ホーム ハラスメント 若者が感じる「マルハラ」とは? 文末の句点「。」から威圧感を覚える理由を探る

若者が感じる「マルハラ」とは? 文末の句点「。」から威圧感を覚える理由を探る

この記事のサマリー

  • マルハラとは、若者が文末の句点「。」から圧力を感じること
  • 文末の句点から「冷たい」といったマイナスな雰囲気を感じる人も
  • 自分のほうから相手のルールに合わせてもよい。お互いに歩み寄りを

目次

みなさんは「マルハラ(マルハラスメント)」という言葉をご存知ですか?

LINEなどでのメッセージのやりとりで、主に若者が文末の句点「。」から圧力を感じることを「マルハラ」といい、最近話題となっています。あるアンケート調査では、若い女性の4割が句点に威圧感を覚えたことがあると回答したそうです。

以下、マルハラについて一緒に考えてみましょう。

マルハラはあくまで便宜上の言葉。
いわゆるハラスメントではない

パワハラ防止法(労働施策総合推進法)では、職場でのパワーハラスメントを「優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること」と定義しています。

厚生労働省が具体的に示している6類型は、

  1. 身体的な攻撃(暴行・傷害)
  2. 精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
  3. 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
  4. 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
  5. 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること・仕事を与えないこと)
  6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

です。

マルハラは、これらのうちどれに該当するのでしょうか?

あえていえば「2. 精神的な攻撃」に該当する可能性がありそうですが、いずれにしても内容が問われるのであって、句点の有無がハラスメントの直接的な理由とはならないでしょう。

このように、マルハラはあくまで便宜上の言葉と考えておきましょう。

たしかに感じる句点「。」からの圧力

とはいえ、LINEなどのチャットで文末に句点を使う人は少数派といってよく、むしろ絵文字を入れたり、適度に感嘆符「!」を使ったりすることがほとんどです。このようなコミュニケーションに慣れている現代では、句点「。」から何かしらの圧力を感じる人がいるのは、無理からぬことです。

簡単な文で句点、感嘆符、絵文字を比較してみましょう。

例:
◯◯について報告してください。

例:
◯◯について報告してください!

例:
◯◯について報告してください😊

それぞれの文章から伝わってくる印象は、明らかに異なります。人によっては句点から「冷たい」「怒っているのかな?」といったマイナスな雰囲気を感じるでしょう。これが「圧力」の主な理由です。感嘆符からは励ましのような印象を受ける一方、状況によっては相手が焦っている可能性もありそうです。笑顔の絵文字からは友好的な雰囲気を感じます。

みなさんも、身内や友人と言い合いのような会話になってしまったり、相手に対して強い不満を抱いたりしているときに、感嘆符や絵文字を使う気にはなれず、句点を使った経験はありませんか? つまり、理由があって句点を使うケースがあることも、また事実なのです。相手が句点から圧力を感じるのは、このような経験が背景あるのかもしれません。

私は英語でもよくチャットをしますが、英語を母国語としている人の大半が、日本で文末に句点「。」をつけないように、ピリオド「.」をつけません。しかし、ほとんどの会話をワンフレーズで済ませるチャットではなく、複数のパラグラフにわたる長いメッセージのときはピリオドをつけるのもまた、日本語で句点をつけるのと同様です。

世代間のギャップはあっても、大きな問題ではない

句点の有無の理由を、世代間ギャップに求める意見もあります。

たしかに年長者のほうが、文末に句点をつける人が多い傾向があります。しかし、これは大きな問題ではなく、その人のパーソナリティを理解していれば、句点があっても気にならないでしょう。頻繁にチャットで話す相手ではなくても、何度かやりとりをすれば、その人なりのルールがわかるはずです。

相手が絵文字や感嘆符をあまり使わず、句点をよく使う人であれば、むしろ自分のほうから相手のルールに合わせてあげてもよく、実際にそうしている人も多いでしょう(私もそうしています)。

まとめ

以上、マルハラについて考えてみました。

最後に、X(旧Twitter)で投稿されたおもしろいポストを引用します。

マルハラという言葉が独り歩きし、半ば市民権を得てしまったことで、年長者が若者に配慮する涙ぐましい姿が、このポストから垣間見えます。

人によって、自分が快適だとコミュニケーションルールは異なります。

相手のルールを尊重し、時には自分から相手に歩み寄ってあげること、多少の違和感には目をつむり、内容重視でコミュニケーションを進めることが大切だと考えます。

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