裁判所または裁判官(判事)が、その権限(司法権)の行使として法定の形式で行う判断のこと。
憲法第76条では「すべて司法権は、最高裁判所及び法律に定めるところにより設置する下級裁判所に属する」とされる。下級裁判所には、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所がある(裁判所法第2条)。
公正な裁判のために、日本では「三審制(三審制度)」がとられている。第一審、第二審、第三審の3つの審級の裁判所を設け、原則的に3回までの反復審理を受けられる制度である。第一審の裁判所の判決が不服であれば、第二審の裁判所に不服申立て(控訴)でき、第二審の裁判所の判決にも不服であれば、さらに第三審の裁判所に不服申立て(上告)できる(控訴と上告をあわせて「上訴」という)。
裁判は、民事裁判と刑事裁判に大別される。なお、裁判の一連の過程や手続きを訴訟という。
民事裁判(民事訴訟)
主に私人間の財産や権利・義務に関する争いを法律に照らして判断すること。訴える人を原告、訴えられた人を被告という。両者は、法律の専門家である弁護士を代理人として依頼する。
裁判がはじまる前や途中で、両者の話し合いによって争いが解決した場合を「和解」といい、以降の裁判は不要となる。また、両者と裁判官や調停委員(社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人)が一緒に話し合い、解決に向かうことを「調停」という。
なお、民事裁判の中でも、国や地方自治体などの行政機関を相手に行われる裁判のことを行政裁判という(公害訴訟など)。
刑事裁判(刑事訴訟)
刑法で規定されている犯罪の存否を判定し、存在した場合は刑罰を課す判断を下すこと。訴える人は検察官であり、訴えられた人を被告人という。
犯罪をしたと思しき人物を警察などの捜査機関が「被疑者」として特定し、検察官に取り調べを依頼することを「送検」という。送検には、容疑者が事実を隠蔽したり逃走したりする可能性がある場合は身柄送検、こういった可能性がない場合は書類送検として処理する。
検察官(検事)が取り調べをした結果、犯罪を行った可能性が高いと判断した場合に、裁判所に刑事裁判を求める。このことを「起訴」といい、被疑者は「被告人」という呼称になる(犯罪を行った可能性が低いと判断した場合や、犯罪の程度が軽く、再犯の可能性がないと判断した場合は不起訴処分となる)。
弁護士は、被疑者または被告人の弁護人として、面会や事実調査、弁護活動(身体拘束からの解放の要求など)を行う。
なお、重大な犯罪に関する刑事裁判では、国民の中から選ばれた一般人が「裁判員」として、裁判官とともに審理に参加する(裁判員制度)。