ホーム ハラスメント インバウンド観光客が言われて嫌な言葉とは? 気をつけたいマイクロアグレッションとトラブル

インバウンド観光客が言われて嫌な言葉とは? 気をつけたいマイクロアグレッションとトラブル

この記事のサマリー

  • マイクロアグレッションとは、無意識の偏見や差別によって誰かを傷つけること
  • 外国人に対する出身国のイメージの押しつけが、相手を傷つけることもある
  • スマホアプリの翻訳など、テクノロジーを上手に使ったコミュニケーションを

目次

以前の記事 マイクロアグレッションとは? 日常会話に潜む、他人を思わず傷つけてしまう危険性 では、マイクロアグレッション(microaggression)の概要について解説しました。マイクロアグレッションは、日本語に訳せば「小さな攻撃性」のことであり、具体的には「無意識の偏見や差別によって、誰かを傷つけること」を指します。

今回の記事では、円安の影響もあり急増しているインバウンド観光客が「言われて嫌な言葉」を通して、主に日本人から外国人に対するマイクロアグレッションを見たあと、観光トラブルへの対応策を考えてみたいと思います。

外国人が嫌な言葉の代表例は「日本語がお上手ですね」

外国人(観光客だけでなく、日本に在住している人も含む)が言われて嫌な言葉の代表例は、「日本語がお上手ですね」です。

この言葉を日本人の側からと、言われた外国人の側から考えてみましょう。

まず、日本人としては、悪気なく言っているケースがほとんどです。建前で大げさに褒めているケースがあるにせよ、相手が日本語を話してくれたうれしさもあり、リップサービスでつい口に出てしまった場合もあるはずです。

一方、言われた外国人はどのように感じるのでしょうか。

  • 日本語を話すスキルがまだまだだと自覚している外国人は、バカにされていると思う
  • 日本語を十分に話すスキルがある外国人にとっては、外国人は日本語がうまく話せないという思い込みのもとで対応されていることに不満を感じる
  • アメリカ人に「英語がお上手」とは言わないのに、なぜ外国人が日本語を少し話せると「お上手」というのかと疑問に思う

といった声があります。

日本人はよかれと思ってかけた言葉が、かえって外国人を傷つけることに。このようなお互いにとっての「不幸」は、日本人の側にあるアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が一因になっていることは明らかです。

国のイメージの「個人への押しつけ」に気をつけよう

たとえば、フランスなら「パリ」、インドなら「カレー」、ブラジルなら「サッカー」などなど。誰にでも、ある国に対してステロタイプなイメージがあるでしょう。

しかし、フランスのパリではなく南仏のニース出身の人で、パリにはほとんど行ったことがなく、よく知らない人に対して、しつこくパリの話をした場合、相手はどのように感じるでしょうか。また、ブラジルから来た男性に「サッカーが得意なんでしょう?」とこちらのイメージを押しつけた場合はどうでしょうか。その人はサッカーの経験がなかったり、好きじゃなかったりするかもしれず、不快に感じるかもしれません。

誰にとっても、外国人である相手が、自分の国をよく知ってくれていたり、褒めてくれたりしたらうれしいはずです。ただし、その国のイメージを勝手に個人に押しつけることは、「会話の糸口を見つけたい」「相手と心を通わせたい」という思いとは裏腹に、かえって相手を傷つけてしまうかもしれないのです。

外国人に毅然と対応することが必要なケースも

先日、浅草の団子屋さんで、中国人観光客の態度が「日本人ではありえない」と話題になりました。

その観光客の女性は、目の前に並んでいる団子を勝手にとって食べたあと、味が想像と違ったらしく、お金を払わずに立ち去ろうとしたそうです。

団子屋の店員さんは、「ちょっとそれって失礼じゃない?」と日本語で怒っていました。

このように、風習や慣習の違い、マナーやモラルの違いから、外国人観光客とのトラブルが発生することがあります。

たとえば、ホテルの部屋の使い方や備品の持ち去り、飲食店の無断キャンセル、行列での順番待ちのマナーなどでトラブルになったケースをよく耳にします。

日本人は、外国人に対して及び腰になってしまったり、お客さんに対して過剰に低姿勢であったりと、「事を荒立てない」ことに腐心しすぎる傾向がありますが、日本という国に来ている以上、外国人にも日本のルールやマナーに合わせてもらう必要があります。逆にいえば、自分が日本人として外国に行った際も、その国のルールやマナーに合わせる必要がある、ということであり、当然のことです。

テクノロジーを味方につけて、
スムーズなコミュニケーションを

友人から聞いた話ですが、東京のある飲食店で、日本人のスタッフが英語などが話せず、外国人観光客とのコミュニケーションに苦労している姿を見たそうです。

日替わりメニューがボードに手書きで書いてあり、外国人からその説明を求められて四苦八苦していたようです。

結果として、スマートフォンアプリの「Google レンズ」を使って自動翻訳することで、何とかコミュニケーションし、無事注文できたとのこと。

すべての店舗が、英語だけでなくさまざまな言語に対応することは、現実的には不可能です。飲食店のメニューにしても、テーブルに配置したり壁に掲示したりするレギュラーメニューには日本語と英語を記載しておくことができたとしても、日替わりメニューにそれができるかといえば、できない店が少なくないはずです。また、たとえ英語を併記したとしても、そもそも英語が理解できない観光客には役に立たず、それでは何か国語に対応すればよいのかという、終わりのない議論、解決不可能な課題を抱えることになってしまいます。

筆者も数年前に海外旅行に行った際、お店のメニューがまったくわからず、言葉も通じずに困っていたところ、Google レンズの存在を思い出し、メニューを自動翻訳しおおむね理解した上で、自分が注文したい料理を伝えることができました。当時でも翻訳精度はなかなか高かった記憶がありますので、現在であればいっそう正確に翻訳してくれるはずです。

とにかく、スマートフォンアプリをうまく使うなど、テクノロジーの力を借りることで、外国人とのコミュニケーションを何とか成立させる方法を知っておくことスタッフに周知しておくことが大切だと考えます。

まとめ

オーバーツーリズム」という言葉があります。その地域のキャパシティ以上に観光客が押し寄せることを指し、日本の多くの都市で起こっている現象です。

筆者は東京に住んでいますが、六本木、銀座、新宿、浅草などの有名な地域だけでなく、下町といわれるエリア、乗降客数の少ない駅のエリアなどにも、外国人観光客が大勢いるのを見かけます。

観光庁もオーバーツーリズムについて問題意識を抱いており、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する関係府省庁対策会議を通じて「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」を公開しました。そこでも、「マナー違反行為の防止・抑制」が取り上げられており、政府・自治体としての取り組みの必要性が書かれています。

外国人観光客が増えれば、そのぶんトラブルも増えるのが必然です。

マイクロアグレッションを防ぐ観点から、日本人が外国人を言葉で傷つけてしまう機会が減るとともに、テクノロジーをうまく使って、できるだけ外国人とスムーズにコミュニケーションがはかれるようになることを願っています。

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