タクシーでのハラスメント(タクハラ)という言葉から、あなたはどのようなシチュエーションを想像しましたか?
酒に酔った乗車客から運転手への暴言や暴力でしょうか? タクシー運転手へのハラスメントはニュースでたびたび取り上げられることもあり、耳にしたことがある人も多いでしょう。Uberのサービス開始時に、さまざまなトラブルが報道されたことも記憶に新しいところです。
実は今、このようなタクシーという密室でのハラスメントについては、乗客側の被害の声も多くあがっているのです。たとえば、わざと遠回りをし料金の水増しを行ったり、乗客に対してプライベートを詮索したり、セクハラまがいの会話を行ったり……。
被害に遭わないため、被害を広げないためには、社会としてハラスメントの事実を受け止め、目を向けることが大事な一歩です。
運転手が遭った被害
「座席を蹴りあげる泥酔客」
「遠回りをしたと難癖をつける客」
運転手側の被害として、乗客からの暴言や暴力がニュースで取り上げられることがあります。
タクシーの求人サイトでも、「運転手あるある」として以下が挙げられており、大小さまざまな困りごとを抱えている様子が伺えます。
タクシー運転手の迷惑あるある
- 運賃を払わない乗客
- 酔っ払いの乗車は行き先が分からない
- 乗り逃げならぬ「置き逃げ」
- 見下してくる乗客
参考:P-CHAN TAXI「タクシー運転手あるある12選!タクシー業界の裏側やおもしろエピソードまとめ」
運転手を見下し、横暴な態度をとってくる乗客の中には、座席を蹴りあげる、お金を投げつけるといった行為に及ぶ人もいるそうです。また、最近では女性の運転手も増えており、男性客からセクハラまがいの会話をされることも。
ほか、「目的地までの道順が違う(違った)」「遠回りをした」といった難癖をつける乗客や、昨今ではスマホで撮影し、SNS上で運転手の実名と一緒に写真を晒すといった脅しも見られるようです。
さらに年末年始には、泥酔した客に困らされることも増えるとの声もあります。
なお、泥酔した客については道路運送法第13条において、乗車を拒否しても正当な判断にあたるとされ、実際に断られているケースを目にした人も少なくないでしょう。
参考:Yahoo!ニュース「タクシーで泥酔、警察官に暴行した疑い テレビ東京社員を逮捕」
参考:Yahoo!ニュース「年末に泥酔・嘔吐客急増でタクシー業界の悲鳴 『個人タクシーには死活問題』」
乗客側の心がけとしては、飲み会などで「酔い潰れた人をとりあえずタクシーに乗せて返す」といった場面もあるかもしれませんが、意識のしっかりしている仲間がきちんと同乗して送り届けるといったモラルが必要です。
乗客が遭った被害
「料金はいらないから、ホテルに行かない?」
「年寄りのクセに金持っているのか!」
ニュースに取り上げられやすい運転手の被害だけでなく、乗客が運転手から被害に会うことも。Twitterのハッシュタグ「#タクシーハラスメント」でもその一部を垣間見ることができます。
女性や高齢の乗客がハラスメント被害に合う場面が多く、
- 「若い女がタクシーを使うなんて、いいご身分だね」
- 「色っぽいね、このあとヒマ? ホテルに行かない?」
- 「こんな年寄りのクセに金持ってるのか! 何に使うんだ!」
といった、信じがたいような言葉を投げかけられることがあるようです。
また、わざと遠回りをしたり、家族や家庭についてのプライベートな質問をしてきたりといったケースも。家族や家庭に関する会話は、運転手からすると何気ない雑談をしているつもりでも、目的地が自宅の場合は住所を知られる可能性があり、乗客が抵抗や恐れを感じることもあるでしょう。
深刻なトラブルは深夜のタクシー利用でいっそう見受けられるようで、筆者もやはり深夜での乗車でトラブルに遭ったことがあります。
たとえば、一人でタクシーを利用した際にはタメ口で会話されることが多いですし、舌打ちをされた経験もあります。
また、道順を説明したところ「は? 何いってんのかわかんない」と一蹴され、そのまま遠回りをされてしまったりと、あまりよくない対応に当たってしまったことが何度かあり、短期間でそのような経験が続くと、タクシーを利用すること自体が少し怖く感じたのも事実です。
こういった困ったタクシーに乗車してしまったときは、自宅の少し手前で降車し、あとは徒歩で帰るといった行動をとる女性も多く、暗い夜道を警戒してタクシーを利用したはずが、けっきょく不快な思いをしてしまった人も少なくないでしょう。
このように、乗客側の被害も少しずつ声があがっていますが、残念ながら「あなたの態度に問題があったんじゃないの?」と思われてしまうこともまだまだ多いようです。
タクシーに乗車した際、もしハラスメントに当たるような不快な思いをしたときは、各都道府県のタクシーセンターに報告しましょう。
タクシーセンターでは、旅客自動車運送事業運輸規則第3条にそって、正当なクレームであれば優良事業者認定の点数の減点(空港や大きな駅など優良乗り場への入構禁止など)などの措置がとられるとのことです。
また、タクシーに備え付けのお客様アンケートや、タクシー会社のウェブサイトの問い合わせフォームから、直接報告するのもよいでしょう。
被害報告時に有効な情報
被害を報告する際は、次のような情報をあわせて伝えましょう。「あれ、接客態度や会話の中身がおかしいな?」と思ったら、メモをしておくのがおすすめです。
- タクシーのナンバー
- ドアに書いてある通し番号
- タクシー事業者名
- ドライバー名
参考:文春オンライン「なぜ私は『タクシーハラスメント』について声を上げているのか」
参考:文春オンライン「なぜタクシー運転手は女性にだけタメ口で態度が横柄なのか」
参考:Hatena Blog「雑魚タクドラとして、『#タクシーハラスメント』に思うこと」
強い不快感や身の危険を感じたら
昨今ではドライブレコーダーや車内カメラを搭載しているタクシーも多く、それがきっかけで事件やトラブルが発覚することあります。
ただし、それはあくまで後日であって、運転手や乗客として危険な目に合いそうなときには、証拠として録音や録画を行っておくことがおすすめです。
何事もなければ何よりですが、もしものときの強い味方になってくれることでしょう。
さらに、裁判などで録音データを証拠として提出するときは、データそのものだけでなく、会話を書き起こした反訳書も一緒に提出する必要があります。
無料のiPhone・Androidアプリ「Voistand」では、録音と同時に自動文字起こしが行われ、さらに日時にもとづいて音声が管理がされるため、「証拠のための録音」という用途にピッタリです。
素早く録音を開始できるので、一人でタクシーに乗る際や夜遅くに利用する際には、録音するクセをつけておくとよいかもしれません。
iOS版(App Store) | https://apps.apple.com/jp/app/id1544230010#?platform=iphone |
Android版(Google Play Store) | https://play.google.com/store/apps/details?id=com.voistand.app |
まとめ
いかがだったでしょうか?
タクシーに乗せる側、乗る側、年齢・性別などによって見える世界は異なるものです。「タクシーハラスメント」という行為も、乗せる側と乗る側のどちらも原因になることがあり、思いかげず相手を不快にさせているケースも少なくないはずです。
お互いに立場の違いはあっても、少しでも思いやりながら、タクシーを快適に利用できる世の中にできるとよいですね。