ホーム ハラスメント なぜ「忌みおじ」の話題が後を絶たない? 政界も芸能界も、あなたの周りも迷惑おじさんだらけ?

なぜ「忌みおじ」の話題が後を絶たない? 政界も芸能界も、あなたの周りも迷惑おじさんだらけ?

この記事のサマリー

  • 忌みおじは、周りから忌み嫌われる行為をするおじさんのこと
  • お笑いでは「いじめ」に近い内容や、容姿を揶揄して笑いをとるパターンが多い
  • 忌みおじに対してノーを伝えること、周囲がサポートしてあげることが大切

目次

みなさんは「忌みおじ」という言葉をご存知ですか?

由来は「忌むべき存在──おじさん」。週刊ダイヤモンドの誌面で、フリーライターの武藤弘樹さんが使った言葉です。

参考:ダイヤモンド・オンライン「『おじさん嫌い』の時代、嫌われたくない40代男性の悲哀と“あきらめの境地”」

パーティー券をめぐる裏金問題で激震が走る自民党の麻生太郎氏が女性閣僚に対する不用意な発言をしたり、性加害問題で揺れるダウンタウン・松本人志さんの相方、浜田雅功さんも(本人が手を下したのではなく、笑って黙認していたとはいえ)パワハラが告発されるなど、まさに忌み嫌われるおじさんたちが話題になっています。

以下、それぞれの話題について、「忌みおじ」の観点から考えてみましょう。

麻生太郎氏の「このおばさんやるね」発言

麻生太郎氏の問題発言は、1月28日に地元・福岡で行った講演中に飛び出しました。外交手腕を評価する文脈の中で、まず上川陽子外務大臣について、上川を「カミムラ」と名前を間違えました。その後、日本では「女性の外務大臣は例が過去にない」という誤った発言も(小泉政権下では田中真紀子氏、民間登用の川口順子氏は環境大臣から外務大臣を歴任)ありました。

そして、年齢や容姿に関して「俺たちから見てもこのおばさんやるね」「そんなに美しい方とは言わんけれども」と発言。これがマスコミでも大きく取り上げられることに。

参考:TBS NEWS DIG「『この“おばさん”やるね』麻生太郎氏の発言が物議も上川大臣を『新しいスター』と称賛 その背景には“ポスト岸田”選びが?【Nスタ解説】

麻生氏といえば、マンガに造詣が深いことや、歯に衣着せぬ物言いで人気がある一方、失言が多いことでも知られています。しかし、これまでの失言とは異なり、同じ党内の外務大臣とはいえ、女性の年齢や容姿を揶揄する発言をしてしまったわけです。

「やるね」という前半は褒めた意図として発したのかもしれません。しかし、言葉を分解すると、いっそう問題点が明確になります。

「俺たちから見てもこのおばさん」という発言には、政治活動の上で男女を平等に見ていない、不健全なホモソーシャルやマッチョイズムが伺えます。また、「おばさん」という発言には女性を年齢で区別している姿。そして「このおばさんやるね」という発言には「大臣は女性(中年女性)には務まらない仕事」という女性軽視や偏見も垣間見えます。

さらに後半の「そんなに美しい方とは言わんけれども」は外務大臣の業務にまったく関係なく不適切であり、嫌悪感を覚える人も多いのではないでしょうか

自身が首相経験者であり、自民党の重鎮であることから、上記の発言は後輩に対するパワハラでもあり、女性に対するセクハラでもあるという、「おじさん」の悪いところが如実に出た発言でした。

浜田雅功さんをめぐるパワハラ問題

吉本興業所属のお笑いコンビ「プラスマイナス」の岩橋良昌さんが、1月28日の夜にX(旧Twitter)で浜田雅功さんの側近的な存在である制作会社社長、H氏のパワハラを告発。自身や仲間への度重なるパワハラに心を痛めた末、浜田軍団を抜けたと暴露しました。

参考:FRIDAYデジタル「『2回続けて殴られ…』プラスマイナス岩橋が浜田雅功“側近”をパワハラ告発→全削除も『訴えたこと』」

浜田さんが直接暴力を振るったわけではないようですが、「浜田さんと一緒にいたいけど抜けたかった それらが行われてる時浜田さんは笑ってるだけ 浜田さんが見てる前というのもあり断れない圧力があったのは事実です」というポストのとおり、仲間内のリーダー格である浜田さんに責任の一端はあったといえるでしょう。

H氏は制作会社の社長として、浜田さんが単独で出演するほとんどの番組に関わっており、正月の人気番組『芸能人格付けチェック』(テレビ朝日系)のプロデューサー兼演出も担当。岩橋さんは、H氏に逆らうとテレビ出演のチャンスがなくなるという恐れから、パワハラを我慢しつづけていたようです。

浜田さんがH氏のパワハラを黙認したことで、ますますエスカレートしていった面はあるでしょう。また、その場での権力者である先輩(浜田さん)から、庇われることも止めてもらえることもなく笑いながら見放され続けたということに、直接暴力などを受けたわけでなくても、心が深く傷ついたことでしょう。

日本のお笑い番組の中には、「いじめ」とも言える様子を見て楽しむものが少なくありません。また、漫才でも自分や相手の容姿をネタにして笑いをとる方法も、王道的なパターンのひとつです。それが文化的に高いレベルか低いレベルかを論じる立場ではありませんが、社会に対してある種の悪影響を与えているのは間違いないでしょう。

松本人志さんによる性加害問題

ダウンタウンのもう一方であり、長らくお笑い界を率いている松本人志さんの性加害問題が世間を騒がせていることは、みなさんもご存知のとおりです。

事の発端は、週刊文春による「文春砲」。松本さんがスピードワゴンの小沢一敬さんに女性を集めさせ、グランドハイアット東京のスイートルームで飲み会を開催。参加者のA子さんと2人きりになった松本が「俺の子ども産めや!」などと性行為を迫ったとのこと。これらの行為が事実かどうかはまだ明らかではありませんが、その後も新証言や被害を訴える女性が続出しています。

参考:文春オンライン「《参加女性が続々告発》『全裸の松本人志がいきなりキスしてきて…』『俺の子ども産めや!』1泊30万円の超高級ホテルで行われた『恐怖のゲーム』」

松本さんは1月8日に芸能活動の休止を発表。22日には週刊文春の発行元、株式会社文藝春秋を相手取り、名誉毀損に基づく損害賠償請求と、訂正記事による名誉回復請求を求める訴訟を提起しました。

一定以上の年齢のお笑いファンからは神格化されている松本さん。しかし、ある識者は「若い人たちにとって、松本さんは有名ではあっても、単なるマッチョなおじさんに過ぎない。一対一で性的行為を迫られるのは、とても嫌だったのでは」と指摘。筆者はこの意見に大いに納得しました。

「忌みおじ」をなくすためには?

冒頭の武藤さんの記事に戻りましょう。

昨今話題に出ることが多いパワハラやセクハラといったハラスメントの加害者は、多くが中高年男性の「おじさん」であることが多い。その年代の男性が社会的地位のあるポジションにいることが多いからだろうが、一部の「おじさん」による邪悪な行為によって、「おじさん」が一くくりに嫌われがちな風潮もある。嫌われたくないおじさんは、この世間の風潮とどう付き合えばよいのか。

引用:ダイヤモンド・オンライン「『おじさん嫌い』の時代、嫌われたくない40代男性の悲哀と“あきらめの境地”」

という文章の「その年代の男性が社会的地位のあるポジションにいることが多いからだろうが」という部分に、忌みおじの傲慢さや厚顔無恥さの一因が読み取れます。

また、先週の記事 知らないのは男性だけ? あなたは「ぶつかりおじさん」を知っていますか? で取り上げたとおり、人混みの中でわざとぶつかるという、一歩間違えば命の危険にもつながりかねない行為を行うのもおじさんです。歩行中に道を譲らない人、自転車でベルを頻繁に鳴らし、歩行者を退けさせようとする人も、おじさんが圧倒的に多いことからも、社会として「おじさんへの再教育」が必要ではないかと思ってしまいます。

私たち一人ひとりができること。

それは、パワハラやセクハラを許さないという社会的な雰囲気の力を借りて、「忌みおじ」に対してきちんとノーを伝えること、周囲の人がそれをサポートしてあげることです。

まとめ

以上、「忌みおじ」という切り口から、いくつかの時事的な話題について考えてみました。

おじさん(中年以上の男性)は、若いころに染まった思想や考え方からなかなか抜け出せないとよく指摘されます。いくら社会が変わっていても、自分が若いときに身に着けた価値観や先入観を捨てられず、それが不用意な発言として、ひどい場合はパワハラやセクハラという行為として現れるということです。

また、社会的に成功した人であればあるほど、自己肯定感が強く、「他人よりも自分のほうが偉い」「自分には許される」と考えがちです。自民党のパーティー券をめぐる裏金問題も、すべての人とはいいませんが、国会議員という優越感や、特権階級であるという間違った自意識が背景にあった人もいるはずです。

筆者も「おじさん」と呼ばれる年齢ですが、けっして「忌みおじ」にならないようにしようと、あらためて思いました。

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