ホーム ビジネス 安眠や集中に効果があるホワイトノイズやピンクノイズとは? 耳を守るノイズコントロール術も

安眠や集中に効果があるホワイトノイズやピンクノイズとは? 耳を守るノイズコントロール術も

この記事のサマリー

  • さまざまな周波数の音がミックスされたノイズがある
  • SNSを中心に「聴くだけで集中力や睡眠の質の向上になる」と話題に
  • ノイズ自体の効果か、周囲の音をマスキングしているためかは未だ不明
  • 生活の音を十分に拾いながら周囲の音をセーブできる耳栓にも注目が集まる
  • 耳からの多すぎる情報をセーブすることは、脳の健康につながるかも

目次

リラックス、安眠、集中力の向上などの効果で注目を集めているノイズがあります。

それは「ホワイトノイズ」「ピンクノイズ」「ブラウンノイズ」と呼ばれるノイズです。YouTubeやTikTok、Instagramなどで話題となっており、「脳がリフレッシュできた」「勉強に集中できた」など好意的な意見が見受けられます。

心を安らげるノイズが話題となる一方、仕事や勉強中に周囲の話し声や騒音のせいで気が散ってしまったという経験がある方も多いでしょう。大きすぎる騒音や雑音は集中力を阻害します。ここに着目し、周囲の音をセーブする「イヤープラグ」にも注目が集まっています。

今回はそんな、心に影響を与えるノイズのコントロール術をご紹介いたします。

リラックスできて、集中力が増すノイズ音

最近注目されている「ホワイトノイズ」「ピンクノイズ」「ブラウンノイズ」は、さまざまな周波数の音がミックスされたノイズです。ノイズ自体が睡眠や集中力向上へ導く効果があるのか、それともノイズによって周囲の雑音がマスキングされるために効果が発揮されているのかは未だ研究中のようです。

しかし、SNS上で大きな反響を呼んでいるように、「周囲の会話や物音で気が散ってしまう」という人には、会話や音楽と異なり、意味を持たない「ノイズ」を活用することは、脳内の情報処理に役立つ選択肢になるかもしれません。

これらのノイズは、「サー」「シャー」といった換気扇やテレビの砂嵐のような音に近く、それぞれは周波数によって呼び分けられています。周波数とは音を生む空気振動が繰り返される回数を指し、人間の耳は周波数が高い音を高音として感じるようになっています。

人によって心地よい周波数のノイズは異なるため、ぜひYouTubeなどで検索し、聴き比べてみてください。

  • ホワイトノイズ
    低い周波数から中程度の周波数、高い周波数まで、それぞれが同程度でミックスされ、周波数が均等に広がっている音
    テレビの砂嵐やラジオの無線などに似た高めのノイズ音です。
  • ピンクノイズ
    ホワイトノイズとブラウンノイズの中間の周波数を持った音。
    同じ周波数成分を持つ光がピンク色に見えることから、こう呼ばれています。
    滝や大雨の時の雨音などに似た、少し落ち着いたノイズ音です。
  • ブラウンノイズ(ブラウニアンノイズ/レッドノイズ)
    ホワイトノイズやピンクノイズと比べて低い周波数で、柔らかい音質に聞こえます。
    飛行機内にいるときに耳にするジェット音のような、くぐもったノイズ音です。

最近では、ノイズを活用した睡眠導入用のスマホアプリもあるようです。

デメリットにも注意

いいこと尽くめのように見えるのこれらのノイズですが、注意すべき点があります。
一定の周波数のノイズに長時間さらされることによって、脳や聴覚に悪影響を与えてしまうこともあるようです。

まずは集中したいタイミングや、リラックスしたい入眠前に2〜3時間のタイマーをかけ、小音で利用することから始めてみるのがおすすめです。

雑音をカットするイヤープラグ(耳栓)「Loop」

ノイズをリラックスや集中力向上に活用することが話題になる一方で、そもそも生活ノイズをカットするという方法を取る人も増えています。

ささいな雑音が気になって眠れない、オフィスで作業に集中したいのに周りの音が気になってしまう、音楽ライブやスポーツ観戦の際、音が大きすぎて疲れてしまう……。そんな人のために開発されたのが、「Loop(loop earplugs)」というイヤープラグ(耳栓)です。

イヤープラグ「loop earplugs」

loop earplugs 公式サイト

一般的な耳栓と異なり、素材によって騒音の低減レベルを設けているため、より日常的な使い分けが可能です。

睡眠や集中が必要なときや旅行向けに最大26dBのノイズを低減してくれるものから、ライブ・イベントで耳を保護しつつ周囲の音がクリアに聞こえる18dbのノイズを低減してくれるもの、人の多い場所での雑音をセーブして会話の補助となる目的で16dbのノイズを低減してくれるもの、これら3つの機能を備えたものまで、目的に応じた4つの製品が用意されています。

16dbのものは、会話を妨げることなく周囲の音を拾い、音による耳障りを柔らかくしてくれるため、ミソフォニアや聴覚過敏といった音に敏感な人をはじめ、在宅ワークや自宅学習、子育て中の人などにも幅広く重宝されているようです。

ちなみに、外部のノイズを遮断する「ノイズキャンセリングヘッドフォン・イヤフォン」は、ヘッドフォンやイヤフォンに内蔵されたマイクから周囲の雑音を拾い、同じ波形でありながら180度反対の周波数を持つ音(逆位相)を出して打ち消すしくみになっています。優秀なノイズキャンセリング機能を持つ製品ほど周囲の音をていねいに消してくれますが、ウォーキングやランニング中に車が近づく音に気づけなかったり、話しかけられていることに気づけないというデメリットがあるため、適度な消音機能を備えたイヤープラグが注目を集めているようです。

関連過去記事:咀嚼音にタイピング音。流行りのASMRすら不快? ミソフォニア(音嫌悪症)や聴覚過敏とは

音から耳を守るべき理由

さて、なぜ私たちは音から耳を守る必要があるのでしょうか?

アメリカのOSHA(米国労働安全衛生庁)は、聴覚を損なわないようにするために、90db SPL以上の各音圧に耐えられる最長限度時間の目安を示しています。日本の自治体が示している騒音の具体例や目安とあわせて表にしてみると、以下のとおりです。

おおむね、85〜100dBの音(救急車のサイレン、パチンコ店内、カラオケ音など)を6〜8時間連続して聴くと耳を痛めてしまうといわれています。さらに、110〜120dBの環境(自動車のクラクションや飛行機のエンジンの近く)では30分も経たずに耳を痛めてしまうようです。

また、ライブやイベントで大きな音に晒されたあとに耳鳴りがした場合は「騒音性難聴」の初期段階になってしまっている可能性があります。

騒音値の目安

db SPL OSHAの
最長限度時間
騒音の大きさ うるささの目安
20db SPL 木の葉の触れ合う音
雪の降る音
きわめて静か
30db SPL 深夜の郊外
鉛筆での執筆音
静か
40db SPL 閑静な住宅地の昼
図書館内
50db SPL 家庭用エアコンの室外機(直近)
静かな事務所の中
普通
60db SPL 走行中の自動車内
普通の会話
デパート店内
70db SPL 高速走行中の自動車内
騒々しい事務所の中
セミの鳴き声(直近)
うるさい
80db SPL 走行中の電車内
救急車のサイレン(直近)
パチンコ店内
90db SPL 8時間 カラオケ音(店内中央)
犬の鳴き声(直近)
きわめてうるさい
95db SPL 4時間
100db SPL 2時間 電車が通る時のガード下
地下鉄の構内
105db SPL 1時間
110db SPL 30分 自動車のクラクション(直近) 聴力機能に障害
115db SPL 15分
120db SPL 回避推奨 飛行機のエンジンの近く
近くの落雷

騒音対策にヘッドフォンやイヤフォンで音楽を聴くという人も多いのですが、ヘッドフォンの音量や利用時間によっては、難聴を加速させてしまう危険性もあるので、あわせて注意したいところです。

過去記事:ヘッドホンの音量や利用時間に注意! ヘッドホン難聴を防ぎ、耳の健康を保つ方法

睡眠に影響を与えない騒音レベルは30dB以下(深夜の郊外、鉛筆での執筆音など)といわれています。30dBは「ささやき声」ほどの音量です。もし幹線道路や線路の近くに住んでいて、なかなか寝付けないという悩みを抱えている人は、屋外の音をかき消すために小さなノイズ音を流してみたり、イヤープラグを試してみても良いかもしれません。

まとめ

いかがだったでしょうか。

絶えず人間の脳は情報を処理しています。多すぎる情報は脳を疲れさせ、認知機能やワーキングメモリーの低下につながるということはよく知られています。不要な情報をセーブするためにも、たまには日常の音から離れ、脳をできるだけ休めてみてはいかがでしょうか?

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