ホーム ハラスメント 相次ぐ市町村でのハラスメント問題。2024年上半期、渦中の市町村ハラスメント5選

相次ぐ市町村でのハラスメント問題。2024年上半期、渦中の市町村ハラスメント5選

この記事のサマリー

  • 市町村のハラスメント問題が相次いでいる
  • 小さな市町村では人の流動が少なく、ハラスメントが見過ごされやすい
  • ハラスメントを見過ごす組織では、トップが変わってもハラスメント体質が残る
  • 職員全員がハラスメントへの問題意識を持つことが重要
  • 第三者への相談や隠蔽対策にも録音データなどの証拠を得ることが大切

目次

近年、市町村のハラスメント問題が相次いでいます。

ハラスメントで首長や地方議員が辞職に追い込まれたケースから、多数の被害報告から辞職勧告があってもなお否認してその地位に居座り続けるケース、果ては組織全体がハラスメント隠蔽の風土であることが見えてくるケースまで。

2024年4月24日には愛知県東郷町の町長、25日には岐阜県池田市の町長が、それぞれハラスメントによって辞職願を提出し、テレビや新聞で取り上げられたのを目にした方もいるのではないでしょうか?

ハラスメントが横行する市町村組織で、果たして正しい政策を実施できるかどうか疑問に思ってしまいます。

各組織の対応を見てみると、小さな市町村や組織ほどハラスメントが見過ごされやすく、そのまま有耶無耶になっているケースもあるようです。

ハラスメントは意外とあなたの身近にもあるかもしれません。
今回はそんな昨今の自治体のハラスメント問題を5つ、取り上げてみます。

1. 愛知県東郷町、「育休取ったら殺す」ハラスメントで町長が辞職

愛知県愛知郡東郷町では、地元(旧東郷村)で生まれ育ち2018年から町長を務めていた井俣憲治町長(57)による、数々のパワハラやセクハラ行為が問題となっています。町が設置した第三者委員会によると、以下のような言動を繰り返していたようです。

パワハラ発言

  • お前らの脳みそはハトの脳みそより小さい
  • 木川に落ちて、流れて行ってしまえ。……そのまま流れて、下流で見つかればいい
  • 頭が悪いな
  • 三流大学出身

セクハラ発言

  • いつ、巨乳になって帰ってくるの?
  • 旦那さんとエッチなことをしているときに期待しているところじゃないところ触られるってことない?
  • (同性愛者を示すポーズをして)こっちなのか?

また、育休の取得に関しても「育休を一年取ったら殺すぞ」といった、恫喝ともとれるマタハラ発言を行っていたようです。

事件が発覚したのは、2023年2月の幹部会議でした。井俣町長の発言を問題視した町幹部の職員が、同年10月下旬から保育園勤務者などを除く全職員約230人に電子メールでアンケートを実施したところ、約3割の72人が回答したうち39人が井俣からハラスメントを「受けた」「見た」と告白パワハラが疑われる発言が59件セクハラが疑われる言動が16件あり、具体的な発言についてもアンケートから浮き彫りになったようです。

証拠として挙げられた音声データには、病気で手術を控えている職員に対して「お前、死んだら香典いくら?」といった発言もあり、2023年12月に設置された町の第三者委員会は、「町政に対する悪影響を生んだと言っても過言ではない」としました。

問題発覚後、東郷町には連日批判の電話が殺到しており、2024年4月25日に記者会見が行われました。

記者会見で井俣町長は「ハラスメントの対象となった職員に心よりお詫び申し上げます」と謝罪したものの、質疑で記者から各事案についての具体的な説明を求められると「誰かわかってしまうけど言いますか。それハラスメントですよ」と返す場面がありました。

井俣町長は4月24日に辞職願を提出、5月2日付で辞職となります。

参考:東洋経済オンライン「郷町長『ハラスメント辞任』激しい呆れの根源『お前らの脳みそは鳩の脳みそより小さい』」
参考:Wikipedia「井俣憲治」

2. 岐阜県池田町長、女性職員15人にセクハラで辞任

岐阜県揖斐郡池田町では、2003年より6期にわたって町長を務めている岡崎和夫町長(76)女性職員15人にセクハラ行為をしたことが問題になっています。

セクハラが発覚したのは、2023年7月に池田町の職員の女性と元職員の女性(2023年3月に退職)が行なった記者会見でした。
記者会見によると、現役の職員である女性は「2020年1月頃に庁舎の廊下ですれ違った際にお尻を触られた」と訴え、元職員は2013年4月から2014年3月にかけて、若い子の力をもらわないといけないと言いながら、手やお尻を触られた」と訴えました。

同日に池田町で行なった岡崎氏の会見では、指摘された一部のセクハラ行為を認めました。

訴えを起こした職員と元職員の女性によると、「町長のセクハラを問題として捉えること自体がタブーという同調圧力があった」と、町内部ではなく外部の労働組合に助けを求め、第三者委員会を設置しての事実調査を求める要求書を提出しました。

しかし、池田町では第三者委員会は設けられず、町の指針に基づき町が職員に聞き取り調査などを行うと発表。

その後、複数の町議会議員から「第三者委員会を設けるべきだ」との意見が出てから第三者委員会を発足。第三者委員会による報告書には、職員ら15人に対し、陰部への接触や抱きつき行為、キスをしようとしたなどさまざまな被害が発覚し、2023年4月25日、岡崎氏は町議会議長に辞職願を提出して辞任が認められました。

参考:東海テレビ「セクハラで岐阜・池田町長が辞職願を提出 告発した女性職員ら『役場の風潮が根強くすぐ改善は期待できない』」
参考:Wikipedia「岡﨑和夫」

3. 福島県白河市の市議会議員、女性職員へのストーカーやパワハラ行為で辞職勧告決議

福島県白河市では、旧大信村議を含め市議に5回当選し、現市議会で最年長である北野唯道市議(84)による女性職員への手紙や電話といったストーカー行為と、パワハラ行為で辞職勧告が決議されました。

白河市で開かれた政治倫理審査会によると、北野市議の担当をしていた議会事務局の女性職員に対して「愛してます」といったような私的な内容の手紙を渡したり、職員の自宅を訪れて贈り物を届けるなどといったストーカー行為があったようです。

職員は迷惑していることを伝えたものの、他の職員がいる場で責め立て、担当の交代を事務局に申し立てるなどの行為があり、被害女性は心労により通院を余儀なくされたとのこと。

また、他職員に対しても業務中に怒鳴りつける、威圧的な言動を行うといったパワハラ行為が確認されました。

白川市の辞職勧告決議案は全員賛成で可決されているものの、北野市議は審査会の結果について納得しておらず、辞職勧告決議に法的拘束力はないため「辞職勧告には応じない」と答えているとのことです。

参考:福島テレビ「市の女性職員にセクハラ・パワハラ 市議会議員に辞職勧告決議 本人は応じない考え 福島・白河市議会」

4. 沖縄県南城市長、「一緒に風呂入るか」元専属運転手へのセクハラ疑惑

沖縄県南城市(なんじょうし)では、2006年から4期市長を勤めている古謝(こざ)景春氏(69歳)元運転手の女性や市職員へのセクハラ問題になっています。

古謝市長は2022年8月から市長車を運転中の女性に対して「職員宿泊研修は市長の部屋に泊まるか。自分も泊まりたいと担当に言え」「一緒に風呂入るか」などの発言を繰り返し、12月には運転中の女性が抵抗しているにも関わらず「後部座席から女性の腕や手を掴み、自宅到着時には女性の胸を掴んだ」とのこと。

元運転手女性は、市に被害申告をしたものの南城市は第三者委員会による調査を拒否し、同月末に女性の業務委託契約を解除。女性は市の対応にも「安全配慮義務違反」を主張しています。

古謝市長はセクハラについては「一切やっていない」「女性としての魅力も見ていないのに、触るわけがない」と否定しているものの、発言自体が女性に対する尊厳を傷つけるハラスメント発言との声が多数寄せられています。

また、南城市ではその後市職員を対象にハラスメントに関するアンケートを行いましたが、当初は「約80人の会計年度任用職員や業務委託で働く人へのアンケート配布が見送られる」などの対応も見られました。

その後、2024年1月に、市議会の野党、中立、無会派の7人でつくる議員連盟が非正規や業務委託を含むすべての市職員を対象に直接カードを配布し行ったアンケートでは、以下のような被害報告がありました。

南城市セクハラ被害アンケート回答(一部)

  • 「市長から後ろから抱きつかれ胸や腰を触られた。何度か触られた後にディープキスもされた」
  • 「腰や胸を触られたことがある」
  • 「言葉によるセクハラはもちろん、女性職員の身体を触るのは普通にたくさんあった」

回答の中には「『怖くてアンケートには答えられない』という同僚もいる」というものや、「上司はセクハラの事実を知りながらもそれを隠し、市長を応援している」というような記述があったことも明らかになりました。

2023年2月には、南城市役所内でのハラスメントについて考えようという市民団体が発足され、4月にはおよそ60人の参加による意見交換会が行われました。意見交換会では「上司に対して意見を述べたい場合でもやめる覚悟がないと言えない」といった意見も出ており、パワハラを上司に相談しても「大変だね」の一言で終わるなど改善の余地がないことも明らかになったようです。

古謝市長は引き続き「提訴は政治的意図が入りこんでいるように感じる。裁判で証言してくれる人も集まっているので、法廷で明らかになると思う」と改めて自身のセクハラを否定しているようです。

参考:沖縄 NEWS WEB「『やめる覚悟がないと』南城市役所内ハラスメントで意見交換会」
参考:沖縄 NEWS WEB「南城市議会ハラスメント調査の特別委 市職員アンケート実施へ」
参考:琉球新報「『市長からディープキス』『胸や腰を触られた』 セクハラ疑惑アンケート、市職員から複数回答 南城市長『それはうそでしょ』 沖縄」

5. 北海道北見市の職員5人によるパワハラ被害相談「本人にバレるよ」と取り下げ促し

北海道北見市では、職員5名による30件ほどのパワハラ被害相談に対して、「(パワハラを行った)本人にバレるよ」「申し立てをやめたらどう?」などと、パワハラ事案について聴取を担当していた課長から苦情を取り下げるよう働きかけがあったとされています。

職員たちが市側に苦情を申し立てたのは2022年1月のこと、その後の隠蔽ともいえる働きかけも含め市での内部調査が行われましたが、対応が不十分とみられ、弁護士や社会保険労務士それに臨床心理士による第三者委員会が設置されました。

第三者委員会は当初、市の対応について不適切か否かを判断するために発足されましたが、その後そもそものパワハラ行為についても検討するとし、2024年2月までの間に4度開催されているようです。2023年12月には新しく2件の不当な扱いがあったことが判明していますが、2月に開催された第4回委員会以降、第5回の開催は依然未定となっているようです。

参考:北見市「ハラスメント事案への市の対応に関する第三者調査委員会」
参考:弁護士JPニュース「『本人にバレるよ』北見市職員5人のパワハラ被害相談“取り下げ”促し問題に…市側の説明二転三転 “隠ぺい”との声も

まとめ

市町村の議会や役場の特徴として、小さな市町村ほど関わる人物の流動が少なくハラスメントが見て見ぬふりをされていることが非常に多い印象です。

今回ハラスメントの加害者として話題となっている方々も、選挙に何期も当選しているいわゆる「ベテラン」ともいえるポジションの人物が多く、南城市や北見市のように組織体質の問題にまで発展している場合も多いのです。

人の入れ替わりが少ない場所では、トップが変わったとしても、組織体質の問題は残ります

各自治体はハラスメントに対する研修はもちろん、職員全体がハラスメントに対する問題意識を持ち、風通しのよい職場を目指すことが望ましいのではないでしょうか。

また、ハラスメントの被害報告は口伝では伝わりにくく、湾曲した表現とされたり隠蔽されてしまったり、といった問題もあります。上司や相談窓口のほか、第三者委員会への相談の際にも、確固たる証拠があることで話が進みやすくなります。

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