みなさんは、Googleの検索結果ページの上部に「AI Overview(AIによる概要)」が表示されることをご存知ですか?
AI Overviewは、Google検索でAIが検索キーワードに関連する情報を要約し、検索結果の上部に表示する機能です。この機能は、ユーザーがウェブサイトを個別に訪問することなく、検索結果ページ上で必要な情報を得られるように設計されています。
参考:Google Japan Blog「AI による概要 : ウェブにつながる新しい方法」
アメリカでは2024年5月から、日本では8月から、Google検索で提供されています。以前はSGE(Search Generative Experience)として開発されていましたが、正式に提供されたバージョンが「AI Overview(AIによる概要)」です。
なお、Advanced Web Rankingが2024年7月1日に公表した調査によると、AI Overviewが表示されるのはすべての検索キーワードのうち12.4%とされています。筆者の体感としてはもう少し高いと思いますが、それはAI Overviewが日に日に進化しているからかもしれません。
参考:Advanced Web Ranking「AI Overview Study for 8,000 Keywords in Google Search」
AI Overview(AIによる概要)の特徴
AI Overviewは、Googleが開発するAI「Gemini(ジェミニ)」を活用し、ユーザーの検索意図を理解した上で、複数のウェブページから情報を収集・要約します。表示される概要には、参照元ページへのリンクも含まれており、より詳細な情報を知りたい方は深堀りできるようになっています。
従来の検索結果とは異なり、AIが生成した要約が検索結果ページの上部に表示されるため、検索体験を大きく変える画期的な機能として注目されています。
特徴をまとめると、次のとおりです。
- AIによる要約
検索キーワードに関連する情報をAIが自動で要約します。 - 参照元ページのリンク
要約には参照元のウェブページへのリンクが含まれています。 - 検索結果の上部に表示
検索結果ページの上部に表示されるので、ユーザーが気づきやすい状態です。 - 検索体験の向上
ユーザーはウェブサイトを個別に訪問することなく、必要な情報が得られます。
AI Overview(AIによる概要)が出現しやすいキーワード
AI Overviewがすべての検索キーワードで出現するわけではないことは、すでに説明しました。
出現しやすいキーワードと出現しにくいキーワードをまとめると、次のとおりです。
出現しやすいキーワード
- 情報収集系のキーワード(「◯◯とは」「◯◯の意味」など)
- 具体的な方法やコツを調べるキーワード(「◯◯の方法」「◯◯の作り方」など)
- 商品やサービスの購買意欲を示すキーワード(「◯◯を買う」「◯◯を予約する」)
- 事例や具体例を求めるキーワード(「◯◯の事例」「◯◯のケース」など)
- 比較やまとめ系のキーワード(「◯◯の比較」「◯◯おすすめ」「◯◯ランキング」など)
出現しにくいキーワード
- 指名系のキーワード(特定の社名、商品やサービス名など)
- 地域系のキーワード(「新宿 居酒屋」「梅田 カレー」など)
- 最新情報に関するキーワード(「東京 今日の天気」「〇〇 試合結果」など)
- 問い合わせ先などの照会(「◯◯ お問い合わせ」「◯◯ 相談」など)
- 犯罪や公序良俗違反に関するキーワード(「万引き 方法」「駐車違反 逃れる」など)
- ほか、従来の検索結果のほうがよい(または十分と)されているキーワード
AI Overview(AIによる概要)のSEOやコンテンツへの影響は?
AI Overviewの登場により、SEOやコンテンツにも変化が求められています。具体的には次のような点です。
- ウェブサイトへの検索流入の減少(ゼロクリック検索の増加)
ユーザーがウェブサイトを訪問せずに情報を得られるため、検索結果ページでのクリック数、ひいてはウェブサイトへのアクセス数が減少する可能性があります。 - コンテンツの重要性の再認識
ユーザーの検索意図を深く理解した、高品質で独自性の高いコンテンツが求められます。具体的には、Googleが示しているE-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, and Trust、経験・専門性・権威性・信頼性)を高める工夫が必要です。 - 対話形式やQ&Aコンテンツの活用
ユーザーの対話形式での検索(「◯◯とは?」「◯◯について教えて」など)に自然なかたちで答えられるようなコンテンツづくりが、今後ますます重要となります。
AIによる自動生成コンテンツに自社の情報が取り上げられるための対策をLLMO(Large Language Model Optimization、大規模言語モデル最適化)といいます。
上記で具体的な方法をいくつか示しましたが、ほかにも次の点を意識してコンテンツを制作するとよいでしょう。
- 合理的な文書構造、正しい文章表現を心がけることはもちろん、リストや表で情報を整理する
- 情報源や引用元を明らかにし、透明性が高さや根拠の確かさを示す
- 会社概要などを整備し、発信者の権威性を高め、信頼できる情報源であることを示す
- 構造化データを導入し、AI(LLM)に情報を認識させやすくする
- 情報の信頼性を高めるために、定期的に情報を更新し、陳腐化を防ぐ
まとめ
以上、Google検索の「AI Overview(AIによる概要)」について説明しました。
AI Overviewによってユーザーの検索体験が高まると同時に、ウェブサイトの運営者としては検索流入の減少(ゼロクリック検索の増加)やコンテンツ制作面での変化に対応することが求められます。
対話形式やQ&Aコンテンツの活用については、音声検索とのマッチングを高める効果もありますので、別の機会に深堀りします。