ホーム ハラスメント 2023年、うつ病など精神障害に関する労災が過去最大。近年の労働ストレスの傾向とは?

2023年、うつ病など精神障害に関する労災が過去最大。近年の労働ストレスの傾向とは?

この記事のサマリー

  • うつ病などの精神障害に関する労災が5年連続で過去最多
  • 心理的安全性の低い状況がうつ病などの精神障害を引き起こす
  • 心理的安全性の低い状況は、肉体的・精神的の2つの原因がある
  • ハラスメントの多い職場は精神的ストレスが高く、精神的な過労にあたる
  • 業務指導の範囲の指示なのか判断に迷ったときは、録音をするとよい

目次

厚生労働省は、令和5年度(2023年度)の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、令和6年(2024年)6月28日に公表しました。

「過労死等の労災補償状況」は、

  • 過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患
  • 仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について労災請求件数
  • 「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数

などをまとめた資料です。

ニュースなどを見ても、過労死や過重な労働というと長時間勤務にスポットライトが当たりがちですが、近年の労働によって奪われてしまう命は、本当に拘束時間が引き金となっているのでしょうか?

厚生労働省が公表した令和5年度(2023年度)の「過労死等の労災補償状況」や令和4年度(2022年度)の「我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」から紐解いてみました。

令和5年度(2023年度)の過労死等の労災補償状況のポイント

今回公表された過労死等の労災に関する請求数補填状況について傾向をまとめました。

特記すべきは、うつ病などの精神障害に関する労災が5年連続で過去最多となっているという点です。さらに自殺(自殺未遂)についても前年度から増加しています。

過労死等の労災補償全体の状況

  • 過労死等に関する請求件数は、4,598件(前年度比1,112件、24.2%の増加
  • 支給決定件数は、1,097件(前年度比193件、17.6%の増加
    うち、死亡・自殺(未遂を含む)件数は、135件(前年度比14件、10.4%の増加

仕事によってうつ病などの精神障害を発症した労災

  • うつ病などの精神障害に関する労災認定件数は、883件(前年度比173件、19.6%増加
  • 統計を始めた1983年度以降で過去最多を5年連続で更新
  • 自殺(自殺未遂)件数は、79件(前年度比12件、15.2%の増加

カスタマーハラスメントに関する労災

カスタマーハラスメントについての項目は、労災の認定基準の原因として2023年に改正されに追加された項目です。

  • カスハラによって生じたうつ病などの精神障害に関する労災認定件数は、52件
    うち45件は女性で、顧客から迷惑行為の標的にされやすい傾向を示す結果に

参考:労働新聞社「令和5年度『過労死等の労災補償状況』(厚労省)」

過重な仕事と労働時間の因果関係

過重な仕事(過労)という表現には超過勤務などの長時間労働をイメージしがちですが、令和4年度(2022年度)に厚生労働省が公表した「我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」によると、労働時間に関する状況は以下のとおりです。

  • 労働者1人当たりの年間総実務労働時間は長期的に見ると緩やかに減少
  • 所定内労働時間は長期的に緩やかに減少
  • 所定外労働時間は令和2年に大きく減少したものの、令和3年以降は増加傾向
  • 産業別の労働時間では「運輸業、郵便業」「製造業」の労働時間が前年に続き増加

令和2年(2020年)はコロナ禍によって働き方に大きな変化があった年であり、業種によっては休業や営業時間の短縮などがあったため、所定外労働時間が大きく減少したものと考えられます。「運輸業、郵便業」「製造業」の労働時間が増加していることも、コロナ禍の影響がうかがえます。

このように、全体を見ると労働時間は減少傾向にあるものの、精神障害に関する労災認定件数が増加しているのはなぜなのか?
そちらについては以下のデータを見てみましょう。

令和4年(2022年)の勤務問題を原因・動機のひとつとする
自殺者数の推移(原因・動機詳細別)

自殺の原因・動機となった勤務問題について、割合の大きい順から並べると次のとおりです。

  1. 職場の人間関係(26.5%)
  2. 仕事疲れ(24.4%)
  3. 職場環境の変化(19.8%)
  4. その他(17.4%)
  5. 仕事の失敗(11.8%)

※ 令和4年までのデータは、勤務問題を原因・動機のひとつとした自殺者数の推移から、遺書等の生前の言動を裏付ける資料がある場合に加え、家族等の証言から考えうる場合も含め、自殺者一人につき最大4つまで計上したものです。
※ 令和3年までのデータは、遺書等の生前の言動を裏付ける資料がある場合に限り、自殺者一人につき最大3つまで計上。

画像出典:厚生労働省「我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(PDF)

令和4年と令和3年以前ではデータの取得方法が異なるため、表中の数値を各年で単純比較することがでませんまた、本表は警察庁の自殺統計原票データに基づいた数字のため、うつ病など精神障害に関する労災の認定件数とはデータ元が異なります。そのため、数値のみの単純比較はできませんが、関連性のあるデータとして傾向を知ることができます。

心理的安全性の欠如がもたらすリスク

適応障害やうつ病の予防といったメンタルヘルスの観点から、昨今「心理的安全性」という言葉を聞く機会が増えてきました。心理的安全性とは、「対人関係でリスクのある行動を取っても基本的に大丈夫だと信じられる状態」を指します。この心理的安全性が低いとき、人は精神に大きなストレスを抱え、うつなどの精神障害を発症しやすくなることがわかっています。

長時間勤務などの「肉体的な負荷が高い状態」だけではなく、社内コミュニケーションの中でパワハラがある場合や、顧客とのコミュニケーションでカスハラがある場合には「精神的に負荷が高い状況」ともなり、心理的安全性が低い状態といえます。

長時間労働の場合には、勤務時間という目にみえる数字で判断しやすくもありますが、精神的に負荷が高い状況というのは数字で測れないない過労に繋がる労働ストレスだと考えられます。

特に、25歳の東和銀行社員の過労自殺といったニュースが記憶に新しいように、「業務指導の体をとった行きすぎた叱責」をはじめとした不健全なコミュニケーションが引き起こすストレスは、勤務問題による自殺者の原因・動機にあった1位・2位の「職場の人間関係」や「仕事疲れ」と重なることがあるでしょう。

組織の心理的安全性を高める方法

もし組織の中で心理的安全性に不安がある場合には、第三者も巻き込んだコミュニケーションの見直しをしてみるのがよいでしょう。

「これって指導の範囲? それともハラスメント?」「仕事場での人間関係が辛い」と感じている場合、まずは記録に残してみることがおすすめです。身近な人に相談するときにも、フラットな意見をもらうことができるでしょう。

また、もしハラスメントに該当する場合であっても、口伝では伝わりにくく、わかりにくい表現と受け止められたり、うやむやにされてしまったり、といった可能性があります。上司や相談窓口のほか、第三者委員会への相談の際にも、確固たる証拠があることで話が進みやすくなります。

可能であれば、録音や録画を行い、実際の空気を感じてもらうことが大切なのです。

いつどこで起きるかわからないハラスメントの被害対策や、ビジネスの場で録音を行う際には「それがいつ、どこのデータなのか」の振り返りが楽で、「データ容量を気にせずに録音できる」ものを選ぶとよいでしょう。

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まとめ

いかがだったでしょうか?

ここ数年は、コロナ禍や不安定な社会情勢によって労働や経済状況に不安を抱えている方も多いでしょう。過労=長時間勤務と単純に判断できない時代になっています。

もしあなたが仕事においてストレスを抱えているのであれば、そのストレスが肉体的なものなのか、精神的なものなのかを判断し、ぜひそれぞれに適した対処法を見つけてくださいね。

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