「動画を見ながら、気づいたら朝だった……」という経験はありませんか?
YouTubeやNetflix、TikTokなどの動画を見ながらいつの間にか眠ってしまう。現代人にはよくある光景で、「動画があると落ち着いて眠れる」「無音だと逆に眠れない」という声も多く聞かれます。
しかし、この「ながら寝」習慣が、実は睡眠の質を大きく低下させ、長期的には認知症リスクを高める可能性があることをご存知でしょうか?
今回は、テレビや動画をつけたまま寝ることの科学的なリスクと、無音だとどうしても眠れない人への代替案をご紹介します。
ながら寝が引き起こす健康リスク
テレビや動画をつけたまま寝る「ながら寝」によって、具体的にどのような健康被害が起こるのでしょうか。科学的な研究結果をもとに、4つの重要なリスクを見ていきましょう。
1. 光とブルーライトが睡眠ホルモンを妨げる
テレビや動画をつけたまま寝ると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌や体内時計が乱れ、生活リズムに悪影響をもたらします。メラトニンは、暗くなると分泌される睡眠を促すホルモンです。しかし、テレビやスマートフォンの画面から発せられる光は、脳を覚醒状態に保ってしまいます。
特に問題なのがブルーライトです。スマートフォンやテレビのブルーライトは朝方の太陽光の明度に似ており、身体に「朝になったから起床しなさい」と知らせる信号になります。つまり、眠ろうとすべき時間に身体が「今は起きる時間だ」と誤解してしまうのです。その結果、寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠の質そのものが低下してしまいます。
2. 脳が休めず「知らない人の声」で学習疲れを起こす
睡眠中、私たちの脳は完全に休んでいるわけではありません。実は、周囲の音を監視し続けています。睡眠中の脳は「知らない人の声」に警戒モードで反応し、自動的に学習を続けてしまいます。
ドラマやYouTube動画の「知らない声」は、脳にとって警戒すべき対象です。テレビや動画を流しっぱなしにして寝ると、知らない人の声が延々と脳に浴びせられることで脳が学習疲れを起こしている可能性があります。
結果的に深い睡眠が得られず、朝起きても疲れが取れない、という状態になってしまうのです。
3. 肥満・糖尿病・うつ病のリスクが上昇
夜に光を浴びることは、体重増加や生活習慣病のリスクも高めます。
米環境衛生科学研究所(NIEHS)の医学誌「JAMA Internal Medicine」が発表した、35~74歳の女性4万3,722人を対象とした研究では、寝室でテレビや電灯をつけっぱなしにしている人は、5年間で体重が5kg以上増えるリスクが17%上昇し、BMI(適正値は22)が10以上増えるリスクが13%上昇したという発表がありました。
さらに、夜に部屋の明かりをつけて寝ている人は、糖尿病は2.00倍に、高血圧は1.74倍に、肥満は1.82倍に発症リスクが上昇したという研究結果もあります。
この研究は環境リスク要因と乳がんの発症との関連についての調査にて発見された結果のため、調査対象が女性限定となっているのですが、夜間の光によるストレスホルモンを刺激や、食欲の乱れ、代謝機能に悪影響を及ぼすという背景があるため、女性に限らず看過できない問題と言えるでしょう。
短期的には気づきにくいものの、長期的には深刻な健康リスクにつながるのです。
4. 睡眠中に「脳のゴミ」が処理できず認知症リスクに
睡眠の最も重要な役割のひとつが、脳内の老廃物を処理することです。睡眠中、脳細胞は縮んで脳細胞の間に隙間が広がることで、脳脊髄液による老廃物の掃除効率が上がります。
特に注目されているのが、アルツハイマー型認知症との関連です。
アルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβタンパク質は、一晩でも睡眠が不足すると脳内に蓄積されるリスクがあります。テレビをつけたまま寝ると、深い睡眠(ノンレム睡眠)が妨げられるため、この老廃物を十分に洗い流せなくなるのです。
睡眠は「脳の大掃除」であり、その質を保つことが、将来の脳の健康を守ることになるつながるです。
どうしても無音では眠れない人への解決策
ここまで、テレビや動画をつけたまま寝ることのリスクをお伝えしてきました。しかし、「突然無音だと不安で眠れない」という方やも多いでしょう。そんな方のために、睡眠の質を下げずに心地よく眠るための代替案をご紹介します。
1. まずは就寝環境を見直す
ながら寝の習慣を変えるには、まず就寝環境の見直しから始めましょう。
- 寝る1時間前からテレビ・スマホを見ない
脳を覚醒状態から休息モードに切り替える時間を作りましょう。 - 部屋を暗くする
遮光カーテンや間接照明を活用し、メラトニンの分泌を促しましょう。 - 寝室を「眠るための空間」として整える
ベッドでスマホを見る習慣をやめ、寝室を睡眠に特化した空間にしましょう。
2. ピンクノイズやブラウンノイズを活用する
「無音だとどうしても眠れない」という方には、ピンクノイズやブラウンノイズがおすすめです。
これらのノイズは、YouTubeやSpotify、専用アプリなどで簡単に聴くことができます。
睡眠時に聴く時のポイントは次の3点です。
- スピーカーやスマートフォンから小音量で流す
- タイマー機能で入眠後1時間程度で切れるように設定
- 音量は50dB以下を目安に
50dBは人が普通に話している際の音量で、静かな事務所や木々のざわめき程度の大きさです。具体的には、静かな事務所や家庭用エアコンの室外機の音量に相当します。寝室で聞くなら、さらに小さめ(40dB前後)が理想的です。
長時間の使用は避け、入眠後1時間程度で切れるようにしましょう。一晩中流し続けると、かえって睡眠の質を下げる可能性があります。自分が心地よいと感じる音を選び、適切な音量で活用することが大切です。
ピンクノイズとは
雨音や川のせせらぎなど、1/fゆらぎを持つ音で、人間の心拍にも含まれるためリラックスできます。自然界の音に近く、脳が警戒することなく受け入れやすいのが特徴です。
ピンクノイズは入眠をスムーズにし、邪魔な背景音をマスキングする効果があり、脳波がスローダウンするため睡眠の質が向上します。睡眠中にピンクノイズを流すと、深い眠りを示す徐波睡眠(ノンレム睡眠)が増え、記憶の再編成が促進されます。
ブラウンノイズとは
ピンクノイズよりさらに低周波を大きく出し、深い轟きのような音で、低音の迫力を心地よく感じる人にぴったりです。飛行機内にいるときに聞こえるジェット音のような、くぐもったノイズ音が特徴です。
ピンクノイズが高音寄りなのに対し、ブラウンノイズはより低音が強調されているため、人によって好みが分かれます。両方試してみて、自分に合った方を選ぶとよいでしょう。
これらのノイズについて、詳しくは以下の過去記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
過去記事:安眠や集中に効果があるホワイトノイズやピンクノイズとは? 耳を守るノイズコントロール術も
まとめ
睡眠は「脳の大掃除」です。毎日の睡眠習慣が、20年後、30年後の健康を左右します。今日から少しずつ、睡眠環境を見直してみませんか?
音声記録で睡眠日記をつけてみるのもおすすめです。
睡眠の質を改善するには、まず自分の睡眠環境を知ることが大切です。iOSの音声録音アプリ「Voistand」を使えば、寝る前の習慣や、目覚めた時の気分を手軽に音声日記として記録できます。
「今日はテレビを消して寝た」「ピンクノイズを試してみた」「久しぶりにぐっすり眠れた気がする」など、睡眠改善の取り組みを音声で記録してみてはいかがでしょうか?
Voistandは音声日記をつけるのにも便利な機能が盛りだくさんです。
- クラウド保存
スマホの容量を気にせず、長期的な音声日記として活用できます - カレンダーUI
過去の記録を日付ごとに振り返り、どの習慣が自分に合っているか確認できます - AIによる自動文字起こし
音声を文字化するため、後から見返しやすく整理も簡単です - 自動管理機能
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