進学や就職、転勤などで新しい賃貸住宅への入居を検討する際、多くの人がワクワクする気持ちで物件探しを始めます。
しかし、その一方で賃貸契約をめぐるトラブルは後を絶ちません。
国民生活センターによると、賃貸住宅に関する相談件数は2024年度で約1万3千件にのぼります。
退去時の原状回復費用や、契約内容と実際の対応の違いなど、トラブルは決して他人事ではありません。
特に多いのが「言った言わない」のトラブルです。
- 契約時には「通常使用の傷は請求しない」と説明されたのに、退去時には高額な原状回復費用を請求された
- 「エアコンが壊れたら交換する」と聞いていたのに、実際は修理のみで対応された
こうした食い違いは、後から証明することが非常に難しく、泣き寝入りするケースも少なくありません。
今回は、賃貸契約時の「口頭説明」をめぐるトラブルの実態と、その対策としての音声記録の重要性についてお伝えします。
後を絶たない賃貸トラブル、典型的な3つのパターン
賃貸住宅に関する消費生活相談は毎年3万件以上寄せられており、そのうち原状回復に関する相談件数は毎年1万3千〜4千件程度と、賃貸住宅に関する相談のうち約4割を占めています。
国民生活センターに寄せられた実際の事例を見てみましょう。
事例1:契約書と異なる請求
敷金礼金不要のアパートを退去したら、契約書の記載と異なるエアコン清掃代や入居前からあったフローリングのキズの修繕費用まで請求されたという相談です。入居前から存在していた傷まで請求されるケースは少なくありません。
事例2:契約書に記載のない費用請求
アパートを退去した際、自分では通常損耗だと思う箇所の修繕費用や、契約書に記載のない費用を請求され納得できないというケースもあります。何が「通常使用」で何が「入居者負担」なのか、認識の違いが生じやすい部分です。
事例3:入居時の不具合の証明ができない
敷金礼金不要のアパートを退去した際にシャワーヘッドの交換費用を請求され、入居時から不具合があったと伝えたが証拠がないと言われたという事例もあります。入居時の状態を記録していないと、退去時に不利になる可能性があります。
これらのトラブルに共通するのは、「契約書に書いていない口頭での説明や約束」「入居時の状態の記録不足」が原因となっている点です。
なぜ「口頭説明」でトラブルが起きるのか
賃貸契約では、宅地建物取引士による「重要事項説明」(略称「重説」)が法律で義務付けられています。
しかし、重要事項説明書や契約書に記載されている内容はあくまで基本的な事項であり、すべての約束事が文書化されているわけではありません。
不動産会社の担当者が「サービス」として口頭で伝えた配慮や、「通常はこうしています」といった慣習的な説明は、法的拘束力を持たないことがほとんどです。さらに、不動産会社と管理会社、オーナーの三者間で情報伝達がうまくいかず、担当者レベルでの認識違いが生じることもあります。
担当者の入れ替わりによって、「前任者からそのような引き継ぎは受けていない」と言われてしまうリスクも常に存在します。
賃貸借契約の「原状回復」とは、借主の故意・過失によって賃貸住宅に生じたキズや汚れ(損傷)等、また、借主が通常の使用方法とはいえないような使い方をしたことで生じた損傷等を元に戻すことをいいます。しかし、何が「通常使用」で何が「過失」なのかの解釈は、当事者間で食い違いやすいのが現実です。
トラブルを未然に防ぐ「記録」の重要性
では、こうしたトラブルを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。答えは「証拠を残すこと」です。
民事訴訟においては、録音は一般的に証拠として認められることが多いとされています。自己の権利保護を目的とした録音(録音をしていることを相手が知らない「秘密録音」も含む)は、基本的に違法ではないと考えられており、話者が自らの意思で聞き手に言葉を投げかけている以上、プライバシー侵害の程度は低いとされています。
特に記録しておくべき重要な場面は以下の通りです。
- 内見時の不動産業者の説明(設備の状態、修繕の対応方針など)
- 重要事項説明(法律で義務付けられた説明ですが、補足説明も記録を)
- 契約時の口頭での質疑応答(契約書に記載されていない約束事など)
- 入居前の立ち会い確認(既存の傷や汚れの確認など)
- 設備不具合の報告時(管理会社や大家との電話対応など)
録音する際は、相手に「後で確認するために記録として残したいのですが」と伝えるのがベターです。正当な理由があれば、多くの不動産業者は理解を示してくれます。むしろ、録音を極端に嫌がる業者は注意が必要かもしれません。
また、入居する時には、賃貸住宅の現在の状況をよく確認し、記録に残すことが推奨されています。カレンダー形式で管理できると、「いつ、誰が、何を言ったか」が明確になり、後から振り返る際に非常に便利です。日付と内容が紐づいていれば、証拠としての信頼性も高まります。
デジタル時代の賢い記録管理術
賃貸契約時の説明は長時間に及ぶことも多く、紙のメモだけでは聞き逃しや書き漏れが発生しやすいものです。ここで活躍するのが、スマートフォンの音声録音機能です。
音声データには、紙のメモにはない多くの利点があります。後から何度でも確認できることはもちろん、重要事項説明のような長時間の説明でも正確に記録できます。さらに、AI技術を活用した文字起こし機能があれば、音声を聞き直さなくても内容を確認でき、検索も可能になります。
タイムスタンプが自動で記録されることも重要なポイントです。「いつの説明か」が明確になることで、証拠としての価値が高まります。クラウド保存も見逃せない利点です。スマートフォンの容量を気にすることなく長時間の録音が可能で、万が一スマートフォンを紛失しても大切な記録は守られます。
賃貸契約の「安心」をスマホで持ち歩く
こういった音声記録の活用にぴったりなのが、AI録音アプリ「Voistand(ボイスタンド)」です。
Voistandは、賃貸契約トラブルの予防に役立つ機能を備えています。
クラウド保存のため、重要事項説明のような長時間の録音でもスマートフォンの容量を気にする必要がありません。録音データは自動的にクラウドに保存されるため、デバイスの故障や紛失時も安心です。
AI自動文字起こし機能により、後から契約内容のキーワードで検索できます。「原状回復」「設備交換」「更新料」といった重要な単語を検索すれば、長時間の録音の中から必要な部分だけを素早く見つけ出せます。
さらに、カレンダーUIで過去の記録を時系列で管理できるため、いつ何を確認したのかが一目瞭然です。話者推定機能を使えば、「不動産業者の説明」と「自分の質問」を区別でき、誰が何を言ったのかも明確になります。
録音日時が自動管理されることで、証拠としての信頼性も向上します。後から「いつの録音かわからない」といった疑いを持たれることもありません。
| iOS版(App Store) | https://apps.apple.com/jp/app/id1544230010#?platform=iphone |
まとめ
賃貸契約は人生の重要な契約の一つです。
住まいは生活の基盤であり、トラブルなく快適に過ごしたいもの。しかし、賃貸契約をめぐる「言った言わない」のトラブルは、誰にでも起こりうるリスクです。
「記録」という小さな習慣が、大きなトラブルを防ぐ盾になります。スマートフォンのAI録音アプリという身近なテクノロジーを味方につければ、面倒な作業も簡単になります。
賃貸契約を検討する際は、しっかりと記録に残しておきましょう。
なお、以下の過去記事もあわせてご参照ください。
過去記事:賃貸契約前の「重要事項説明」とは? トラブル回避のためには会話の録音を
過去記事:店舗やオフィスの賃貸契約の「重要事項説明」で気をつけるべきポイントと、録音の必要性は?

