ホーム 学習 ヘリコプターペアレントとは? 過保護・過干渉、子どもを常に監視したい親の姿

ヘリコプターペアレントとは? 過保護・過干渉、子どもを常に監視したい親の姿

この記事のサマリー

  • ヘリコプターペアレントは、子どもに過度に干渉し、監視しようとする親のこと
  • 子どもの自立心の低下、社会性の発達の遅れ、精神的な不安定などの悪影響も
  • 自主性を尊重する、適切な距離感を保つなど、過保護・過干渉にならないように

目次

みなさんは「ヘリコプターペアレント」という言葉をご存知ですか?

子どもに過度に干渉し、常に空から監視するように見守る親のことを指す言葉です。ハイム・G・ギノット博士の1969年のベストセラー著書『Between Parent & Teenager』の中で、10代の子どもが「母は僕の上をヘリコプターのようにホバリングして……」と不満を訴える話として登場したのが、この言葉の由来とされています。1980年代後半には「ヘリコプターペアレント」という用語として使われ、2000年代初頭にはアメリカの学校関係者が使用し始めたことで、広く普及しました。

以下、ヘリコプターペアレントの特徴子どもに与える影響そうならないための心がけについて見ていきましょう。

ヘリコプターペアレントの特徴

ヘリコプターペアレントは、まるでヘリコプターが上空を旋回するように子どもの周りを飛び回り、何か問題が起きそうだと判断するとすぐに介入して解決しようとします。具体的な特徴としては、次の5つが挙げられます。

1. 過保護・過干渉

親が子どもの失敗や困難を恐れるあまり、過保護・過干渉になる傾向があります。特に、せっかちな性格や完璧主義の方はこの傾向が強いといえるでしょう。

2. 状況を常に把握しようとする

電話やメール、SNSなどで頻繁に連絡を取り、または連絡をさせるようにし、子どもの行動を監視しようとします。

3. 子どもの代わりに決定する

子どもの意見をないがしろにし、親が子どもの進路や交友関係などを決めてしまうことがあります。

4. 失敗しないように先回りする

親が子どもの力を信用しておらず、失敗を避けるべく行動し、子どもが自分で解決する機会を奪います

5. 子どもを自分の所有物だと思っている

親が子どもを自分と同一視しており、または支配欲が強く、自分の思いどおりに行動させようとします。このような親には、子ども以外に人生の楽しみがない方も多いようです。

なお、ヘリコプターペアレントが生まれた背景には、

  • 少子化によって、一人の子どもに時間やお金、愛情が集中しやすくなった
  • 受験競争によって、小さなころから塾や習い事に通わせるなど、親が子どもの学習に深く介入するようになった
  • いじめ問題や子どもを対象にした事件などの社会不安によって、子どもの行動範囲や交友関係を把握する必要性が増した
  • 携帯電話やスマホ(GPS機能)の普及によって、子どもといつでもつながれるようになり、過度な連絡や監視が助長されている

といったことがあるようです。

ヘリコプターペアレントが子どもに与える影響

ヘリコプターペアレントは、子どもの成長を願う親心が、かえって子どもの自立を妨げてしまう可能性を示しています。たとえば、次のような子どもの心身への悪影響が考えられます。

1. 自立心・自己肯定感の低下

自分で考え、決断し、行動する機会が減るため、自立心が育ちにくくなります。また、自分で成功体験を積む機会や、失敗体験から学ぶ機会が減るため、自分に対する肯定感が低くなる傾向があります。

2. 社会性の発達の遅れや依存体質

人間関係を築く際にも親の干渉を受け続けることで、自分で選択するという経験が不足し、社会に適応するのが難しくなることがあります。また、親への依存体質を作ってしまうことで、何か困難に直面したときに対処できず、大きな挫折を味わうことにもなりかねません。

2. 精神的な不安定

失敗を恐れるあまり、ストレスを抱えやすくなったり、不安障害やうつ病になる可能性もあります。

ワシントンポスト紙は、2013年に「ヘリコプターペアレントに育てられた大学生はうつの割合が高い」、さらに「過剰な親の干渉は、(子供の)自主性と能力の発達を阻害する」と報告しています。

また、失敗経験が少ない子どもは完璧主義に陥りやすく、完璧な自分しか認められない、過ちは認めないという価値観になりがちです。あるいは、少しの失敗でも自分を責め続けることで、すでに触れた「自己肯定感の低下」の原因にもなりえます。

ヘリコプターペアレントにならないために

ヘリコプターペアレントになる原因には、自分自身のさまざまな経験や体験が関係していると考えられます。

  • 子どもがいじめや嫌がらせを受けたことがきっかけ
  • 親がヘリコプターペアレントだった影響
  • 子ども時代に親から愛情を十分に受けなかったり、育児放棄されたりしたトラウマ
  • 心配性
  • 境界性人格障害

といったものが挙げられるでしょう。

ヘリコプターペアレントになった親は、好きで過保護・過干渉になっているわけではなく、上記のような原因や、愛情の深さゆえかもしれません。もしかしたら、自分でも感情がコントロールができず、苦しんでいる方もいるでしょう。

すでに述べたとおり、子どもの成長にとって、親の過保護・過干渉は悪影響を及ぼす可能性があります。次のように心がけ、自分とは別の人格であるお子さんを、温かく見守りましょう。

  • 子どもの自主性を尊重する
    子どもの意見を聞き、自分で考え、決断し、行動する機会を増やしましょう。
  • 子どもの失敗を恐れない
    失敗は成長のチャンスと捉え、子どもが自分で解決したり、乗り越えたりできるように見守りましょう。
  • 子どもと適切な距離感を保つ
    過度に干渉したり、先回りして何でもやってしまったりせず、適度の距離感をもって子どもを支えましょう。
  • 親自身の趣味や関心事を持つ
    子離れできるように、趣味や関心事を持つことで、自分の生活も充実させましょう。

子どもの様子をよく観察し、「何をするにも、必要以上に親の顔色をうかがう」「自分で何にも決断できない」「(怒られるのを避けるために)人のせいにしたり、嘘をついたりしている」などと感じたら、子どもとの距離感を見直すサインと考えましょう。

子どもとよく話し合い、過保護・過干渉ではないか、もしそうだとしたら、今後はどのように行動すべきかを考えましょう。

まとめ

子育ての目標は「子どもの自立」です。子どもが自分の力で問題を解決できること、困ったときには自分から他者に助けを求めることを通して、自立に向かって成長していく姿を見守ることが親の役目です。

ヘリコプターペアレントは、子どもの自立を妨げるだけでなく、自分が生きている限り子育てを続けなければならない状況、子どもが親に依存し続ける状況を作り出しているといえます。それが子どもにとって幸せか不幸かは、火を見るよりも明らかです。

子どもを手助けするのも愛情ならば、あえて助け舟を出さず、ただ見守るだけにとどめるのも愛情であると、子を持つ親のひとりとして考えます。

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