転職をお考えの方に朗報です。
2025年(令和7年)4月から施行される新しい雇用保険制度によって、失業手当(失業保険)の給付制限が、自己都合の場合でも現状の2か月から1か月に短縮(厳密には7日間の待機期間が含まれるため、2か月と7日から1か月と7日へ)されます。
この制度変更により、4月以降は現在よりも転職がしやすくなり、転職者が増える傾向になると見られています。
失業手当(失業保険)とは?
一般に失業手当や失業保険といわれるものは、正式には「失業等給付」といい、「労働者が失業した場合及び雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、必要な給付を行うとともに、その生活及び雇用の安定を図るための給付」です。
就労時に雇用保険に加入しており、保険料を12か月以上納めていれば、退職後にハローワークへ必要書類を提出すると給付を受けられます。
失業等給付を受けられるのは、次の2つの条件を満たす人です。
- 失業状態にあり、ハローワークで求職の申し込みを行っている
- 離職の日以前2年間で、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上ある
条件内の「失業状態」とは、「就労とする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるが就労につけていない状態」を指します。そのため、病気やケガ、育児・介護といった「すぐに働くことができない状態」にある場合は失業手当の受給はできません。
なお、自己都合ではなく、倒産や解雇を含む「会社都合の退職」の場合や、「正当な理由のある自己都合による離職(給与の未払いやパワハラ・セクハラなど含む」の場合には、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば受給できます。
失業保険をもらえる日数は、年齢と雇用保険に加入していた期間によって異なりますが、最低90日、最大で330日です。
所定給付日数の区分はハローワークのサイトで確認できます。
給付の金額は退職時の給料の50~80%程度です。詳細な金額は、年齢や雇用保険の加入期間や、退職前の半年間の給料(賞与などを除く)によって異なります。、給付率を算出するには複雑な計算が必要です。正確な金額はハローワークで確認しましょう。
退職後から失業等給付までの流れ
退職後、ハローワークへ書類を提出し、実際に失業等給付がなされるまでは以下の手順が必要です。
- ハローワークへ書類を提出
※ 書類は後述 - 待機期間:7日間
※ 仕事をしていない状態を確認する期間 - 給付制限期間:2024年3月末まで2か月、2024年4月以降は1か月
※ 自己都合退職の場合のみ。教育訓練給付の対象講座を受けている場合には、給付制限なし - 失業の認定
- 給付開始:最低90日、最大で330日
- 給付終了
自己都合退職、会社都合退職を問わず、待機期間の7日間は必ず発生するため、退職した場合には書類が揃い次第、すぐにハローワークで手続きを開始することをおすすめします。
失業等給付の申請時に必要な書類など
ハローワークで失業等給付の申請手続きを行うために必要な書類は、以下のとおりです。
1. 雇用保険被保険者証
自分が雇用保険に加入していることを証明する書類です。
退職時に会社から忘れずに受け取りましょう。
初めて就職して雇用保険に入ったタイミングで発行され、多くの場合は会社が管理しているため、もし退職時に渡されなかった場合は、連絡すれば返却してもらえることが多いようです。
雇用保険に加入しているにも関わらずもらえなかった場合には、ハローワークで発行してもらうことも可能です。
2. 雇用保険被保険者離職票1(資格喪失確認通知書、離職票)
自分が離職中であることを証明する書類です。次の3とあわせて「離職票」と略されます。
在職中に離職票の発行を会社に申し出ましょう(不要な場合もあります)。
離職者の氏名・性別・生年月日などの個人情報や被保険者番号、離職年月日などが記載されています。個人番号(マイナンバー)や失業等給付の振込先金融機関を自分で記入する欄がありますので、金融機関はハローワークに行く前に記入し、個人番号はハローワークに行った際に記入します。
会社によっては、申し出なくても離職票を発行してくれる場合がありますが、発行されなかった場合には受給が送れてしまうので、退職前に自分から申し出ておくことがおすすめです。
会社が離職証明書を発行し、ハローワークに提出
↓
退職後10日をめどにハローワークが離職票を発行(会社に交付)
↓
会社が離職者に送付
といった流れで発行されるため、退職してから10日前後で手元に届きます。
3. 雇用保険被保険者離職票2
勤務していた会社の情報や賃金の支払い状況、離職理由などが記載された書類です。
雇用保険被保険者離職票1と一緒に発行されます。
雇用保険被保険者離職票1と同様に、退職してから10日前後で手元に届きます。
4. マイナンバーカード
個人番号の記入の必要があり、同時にその個人番号が正しいことを証明できる書類が必要です。
個人番号確認書類として認められるのは、以下の3種類です。
- マイナンバーカード
- マイナンバー通知カード
- 個人番号の記載のある住民票
5. 身元確認書類
失業保険の手続きでは、身元確認書類は以下の3種類が認められています。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 官公署が発行した身分証明書・資格証明書
6. 証明写真(2枚)
手続きに際し、写真が2枚必要になります。サイズなどの規定は以下のとおりです。
- 縦3cm×横2.4cmの正面上半身
- 6カ月以内に撮影したもの
- 正面を向いており、上半身が写っているもの
ハローワークへ提出する写真に服装の規定はありませんが、就職活動にも使えるようスーツで撮影しておくことをおすすめします。
7. 印鑑
朱肉を使って押印するタイプの印鑑が必要です。
浸透印(シヤチハタなど)は「インクが消えてしまいやすい」「ゴム製のため時間の経過で印影が変わる可能性がある」「同じ印影を持つものが大量に存在する可能性がある」という理由で禁止されています。
8. 普通預金通帳・キャッシュカードなど、振込先口座が確認できるもの
失業等手当の振込先口座の確認のため、普通預金通帳またはキャッシュカードが必要です。
雇用保険被保険者証離職票1に振込先口座を記入する欄がありますが、通帳やキャッシュカードの情報と照合し、「正しい口座番号か」「本人名義か」などの確認を行います。
離職票上は「自己都合退職」でも会社都合退職になるケース
すでに説明したとおり、失業等給付の受給開始時期は
- 会社都合退職では7日間の待機後すぐ
- 自己都合退職では2か月後(2025年4月からは1か月後)
というように、退職理由によって異なります。
失業理由は「雇用保険被保険者離職票2」に記載されており、ハローワークはそれを元に給付開始日時を決定します。
しかし、自己都合退職として会社から書類を発行されても、実は会社都合退職に変更できるケースも存在します。
ここで、退職事由(退職理由)について整理してみましょう。
【自己都合退職の事由】
- キャリアアップのための転職
- ライフスタイルや家庭の事情(介護や育児など)による退職
- 病気療養
【会社都合退職の事由】
- 倒産やリストラなど、会社側の業績不振による退職
- 解雇
- 雇用契約の終了
- 支店や店舗の閉鎖
【自己都合退職から会社都合退職に変更できるケース】
- 雇用契約書と実際の仕事内容が大きく異なる
- パワハラ・セクハラなどの理由で退職をせざるを得ない
- 不当な給与カットや未払いがある
- 慢性的に残業時間が長い
過去記事「ハラスメント被害にあった上、非情な退職勧告。会社都合で離職するための7つのコツ」でも紹介したように、ハラスメント被害などがあった場合には、証拠を持参することでハローワークを通して会社都合に変更してもらえる可能性があります。
退職理由の交渉が難しい場合にも、ICレコーダー、スマホアプリ、カメラ撮影などでハラスメントの証拠を残しておくことや、いつ何があったかの日記(日常的に被害があったことの証明になる)を用意してハローワークへ相談をしてみましょう。
iPhoneで使える無料の音声録音アプリ「Voistand」では、ハラスメントやDVといったいつ起きるかわからないコミュニケーショントラブルに対して寄り添った機能が搭載されています。
- バックグラウンドでの長時間録音が可能
- スマホの容量を気にしなくてもよいクラウドデータ保存
- カレンダーUIなので、いつどこでの録音かがわかりやすい
- AIベースの自動文字起こし機能がある
- 過去の音声データの取り込みや文字起こしが可能
など、ハラスメントやDVなどに悩まされている人を助けるための機能が充実しています。
まずは無料で利用できますので、ぜひお試しください。
iOS版(App Store) | https://apps.apple.com/jp/app/id1544230010#?platform=iphone |
Voistandをさらに詳しく知りたい人は、ぜひ以下の過去記事をご覧ください。
過去記事:録音や音声メモに無料スマホアプリ「Voistand」を使おう。その7つのメリットとは?
まとめ
いかがだったでしょうか?
止まらない物価高の一方で伸び悩む賃金という社会情勢や、コロナ後の雇用環境の変化によって働き方の見直しや転職は今後も増えていく見通しです。
自己都合の場合の給付制限の短縮(2か月と7日から1か月と7日へ)は2025年4月からが対象です。生活苦の中で安心して転職市場で戦っていくためにも、失業等給付の手続きなど退職後の流れも考え、事前準備を万全にして退職するのがおすすめです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。