ホーム ハラスメント 知らないのは男性だけ? あなたは「ぶつかりおじさん」を知っていますか?

知らないのは男性だけ? あなたは「ぶつかりおじさん」を知っていますか?

この記事のサマリー

  • ぶつかりおじさん(男)は、駅や人混みで意図的にぶつかる迷惑行為をする人
  • 街頭インタビューでは50人中21人の被害報告があった
  • 故意かどうかは状況で判断され、被害者や周囲の人が現行犯逮捕も可能
  • ぶつかりおじさんがターゲットにするのは弱者(多くが女性)ばかり
  • 迷惑行為は「憂さ晴らし」「女性軽視」「痴漢」などが主な理由と考えられる

目次

駅の構内などで、女性ばかりをターゲットとし、意図的に体当たりするという迷惑行為が多発しています。

通称「ぶつかりおじさん(ぶつかり男)」や「タックルおじさん(タックル男)」「体当たりおじさん(体当たり男)」「体当たり暴走男」などと呼ばれ、SNSでは被害報告や被害動画が頻繁に挙げられています。

ある番組の該当インタビューでは、4割近くの女性が「意図的なぶつかり」に遭った経験があると回答していました。しかし、男性からは被害の声を聞きません。それはなぜなのでしょうか? ぶつかりおじさんとはどのような人なのでしょうか? ぶつかりおじさんの心理とは?

以下、これらの観点から考察してみますので、ぜひご覧ください。

周知のきっかけは2018年のワイドショー

さまざまな証拠動画とともに世の中に知られたのは、2018年5月にワイドショーで流れた、東京のJR新宿駅構内で30秒間にわたって複数名の女性にぶつかりに行く男性の動画でした。この動画は駅にいた学生が撮影したもので、以降SNSでも次第に「私も被害に遭ったことがある!」と声が挙がり、大きな話題となりました。

同番組が街中の女性に「わざとぶつかられたことがありますか?」という質問をしたところ、50人中21人、約4割が「ある」と回答しました。また、「ある」と答えた21人全員が「ぶつかってきたのは男性」だと答えていたようです。

番組で紹介された動画のほかにも「ぶつかりおじさん 動画」などで検索すると、個人が撮影した動画がいくつもネット上に上がっているのが伺えます。後ろから追い越す際にぶつかるパターンのほか、正面からぶつかりに来るパターン、時には無理矢理に進路を変更してぶつかるパターンや、同じ女性に何度もぶつかりに行く状況まで。「そんな意味もなくぶつかる?」「偶然ぶつかっただけでは?」「気にしすぎではないか?」という考えが打ち消されるように、意図的にぶつかりに行っていることが明白です。

ぶつかりおじさんは、人の多い駅構内に現れることが多く、人混みにも関わらずターゲットの女性を見つけるとスピードを上げてぶつかり、ぶつかられた女性が呆気に取られている間に、一目散に人混みの中に消えていきます。

被害女性は一瞬の出来事で、「偶然ぶつかった」のか「わざとぶつかってきたのか」、そして「誰が犯人だったのか」を判断しにくく、摘発が難しいようです。普通、もし人混みで勢いよく人とぶつかってしまった場合には、「すみません」と声をかけるか、目配せなどを行う方が多いはずです。ぶつかりおじさんが実在するということを踏まえ考えてみると、あまりに勢いよくぶつかり、そのままにべもなく立ち去られた場合は、意図的な「ぶつかりおじさん」だった可能性が高いと判断できるでしょう。

実際の被害と現行犯逮捕の可能性

2018年のワイドショー報道の後、JR東日本は迷惑行為として注意喚起を行い、警備員や駅員による警戒を強化しています。2019年には、東京メトロ千代田線二重橋駅で女性に故意的にぶつかっていた男が傷害の容疑で逮捕されています。

しかし、一向に減る気配はなく、X(旧Twitter)などのSNSを中心に毎日のように「ぶつかりおじさんに遭遇した」という被害報告が相次いでいます。中には「階段でぶつかられた」「ホームでぶつかられた」「ベビーカーに体当たりをされた」という声もあり、一歩間違えば命の危険にもつながる事件になりかねないことがわかります。

その場に居合わせないかぎり、犯人逮捕が難しいとされるぶつかりおじさんですが、もしぶつかりおじさんに遭遇した場合、周囲の人や被害者によって現行犯逮捕も可能です(刑事訴訟法 第213条「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」という条文による)。

週刊女性PRIMEにおいて、アディーレ法律事務所の長井健一弁護士が次のように回答しています。

故意かどうかは、本人の供述だけでなく客観的な状況や目撃者の証言などを総合的に考量して判断されます。したがって、故意でないと言い張ったから犯罪が成立しないとはなりません。また、うっかりだったとしても相手がケガをすれば、過失傷害罪が成立する可能性があります」

被害に遭ったらどうすればいい?

被害者がケガをした段階で警察に被害届を出すことは可能です。故意に体当たりしたことが認められれば傷害罪となります。また、被害者や周囲の人間が現行犯逮捕することもできます」

引用:週刊女性PRIME(Microsoft Start)「“体当たり暴走男”が全国に出没!被害者が語る卑怯な手口と『血走った目』の犯人の似顔絵」

大昔には、車などに故意にぶつかり慰謝料を要求する「当たり屋」と呼ばれる手口もありましたが、このような法の悪用ではなく、通常の権利として「ぶつかられた」ことを「被害」として「主張」することはできます。

迷惑行為を繰り返す加害者は、被害者(ターゲット)を決めて犯行に及びます。言い逃れができるだろうというグレーゾーンを狙った行為だとしても、社会の目があれば撲滅することもできるはずです。もしぶつかりおじさんを目撃した場合には、勇気を出して声をあげましょう。

ぶつかりおじさんの気持ち

ぶつかりおじさんについて「歩きスマホへの注意喚起なのでは?」などいう意見をSNSなどで目にしましたが、それであれば男性がターゲットになっても不思議ではありません。しかし、被害者はことごとく女性なのです。それはなぜだと思いますか?

ぶつかりおじさんの心理には大きく分けて3つの背景があるといわれています。そこにターゲット選定の理由が隠されているのです。

また、2ちゃんねるではぶつかりおじさん予備軍が心理を話すスレッドがありましたので、そちらも紹介します。

ぶつかりおじさんの心理Top3

行動心理学や事件ジャーナリストが紐解くぶつかりおじさんの心理が紹介されています。

  • 憂さ晴らし
    長時間労働、人間関係、経済的な不安など、ストレスを人にぶつかり、相手(自分より弱者)を困らせることで発散している。
    日ごろ周囲から認められない中で、(弱いものに)力を誇示することで自信を保っている状況。
  • 女性軽視
    反撃を食らう恐れが少ない、文句を言われても勝てそうだからと考えている。
    「自分より幸せそうに見える」という場合や、「女のくせに道を譲らない」という心理も。
  • 痴漢
    すれ違いざまにぶつかったふりをしてお尻や胸などを触っている状況。

参考:現代ビジネス(Yahoo!ニュース)「『私も被害に遭ったことある!』との声多数…『ぶつかり男』たちの言い訳と身勝手さ」
参考:くまたかブログ「ぶつかりおじさんの心理|わざとぶつかってくる人への対策法」

ぶつかりおじさん予備軍の本音

2ちゃんねるでは、「女性にわざとぶつかって行く人の気持ちが分かるようになってきた」という男性の投稿から、さまざまなぶつかりおじさん予備軍の本音がありました。

  • アラサーになってからぶつかりおじさんとか電車内のキチガイの気持ちがわかってきた。満員電車で空間あるのに詰めない学生とかぶん殴りたくなるもん。
  • 若い女にぶつかるおっさんきしょって思ってたけど物事全て自分の思い通りになると思ってるバカ女見ると避けたくねえわ。
  • おっさんになるほど咎められる機会が減るから無敵な気持ちになる。いざ怒られたら自分の中の全てが崩れ去るほどのショックを受けるから中庸に生きた方がいいぞ。
  • 優しくしたら舐めてくる放置してたら馬鹿してくる女子供と馬鹿の特性

引用:2ちゃんねる まとめサイト

もちろん、これらの理由は複合することがあるとはいえ、いずれの理由も身勝手であり、重大なケガなどにつながりかねない以上、社会的に許されるものではありません

なお、あくまで私の経験上ですが、歩行中に道を譲らない人は、中年以上の男性が圧倒的に多いと思います。たとえば数人で歩いているとき、こちら側が道を譲る素振りを見せたときでさえ、おじさんは意に介さずそのままズンズンと通り過ぎていきます。また、自転車でベルを頻繁に鳴らし、歩行者を退けさせようとする人も、おじさんが多い気がするのです。

このような行動は、上記の「憂さ晴らし」「女性軽視」「痴漢」には必ずしも当てはまりません。では、どのような心理が働いているのでしょうか。

少し状況は異なりますが、通勤の混雑時に道を譲らない人の心理として、「わが道を行く」「劣等感から虚勢をはる」「心にゆとりがない」という3つのタイプが指摘されています。歩行中に道を譲らない人や自転車でベルを頻繁に鳴らす人も、おそらく同様の心理ではないかと想像します。

参考:ダイヤモンド・オンライン「通勤ラッシュで遭遇する「道を譲らない人」の心理と対処法」

まとめ

現在の日本では、社会情勢の不安などから、国民全体がストレスの高い状況下にさらされています

ぶつかりおじさんの心理にあったように、社会的ストレスと偏見が生んだモンスター「ぶつかりおじさん」をこれ以上増やさないように、被害に遭ったことがない方も、その存在を頭の片隅に置いて、もし被害に遭った方を見かけたら、ぜひ救いの手を差し伸べてあげてください。

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