今年は新型コロナウィルスの影響もあり、忘年会の開催自体が少なくなっている傾向があります。しかし、そんな中で決行される「リアルの忘年会」や「リモート忘年会」に対して、憂鬱な気持ちになっている人もいるのではないでしょうか?
もちろん、飲み会が好きな人は、親睦を深める場として楽しみにされているでしょう。お酒をたしなむ人もノンアルコールで参加する人も、普段できない会話で盛り上がったり、参加者の意外な一面が見られたり。
そんな楽しい雰囲気を壊すのが、アルハラ(アルコールハラスメント)です。
今回は、飲み会などお酒の席が苦手な人も、ストレスなく忘年会・新年会シーズンを過ごせるような、アルハラ被害の回避ポイントをご紹介します。
アルハラの定義は5つ
まず、特定非営利活動法人アスク(アルコール薬物問題全国市民協会)が定める「アルハラの定義」として、以下の5項目が挙げられています。
- 飲酒の強要
上下関係・部の伝統・集団によるはやしたて・罰ゲームなどといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むこと。- イッキ飲ませ
場を盛り上げるために、イッキ飲みや早飲み競争などをさせること。「イッキ飲み」とは一息で飲み干すこと、早飲みも「イッキ」と同じ。- 意図的な酔いつぶし
酔いつぶすことを意図して、飲み会を行なうことで、傷害行為にもあたる。ひどいケースでは吐くための袋やバケツ、「つぶれ部屋」を用意していることもある。- 飲めない人への配慮を欠くこと
本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる、宴会に酒類以外の飲み物を用意しない、飲めないことをからかったり侮辱する、など。酔ったうえでの迷惑行為
酔ってからむこと、悪ふざけ、暴言・暴力、セクハラ、その他のひんしゅく行為。
無理にお酒を勧めることだけがアルハラではなく、飲み会の席で行われる迷惑行為も含まれている点に注目しましょう。
無礼講という言葉を悪用し、普段ならセクハラにあたるようなプライベートな話を根掘り葉掘り追求することもNGです。
また、お酒が好きな筆者も言われたことがあるのですが、「今日はちょっと体調が」なんてときに「アルコール消毒しちゃえば大丈夫」なんてジョークも、相手が困ってしまうほどお酒を強要するのであればアルハラに該当します。
コロナ禍だからこその、巧妙な誘われ方
「今年はリモートばっかりだったから、たまにはみんなで集まらないと」
「インフルエンザより感染する確率は低いらしいし」
こんな誘われ方をしてしまった場合、気の弱い人であれば、断るかどうかを1週間以上悩んだ末、憂鬱な気持ちで「参加します」と返事をしてしまうかもしれません。
飲み会の上手な断り方
断りにくい誘われ方をしてしまった人も、安心してください。
すでに断るテクニックをお持ちの方もいるかもしれませんが、いくつか断り方の例を挙げてみますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
リアルの飲み会
- 別の予定が入ってしまっている
- 家の用事で
- 冷蔵や冷凍の宅配が時間指定で届くので
- 年末に帰省するので、コロナの感染リスクを絶対に避けたい
オンライン飲み会
- 家のネット回線の調子が悪くて
- 今月はもうギガ(モバイルのパケット通信量)がなくて
- パソコンの調子が悪く、長時間のZoomは厳しくて
- 家族が帰宅して騒がしい
丸く納めたい方は、自分では調整が難しい事象を理由にしてしまうのが、角が立たなくてよいでしょう。
理由を伝えても粘られることもあるかもしれませんが、理由を伝えたあと、すぐさま「誘ってもらえて嬉しかったです」と続けて話題を締めくくってしまうとよいでしょう。
幹事ができるアルハラ防止策
どうしても参加しなくてはいけないことが決まってる場合には、自ら幹事を引き受けるのも手です。飲み会中もあまり飲まずに、気働きに徹することが不自然ではないですから。
幹事としては、アルハラが起こりにくい環境のお店をピックアップすることが重要です。
ビンゴ大会などの催しがない忘年会であれば、落ち着いた雰囲気のお店、座敷式ではなく座席が決まっているオープンなお店を選ぶのがよいでしょう。
タッチパネルで注文できるお店も、周りを気にせずにノンアルコールドリンクを頼みやすいのでおすすめです。
また、参加者への声かけの段階で、「忘年会をやるつもりだけど、予定が合えば参加してね」と断りやすい誘い方を心がけてあげるとよいでしょう。
出欠確認は、メールやメッセンジャーで個別に行っても、グループチャットなどで行ってもかまいませんが、参加人数が多いとやりとりが煩雑になり、とりまとめに手間がかかります。このような場合は、Google スプレッドシートに参加か不参加かを自分で記入してもらうとよいでしょう。
飲み会で過度な飲酒を避ける方法
断りきれずに参加してしまった場合や、飲み会の雰囲気が怪しくなってきた場合に、飲酒を避ける方法をご紹介します。
リアルの飲み会
- 最初にアルコールとお水やノンアルコールのドリンクをセットで頼み、お水やノンアルコールの方をおかわりする
- 注文時にアルコールを少なめでお願いするか、ノンアルコールのドリンクを頼む(率先して注文係になってしまうと楽です)
- サワー系などアルコールと区別のつきにくいものを頼む
- 「薬を飲んでいるので」と伝える
- 「苦手なので、私の分も飲んでもらえたら嬉しいです」と伝える
- トイレのタイミングで、端の目立たない席や、あまり飲まない人の近くに移動する
オンライン飲み会
- 「◯時まで参加します」と退出時間を宣言する
- 「飲んでますよ〜」とお酒の空き缶を見せる
- 電波の調子が悪いフリをする(少しだけ参加して退出するのにも使えます)
オンラインの場合には自宅ですから、あまり心配はいらないかもしれませんが、「雰囲気を壊したくない」という人や、参加者のお酒が回って、セクハラやパワハラのような話題になってしまったときに試してみてください。
まとめ
仕事とプライベートを分けるという考え方も増えてきた中で、「ノミニケーション」という言葉自体が古くなってきているのかもしれません。
信頼できる先輩や同僚には、飲みの席ではない日常の会話で「実は飲みの席が苦手で……」と事前に打ち明けておくのもよいでしょう。
相手への拒絶ではなく、飲み会という環境に対しての苦手意識という印象を与えることができますから。
なお、お酒を過度に勧めた人が、強要罪や傷害罪に問われた例もあります。アルハラも度が過ぎれば、犯罪として問われる可能性もあることを覚えておきましょう。
不幸にも、もし酷いセクハラやパワハラを受けたり、その場に居合わせてしまったならば、その様子をボイスレコーダーなどで録音することも検討してみてください。
「たかが酒の席」「無礼講だから」といった言葉に惑わされず、お酒が好きな人も苦手な人も、楽しい飲み会になるように配慮しながら、年末年始を快適に過ごしましょう。