ホーム 生活 デジタル時代の終活問題。自分が死んだとき、スマホ、SNS、クラウドのデータはどうする?

デジタル時代の終活問題。自分が死んだとき、スマホ、SNS、クラウドのデータはどうする?

この記事のサマリー

  • デジタル遺産によって、浮気発覚やネット口座・運用資産の消失などのトラブルも
  • iPhoneはデジタルレガシー機能が搭載される予定
  • AndroidはGoogleアカウントの無効化管理ツールで設定
  • Windowsは終活・遺言ソフトがおすすめ
  • SNSアカウントは乗っ取りやなりすまし、クラウドは解約手続きに注意

目次

スマホやタブレットが一人一台の時代となり、カメラロール、スケジュール、メールやSNSアカウント連携まで、個人の秘密や日常がもっとも詰まっている持ち物になっています。

もし、あなたや身内に万一のことがあったとき、さまざまなデータ、SNSやクラウドサービスの登録情報をどう扱うか、周りの人と話し合っていますか?

SNSを積極利用している人の中には、SNSでしかつながりのない友人が多数いるという人もいるのではないでしょうか。そのような関係性もまた、本人にとっては大切なものです。

持ち主が亡くなった場合のスマホ、タブレット、パソコン、保存データや登録情報は「デジタル遺産(Digital Legacy)」や「デジタル遺品」と呼ばれ、

  • データが残っていることで起こるトラブル(浮気の発覚など)
  • データが消失してしまったことで起きるトラブル(ネット口座運用資産など)

など、さまざまな不幸を招いてしまうことがあるようです。

また、大きな秘密はなくても、自分の死後、スマホやパソコン内のデータを隅々まで見られるのは嫌だと感じる人が大半ではないでしょうか?

スマホやクラウドデータ、SNSアカウントにも「終活」が必要になってきました。今回は、いざというときのデジタルの備えについて紹介します。

iPhone、iPad、MacBookなど
(iOS・MacOSデバイス)

アカウント管理連絡先を設定し、データ管理を委任

iPhoneをはじめとしたApple製品では、指定した管理連絡先にApple IDや個人情報へのアクセス権を与えられる「デジタルレガシー機能」を、iOS 15.2ベータ2にて発表しました。ユーザーは「レガシーコンタクト」に、自分の死亡時のアカウント管理者として特定の人物の連絡先を設定できます。

もしユーザーが亡くなったときにレガシーコンタクトに設定された人物がApple IDを使用するには、死亡証明書のコピーとアクセスキーによって可能となります

iOS 15.2ベータ2はまだ開発者向けのバージョンのため、iOS 15.2の正式リリースに注目しましょう。

詳しくは、以下をご覧ください。

参考iPhone Mania「iOS15.2ベータ2で、死亡時にデータを継承できる新機能の利用が可能に」

なお、MacBookを含むApple製品全般については、Appleの「デジタル遺産」というページから、「死亡した友人または家族のアカウントにアクセスする権利をリクエストする」ことができます。

これは、故人からアカウント管理連絡先としてアクセスキーを割り当てられた人だけがリクエストできるしくみです。

参考Apple「デジタル遺産」

Androidデバイス

Googleアカウントの無効化管理ツールで、データの共有先や自動削除を設定する

Androidデバイスは基本的に、Googleアカウントと紐付けられています。そのため、Googleの「アカウント無効化管理ツール」を設定することで、指定した期間内(3、6、12、18か月から選べる)に一度もGoogleアカウントが使用されない場合に、アカウント情報を自動削除するか、家族や友人と共有するかを選んで設定できます。

データの共有は、Googleフォトやカレンダーなどそれぞれの項目から、どれを共有するかを選べます。

また、データの共有の際にメッセージを添えて送ることもできるため、簡易的な遺書の代わりにもなります。

詳しくは、以下をご覧ください。

参考あっとはっく「死後にGoogleアカウントを自動削除する方法! 亡くなった人の情報を家族や友人へ共有もできる」

Androidデバイスを使っていない人も、Googleのサービスを複数使っている人は多いはずです。いますぐに設定したい人は、以下のページから設定しましょう。

参考Google「アカウント無効化管理ツール」

Windowsデバイス

終活・遺言ソフトで見せたくないデータの自動管理

Windowsデバイスには、デジタル終活に関する標準機能はありませんが、終活やデジタルエンディングノートとして利用できるWindows用の無料ソフトがあります。

指定したファイルを指定日時や日数が経過したときにデータを自動削除してくれるものや、一定期間パソコンの利用がない場合に遺言となるメッセージを表示させる機能が利用できるものまでさまざまです。

詳しくは、以下をご覧ください。

参考フリーソフト100「無料終活・遺言ソフト」

SNSアカウント

SNSでそのままアカウントを残しておいた場合、乗っ取りやなりすましの標的になってしまったりと、後々のトラブルになってしまうこともあるので注意が必要です。

Facebook

Facebookでは、追悼アカウント管理人を指名してアカウント管理を任せるか、Facebookからアカウントを完全に削除するかのいずれかをあらかじめ選んでおけます

そのアカウントが追悼アカウント管理人に任されると、プロフィールのアカウント所有者の名前の近くに[追悼]と表示され、[知り合いかも]のおすすめ、広告、誕生日のお知らせなどが非表示になります。

追悼アカウント管理人は、投稿、写真や動画、連絡先、友達リストなどを閲覧できますが、メッセージの閲覧や故人に成り代わっての投稿はできません。ただし、他の人も含めて、追悼アカウントのタイムラインにトリビュート投稿ができるようになります。

なお、Facebookでは、AIによってユーザーの死を検知し、申請がない場合でも「追悼アカウント」化を行えるように開発を進めているそうです。アカウントの使用状況から、一定の精度をもってユーザーの死を判定できるとのことで、そちらの動向にも注目です。

詳しくは、以下をご覧ください。

参考Facebook「私が死んだ場合、Facebookアカウントはどうなりますか。」
参考Buzz Feed News「Facebookの『死』の設定が頼もしいので、絶対に設定した方がいい」

Instagram

Instagramでは、追悼アカウントへの変更か、アカウントの削除をリクエストするしくみを用意しています。

削除をリクエストできるのは故人の近親者のみで、出生証明書、死亡証明書、自分が法的代理人であることを示す法的文書が必要です。

手順について詳しくは、以下をご確認ください。

参考Instagram「亡くなった方のInstagramアカウントを報告するにはどうすればよいですか。」

Twitter

Twitterには、事前に死亡時の意向を示しておく設定はありませんが、権限のある遺産管理人または故人の家族の申し出があった場合にアカウントの停止を受け付けるとしています。

申し出には故人の情報、リクエストを送信された方の身分証明書のコピー、故人の死亡証明書のコピーなどの詳細な情報をメールで送信する必要があります。

参考Twitter「亡くなられたユーザーのアカウントについてのご連絡方法」

LINE

LINEは、利用規約に「本サービスのアカウントは、お客様に一身専属的に帰属します。お客様の本サービスにおけるすべての利用権は、第三者に譲渡、貸与その他の処分または相続させることはできません(第4条「アカウント」の第6項)」と明記されています。

一身専属とは、権利や義務が当人以外から移転しない性質のことで、契約者本人以外の誰であっても譲渡できないことを意味します。本人に代わってアクセスしたり、データを取り出したりはできません。

したがって、LINEでは近親者が故人のアカウントの削除(閉鎖)を申し出ることしかできないと考えましょう。

参考LINE セーフティセンター

クラウドサービス

クラウドサービスの場合、故人が無料プランで利用していた場合は、SNSアカウントと同様に削除のリクエスト(死亡証明書や法的代理人の証明書などの提出)だけを考えればよいでしょう。

一方、月額制のサブスクリプションなど有料プランで利用していた場合には、速やかに解約手続きをしないと、無駄なお金を払いつづける恐れがあるので注意が必要です(クレジットカードの解約によって不払い状態が続けば、数か月中に契約が解除される可能性が高いとしても)。

近親者にとって、故人が使っているクラウドサービスをすべて洗い出すのは至難の業です。したがって、特に有料プランのサービスについては漏れなくリストアップしておきましょう。

故人のアカウントに近親者などがアクセスする方法や契約解除をする方法として、DropboxとNetflixを例にあげておきます。参考にしてみてください。

参考Dropbox「お亡くなりになったユーザーの Dropbox アカウントにアクセスする」
参考Netflix「亡くなられたNetflixメンバーのアカウントをキャンセルする方法」

まとめ

いかがだったでしょうか?

デジタル社会にあって、デジタル遺産をどうするのかという問題は、まさに落とし穴。終活の中で、お使いのデバイス内のデータ、SNSやクラウドサービスの扱いについてしっかりと考え、準備をしておかないと、残された家族に多大な迷惑がかかります。

最近では、がんのため亡くなったジャズピアニストの白崎彩子さんが、亡くなる1か月前に友人に向けてFacebookにお別れのメッセージを公開するように知人に託して亡くなった、というニュースが話題になりました。メッセージには、早くしてこの世を去る葛藤や音楽についての想いが綴られていたようです。

参考朝日新聞デジタル「52歳、がんで死去 ピアニストの白崎彩子さんが遺したメッセージ」

死は誰にでも等しく訪れます。しかし、いつ自分に訪れるのかはわかりません。

自分の死後、残された人を不幸にしないため、また、思い出を汚さないためにも、できるところからデジタル終活をはじめてみてはいかがでしょうか?

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