かれています。劇中、屋根裏部屋で探し物をする夫に、家のガス燈が暗いことを指摘する妻でしたが、妻の思い違いだと言い張る夫に、妻は自身の気が狂ったのではないかと思わされており、タイトルはそれに由来するものです。

この物語にちなみ、1970年代後半以降から「虚言や孤立化によって相手の現実感覚を狂わせようとすること」を「ガスライティング」と呼ぶようになったようです。

ガスライティングの代表的な行為

ガスライティングは、正常な人間関係と異なり、主従や隷属のような関係性となることが特徴的です。

たとえば、被害者は常に加害者の視点に立って物事を考え、加害者の意見を優先するようになります
加害者は被害者の認識を常に否定し、「自身(加害者)の認識や意見がすべてが正しい」という振る舞いをします。

そのような関係にいたるまでに、被害者を精神的に追い詰める手法としては、次のようなものがあります。

問題を矮小化する

被害者にとって深刻な問題や、社会的に問題視されることについて「これくらい普通だ」「そんなことを気にするのは未熟である」「実はみんなやっていること」など、大したことではないように思い込ませます。加害者は被害者が過敏であるように振る舞うことで、被害者にその物事に言及することに後ろめたさを植えつけます。そうして被害者は価値観を狂わされてしまうのです。

周囲の人びとから嫌われるように仕向ける

被害者を知る周囲の人びとへ噂や嘘を吹聴し、被害者への悪印象を植えつけることで、周囲からの孤立を図ります。時に加害者は、自身が被害者であるかのように振る舞うことで、周囲への印象操作を行うこともあります。孤立は、無視や関わりの切り離しだけではありません。特に職場や学校などで中心的な人物が居るなど、集団の中に歪(いびつ)な力関係がある場合、多数の加害者が被害者を攻撃するといったガスライティング(ハラスメント・いじめ)に陥りやすいのです。

些細な嫌がらせを続ける

加害者は、日常的に使う物を隠す、置き場を変えるといった、小さな嫌がらせを続け、被害者からの指摘を待ちます。そして「あなたがやったのか?」と問われたときに「気のせいでは?」「被害妄想だ」「疑うなんて酷い」などと否定を繰り返します。被害者は、日常的な物事がスムーズに進まないストレスに加え、加害者からの否定が繰り返されることによって心身が疲弊し、判断力が鈍ったり、自身を見失っていったりします。

事実のねじ曲げ、否定

加害者は、被害者の認識や記憶をねじ曲げるように否定を繰り返します。たとえば、過去に発言したことを「言っていない」と言い張ったり、「嘘をつくな」と責める、「お前が勝手にそう思ったのだろう」などと相手にの記憶や認識が誤りであると指摘し続けます。被害者は、自身の記憶や認識を何度も否定されることにより、問題が起こったときに「自分の被害妄想だ」と思い込んだり、自分の考えに対して疑心暗鬼になったりするようになります。

加害者に依存するように誘導する

さまざまな嫌がらせや否定によって被害者を精神的に追い詰めたあとに、加害者への依存心を高めるケースもあります。相手のささいな落ち度を大げさに否定し、「本当にお前は俺がいないと、まともに生活もできない」などと言い、加害者が優位に立つように立ち回ります。恋人や夫婦間でのDVやモラハラ、親子関係といったクローズな関係で特に起こりやすいのがこの現象です。

また、周囲からの孤立状態となっている場合には特に泥沼化してしまうことが多く、とても長い年月にわたって(親子関係の場合では生涯にわたっても)この関係が続いてしまうことがあります

ガスライティングかも? と思ったら

ガスライティングは、洗脳の手口にもよく使われる危険な心理的虐待です。そして、洗脳状態に陥ってしまった人は、自分の状態に気づくことが難しく、いつの間にか人格が破壊され、加害者の奴隷状態になってしまっていることも。

「何を言っても否定される」「嫌がらせばかりしてくる」と感じた段階で、できればその相手とは距離をとりましょう。

それが難しい場合でも、「自分が悪い」と思い込む前に、加害者とは関わりがない第三者に相談するのが一番です。
ここで重要なのは、「加害者と共通の知り合いには相談しない」ことです。もしガスライティングが発生している場合、その共通の知り合いはすでに加害者の味方となっている場合があるからです。

「言った」「言わない」などの論争をはじめ、コミュニケーションのトラブルに対処するには、日ごろの会話を録音してみるのがおすすめです。録音を聞き直すことで自分自身の発言を客観的に判断できる材料にもなりますし、誰かに相談をするときにも実際の会話を聞いてもらうことで、公平な意見をもらうことができるでしょう。

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まとめ

ガスライティングの被害に遭い歪められてしまった認識や踏み躙られてしまった尊厳は、取り戻すのに時間がかかります。加害者と離れた後も、加害者から植え付けられた思考の癖や自責の癖が残ってしまい、被害者の人生に大きな影を落としてしまうのです。

まずは「おかしいな?」と思った時にすぐに第三者の協力を仰ぎ、加害者とはできるだけ早いうちに距離を取ることをお勧めします。

もしも長い間の被害に苦しみ、疲弊してしまった心をを回復したいと考えた時は、心理カウンセラーをはじめとしたメンタルヘルスの専門家へ相談をしてみてくださいね。

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