ホーム ハラスメント SNSでの誹謗中傷にどのように対策する? 覚えておきたい5つの方法と刑事罰の種類

SNSでの誹謗中傷にどのように対策する? 覚えておきたい5つの方法と刑事罰の種類

この記事のサマリー

  • 誹謗中傷を受けやすいSNSは、X(旧Twitter)。YouTubeやTikTokも要注意
  • まず、誹謗中傷を受けやすい話題を避ける。もし受けても、受け流すのが基本
  • ブロックやヘルプセンターへの報告でおさまらなければ、法的手段を検討する

目次

みなさんはSNSを積極的に使っていますか?

X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LINE、TikTokなどなど。動画配信プラットフォームであるYouTubeも、コメント欄で活発なやり取りが行われることから、SNSのひとつと考える人もいます。

SNSで自分の投稿に対して誹謗中傷が受けた経験がある方は、その「圧(あつ)」に驚きと戸惑いを感じたことでしょう。見知らぬ人から寄せられる心ない言葉の数々。匿名性を盾にした無責任な煽り。個人情報や所属組織の執拗な詮索。身の危険すら感じ、目眩(めまい)が長くつづくようなような感覚に陥った方もいるはずです。

誹謗中傷という言葉をあらためて確認しておくと、誹謗とは「相手の悪口を言うこと」、中傷とは「根拠がないことで、相手の名誉を傷つけること」を指します。これらの組み合わせが「誹謗中傷」という言葉であり、現在では四字熟語的に広く使われています。

さて、誹謗中傷、ひいては「炎上」が起こりやすいSNSは、ずばり「X」です。匿名利用が可能であること、リツイートによって拡散されやすいことの2つが大きな理由でしょう。逆に、ほかのSNSでは「炎上」という事態にいたることはほぼありません(投稿内容がきっかけで、X上で炎上騒ぎが起こった結果、社会問題などに発展することはあります)。ただし、YouTubeとTikTokについては、動画の内容に対して批判を受けやすい傾向があります。

以下、基本的にXを前提に、SNSを長く利用する際に押さえておきたい誹謗中傷への対策を5つ解説します。

1. 誹謗中傷を受けやすい話題を避ける

まず、何はなくとも「誹謗中傷を受けやすい話題を避けること」が大切です。 
具体的には、次のような話題は扱わないか、かなり慎重に言葉を選んで投稿しましょう。

  • 政治・外交
  • 歴史・宗教
  • 性・ジェンダー
  • 教育・学校
  • 差別・ダイバーシティ
  • 環境・原発
  • 容姿・能力
  • 家事・育児・ペット
  • 芸能人・アイドル・アニメ
  • 公序良俗違反・危険行為

これらの話題に共通するのは、

  • 短いテキストでは語り尽くせない
  • 短いテキストのやり取りではわかり合うのがむずかしい
  • 良し悪し(論理)ではなく好き嫌い(感情)の議論になりがち
  • 相手に強い劣等感や不快感を与えがち
  • 自分と相手との常識やモラルの差が大きく表れがち

といった点です。

もちろん、自分の考えを世に問いたい、いろんな人と積極的に議論したいという覚悟で、上記の話題を扱うのはかまいません。

しかし、企業や店舗のアカウントの場合は、個人の意見を披露する場ではありませんので、上記のような話題を避けるのが賢明です。筆者も法人のSNS運用をサポートする仕事を何度も経験していますが、誹謗中傷を受けやすい話題、炎上に発展しやすい話題を避けることは「いろは」の「い」です。

2. 誹謗中傷を受けても、軽く受け流す

誹謗中傷を真正面から受け止めるのではなく、「そういう考え方もあるんだな」「話し合ってもわかり合えないな」「まったく的はずれだな」と割り切りつつ、「ありがとうございます。参考にします」「検討してみます」と受け流すのがよい方法です。

炎上にまで発展するパターンとしてよくあるのが、投稿者とコメントをつけた人とで大議論に発展してしまい、元の投稿内容からどんどん脱線していき、お互いが罵り合い、それを野次馬が面白がって煽り、リツイートで拡散され……という流れです。

長年の家族や友人であっても、ある話題については意見が大きく違ったり、同じ物事でも受け止め方に大きな差があったりすることは珍しくありません。ましてや、直接会ったことがない人、友人でもない人と、短いテキストのやり取りだけで心からわかり合えると思うことに無理があります。

ある話題について、自分の考えを検証したり深めたりするために、他人との有意義な議論は必要ですが、悪意のある誹謗中傷的なコメントからは有意義な議論は生まれないと考えましょう。

3. ブロックを活用する

Xでは、誹謗中傷を受けた相手のアカウントに「ミュート」や「ブロック」を設定できます。

ミュートは相手のツイートをタイムラインに表示しないようにする機能です。それに加えて、ブロックは自分の投稿に相手が返信ツイートやリツイート、ダイレクトメッセージ(DM)などができず、コミュニケーションを実質的に封じる機能です。

誹謗中傷の多くが、後に説明する「ヘルプセンターへの報告」や「法的手段の検討」までにはいたらない、不快な内容にとどまるでしょう。相手のアカウントをブロックしてしまえば、相手から返信ツイートやリツイートで揶揄されることがなくなります

なお、上記のリンク先で書かれている内容で特に重要なのが、次の2点です。

  • ブロックした相手があなたのアカウントを報告しようとする場合には、その相手は自分宛てのあなたの@ツイートをすべて見ることができ、報告の手続きに使用できます。
  • ブロックしたアカウントからの通知は届きません。また、ブロックしたアカウントが始めた会話の中で、フォローしていないアカウントがあなたに@ツイートしても通知されません。ただし、ブロックしたアカウントによって始められた会話の中で、フォロー中のアカウントが自分に@ツイートすると通知されます。すべての@ツイートを見たい場合は、自分のユーザー名を検索してください。

つまり、ブロックしたアカウントが、ツイートの中で自分のアカウントに言及した場合は通知されるので、誹謗中傷やヘイト行為の証拠としてヘルプセンターへの報告に利用できるということです。

4. ヘルプセンターに報告する(削除要請など)

Xには「攻撃的な行為の報告」というページがあり、受けた行為に応じて、

  • 攻撃的なツイートまたはアカウントを報告する方法
  • 個別のメッセージまたは会話を報告する方法

にもとづき、ヘルプセンターに報告できます。

また、自分のツイートに対する返信ツイートではなく、第三者のツイートの中に自分に対する誹謗中傷が含まれている場合、Xルールに違反したツイート(攻撃的な行為・嫌がらせやヘイト行為)として報告できます。結果として、該当するツイートの削除やアカウント凍結などの措置がとられる可能性があります。

5. 法的手段を検討する

自分への誹謗中傷が含まれるツイートの削除だけでは権利や名誉の回復が十分ではないと考えた場合は、法的手段を検討しましょう。

まず、誹謗中傷の加害者に問える刑事罰と内容をまとめると、次のとおりです。

名誉毀損罪(刑法第230条) 3年以下の懲役もしくは禁固、50万円以下の罰金
侮辱罪(刑法第231条) 勾留もしくは1,000円以上1万円未満の科料
信用毀損罪(刑法第233条) 3年以下の懲役、50万円以下の罰金
偽計業務妨害罪(刑法第233条) 3年以下の懲役、50万円以下の罰金
威力業務妨害罪(刑法第234条) 3年以下の懲役、50万円以下の罰金
脅迫罪(刑法第222条) 2年以下の懲役、30万円以下の罰金

裁判の結果、誹謗中傷が上記のいずれかに該当すると判断された場合は、相手に刑事罰が課されます
また、誹謗中傷によって受けた金銭的被害については、民事訴訟で損害賠償を請求できます

訴訟にあたっては、相手の特定が必須です。その際は、SNSのプラットフォームに対して「発信者情報開示請求」を行うことになります。令和4年(2022年)10月1日施行の改正「プロバイダ責任制限法」で新たに創設された「発信者情報開示命令制度」によって、裁判所の非訟手続によって発信者情報開示請求ができるようになりました。この点は、以下の過去記事で詳しくまとめていますので、参考にしてください。

過去記事:プロバイダ責任制限法が改正。発信者情報開示請求が1つの手続きで。ログイン時情報の開示も

これらの法的手続きは、法務部などがある大企業でない限り、個人や小規模事業者が請求手続を進めるのはむずかしいため、弁護士への相談が必要となるでしょう。

まとめ

以上、SNSでの誹謗中傷への対策を5つ解説しました。

誹謗中傷の多くが愉快犯によるものであり、マスメディアに出ている人でもない限り、執拗に受けつづけるケースはほぼないでしょう。しかし、心ない誹謗中傷が原因となり、不幸にして自殺に追い込まれる人がいたことからも、けっして看過されるべき問題ではありません。

一方で、SNSは誰もが積極的に利用すべきものではありません。不快な思いがつづくのであれば、長らく放置をしても、アプリをアンインストールしても、アカウントを削除してもまったく問題はありません。それができずに、誹謗中傷を何度も見ては、そのたびに心を痛めてしまうのは、むしろ他人からの評価を気にしすぎる自分に原因があるのかもしれません。

SNSでの誹謗中傷に苦しんでいる方がいたら、自分の心をこれ以上傷つけないように、まずはそのSNSから離れることを勧めます。もし誹謗中傷によって生活や仕事に実害が出ており、けっして許しがたいのであれば、上記で説明した方法で解決に向けて動いてみてください。

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