ホーム ハラスメント メタバースやネットゲームの女性型アバターは、セクハラを受けやすい。どのように対処する?

メタバースやネットゲームの女性型アバターは、セクハラを受けやすい。どのように対処する?

この記事のサマリー

  • 女性型アバターは、実際の性別に関係なくハラスメント被害が増加する傾向あり
  • メタバースやネトゲは匿名性が高く、悪意のあるハラスメントに遭いやすい
  • 継続するハラスメントには毅然とした態度を。発信者情報開示請求も念頭に

目次

VTuberの「バーチャル美少女ねむ(@nemchan_nel)」さんが、全世界のソーシャルVRユーザーを対象とした「メタバースでのハラスメント」に関する調査結果を2022年11月に発表しました。

メタバースやネットゲーム上での性別は、現実世界とは異なるものを選択することが可能であり、画面の向こう側にいる相手の性別は謎に包まれています。そのような中で、ネット上の性別はハラスメント被害にどのように影響しているのでしょうか?

メタバースでのハラスメント調査結果によると、900件近い回答のうち57.8%が「ソーシャルVRをプレイ中にハラスメント被害にあったことがある」と回答。ハラスメントの種類は、性的ハラスメント(セクハラ)が最多でした。

また、女性型アバターの使用によって、現実世界では男性のユーザーであってもセクハラ被害に遭いやすくなるといったメタバース特有の状況もあるようです。

ネットの世界でのセクハラとは?

ハラスメントの種別では、

  • 性的な言葉をかけられる(62.5%)
  • 性的に触られる(42.9%)
  • 不適切なアバターを見せられる(68.6%)

といった報告が目立ちました。

また、75%がVR体験のハラスメントは「リアル」に感じたという回答があり、原因として「女性型アバターを演じている」ことが突出しています。また、現実世界でも女性の場合は「生物学的女性」であることが高い割合です。

もちろん女性から女性への性的ないやがらせもセクハラに該当しますが、その場合はハラスメントの原因として「生物学的女性」であることと回答するのは不自然であり、この回答の裏には加害者が(アバターがどうであれ)男性であることが考えられます。

メタバース世界では、ユーザーが任意でキャラクターの性別を選択することができますから、本来であれば「画面の向こうの相手の性別」はわかりません。つまり、実は男性から男性へのセクハラとなっていることも往々にしてあり得るのですが、目の前のキャラクターが女性という点だけで、現実世界よりもライトにハラスメントが横行してしまっている印象です。

参考1: ハラスメントの種別

参考2:ハラスメントのリアリティ

参考3:被害者が考えるハラスメントの原因

データ・画像引用:メタバースでのハラスメント (Nem x Mila) レポートPDF

セクハラの対象にされやすいチャットボックスとは

先ほどの調査結果は「VRの没入感から起こる特殊な状況なのでは?」と思われた方へ、さらに驚きのニュースがあります。

ウェブサイトやアプリ上で24時間いつでも質問を受け付けてくれるチャットボックス。ECサイトを中心に、いまや多くのサイトに導入されているので、一度は目にしたことがあるでしょう。チャットボックスにキーワードや文章を入力すると即座に回答してくれたり、問題が解決できないときはオペレーターにつながったりと大変便利ですが、多くのチャットボックスがオペレーターにつながる前の応答はボット(自動プログラム)で処理するしくみになっています。

チャットボックスのアイコンについては、ロボットやキャラクター、人物のイラスト、写真などざまざまなタイプを目にしたことがあるのではないでしょうか?

あるECサイトでは、アイコンを「キャラクターのイラスト」から「カスタマーサポートを実際に行っているような女性の写真」に変更したところ、ハラスメントメッセージが急増したという話があります。もちろん、女性の写真は素材画像のため、実際にその写真の女性が応答しているわけではなかったのですが、不思議なものです。

最近ではVRに限らず、オンライン上で交流が可能なネットゲームも人気ですが、実際は女性であっても「女性だとバレると面倒」という理由で男性のキャラクターを選択したり、ボイスチャットの誘いにも理由をつけて断るようにしているというゲーマーの方も多いようです。

教授が女性と思い込みセクハラされた男性大学生

帝京大の教授が、男子学生を名前で女子学生だと勘違いし「女子学生さんですよね? 歓迎いたします。男子には内緒ですが、女子は基本的には応募=採用です」「サンドイッチにコーヒーでも飲みながら、お話ししましょう」といったメールを送り、当の男子学生が性別を明かしたところ態度が一変したという事件もありました。

なお、大学などでのアカデミックハラスメント(アカハラ)については、過去記事 横行する大学内の「アカハラ(アカデミックハラスメント)」の現状と対策 をお読みください。

セクハラをする人の心理と、ネット上で起こりやすい理由

実際に目の前にいない相手に行うセクハラはどのような心理が働いているのでしょうか?

まず、男性が女性にセクハラを行うのは、無意識の場合悪意がある場合の2パターンに大別できます。

無意識の場合には、

  • 潜在的な認知の歪み(ジェンダーバイアス)
  • 異性との適切なコミュニケーションの取り方がわかっていない

といった原因が考えられます。

なお、ジェンダーバイアスについては過去記事 ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは? セクハラとの違い、LGBTやSOGIとの関係を解説 をお読みください。

悪意がある場合には、

  • 男性としての誇示(男尊女卑に近い)
  • 力の弱い者を揶揄することでのストレス発散

といった原因がが考えられます。

社会的にハラスメントに対する見方が厳しくなっている昨今では、悪意のあるハラスメントは現実世界では淘汰されてきている反面、ネットではその匿名性からモラルの低下を招き、「バレないだろう」「訴えられることはない」「いつでも逃げられる」と考える人が少なくないため、ハラスメントが減りにくいのかもしれません。これは、匿名でも利用できるTwitterで起こっている、さまざまな炎上事件を見れば明らかです。

また、肉体的な接触がない分、画面の向こうにいる相手の性別や立場に関係なく、「いま目の前にいる、自分よりも弱い相手」を現実世界よりもライトな感覚で傷つけている、という可能性も考えられます。

もし悪意のある相手からの被害を受けた場合は、逃げる、または、毅然とした態度で接することが重要です。

ネット上でのハラスメントについては現実世界よりも加害者の特定が難しいと考えられがちですが、昨今では発信者情報開示請求(インターネット事業者などのプロバイダに対して、その発信者を特定するために発信者情報の開示を求める裁判所での手続き)を利用し、加害者を特定し、然るべき措置(損害賠償請求など)をとったという方も増えてきているようです。

たとえば、性的な画像を送り続けられたり、いわれのない誹謗中傷が続いていたりと、あなたの尊厳を深く傷つけるようなハラスメントが継続している場合には、発信者情報開示請求を検討してみましょう。手続きには時間も費用もかかるため、実行できるかどうか(被害として実行するのに値するかどうか)は慎重な判断が必要ですが、「裁判所に発信者情報開示請求の申し立てをしますので、そのつもりで」と伝えることが、ハラスメントの抑止につながる可能性があります。

まとめ

このように、ネット上のハラスメントは現実世界の性別がいずれであっても、ネット上の性別が「女性」と相手に判断されたときに、被害に遭う可能性が高まってしまうようです。

もしあなたが、メタバース(インターネット上の3次元仮想空間)やネットゲームを始めるにあたって、「なるべくセクハラを受けたくない」と考えるのならば、男性型アバターを使うとよいかもしれません。

一方、もし「セクハラなんて実は滅多に無いだろう」と考えている方がいらっしゃれば、一度、仮想世界で女性型アバターを使ってみることで、知らなかった世界を体験できるかもしれません……

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