ホーム ハラスメント いま話題の共同親権。「DVはスマホで証拠をとれる」発言に批判殺到。現実に即した対応とは

いま話題の共同親権。「DVはスマホで証拠をとれる」発言に批判殺到。現実に即した対応とは

この記事のサマリー

  • 親権は、子どもの「財産管理権」と「身上監護権」の2つで構成
  • 2026年からは離婚時に夫婦で協議の上、共同親権が選べるようになる
  • DVや子への虐待が認められれば単独親権となる
  • DVや虐待の秘密録音には、長時間録音やデータ管理が可能なスマホアプリを

目次

2024年4月16日、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする民法などの改正案が、衆院本会議で賛成多数で可決されました。成立すれば2026年までに施行となります。

すでに離婚した父母も単独親権から共同親権への変更を申し立てられる見通しです。離婚時には父母が協議で親権の在り方を決め、父母双方で養育に関われるようにすることが狙いですが、もし子への虐待・DVの恐れがあれば単独親権とし、加害者との共同親権は認めないとされています。

これからの離婚、これまでの離婚にも適用される共同親権。

以下、離婚と共同親権の統計データ、共同親権に関する賛成派と反対派の意見やメリットとデメリット、もしDVや虐待が背景にある離婚では親権がどのようになるのか。

法案が成立する前に、ぜひご一読ください。

離婚と親権の統計データ

まず「親権」とは、子どもの利益のために、

  • 子どもの財産を管理する権利(財産管理権)
  • 子どもの身の回りの生活面全般について監護する権利(身上監護権)

で構成されています。

現在、単独親権しか認められていない日本では、離婚後の親権は母親が持つケースが85%以上といわれています。

以下、離婚と親権に関する最新5年間の統計データを見てみましょう。

子どもが1人の場合

離婚件数 夫が親権 妻が親権
2018 55,682 7,218(13%) 48,464(87%)
2019 55,251 7,283(13.2%) 47,968(86.8%)
2020 51,406 6,716(13.1%) 44.690(86.9%)
2021 48,979 6,298(12.9%) 42,681(87.1%)
2022 45,551 5,475(12.0%) 40,076(88.0%)

子どもが2人の場合

離婚件数 夫が2児 妻が2児 その他
2018 45,644 5,255(11.5%) 38,097(83.5%) 2,292(5%)
2019 44,566 4,962(11.1%) 37,347(83.8%) 2,257(5.1%)
2020 41,883 4,618(11.0%) 35,171(84.0%) 2,094(5.0%)
2021 39,431 4,270(10.8%) 33,105(84.0%) 2,056(5.2%)
2022 34,640 3,680(10.6%) 29,435(85.0%) 1,524(4.4%)

子どもが3人以上の場合

離婚件数 夫が全児 妻が全児 その他
2018 19,171 1,857(9.7%) 15,301(79.8%) 2,013(10.5%)
2019 18,847 1,911(10.1%) 14,927(79.2%) 2,009(10.7%)
2020 18,046 1,792(9.9%) 14,430(80.0%) 1,824(10.1%)
2021 16,908 1,572(9.3%) 13,615(80.5%) 1,721(10.2%)
2022 14,374 1,308(9.1%) 11,708(81.5%) 1,358(9.4%)

データ出典:政府統計の総合窓口「人口動態調査 / 人口動態統計 確定数 離婚」

なぜ「共同親権」が議論になったのか?

共同親権の議論は、離婚後の養育費の分担などを決めるよう定めた2011年の民法改正時の国会付帯決議にて、離婚後の共同親権の可能性を含めた検討案が盛り込まれたのが発端です。

米国や英国など24か国を調査した結果、インドとトルコを除く22カ国が共同親権を採用していると法務省が発表していますが、運用方法は各国さまざまのようです。イタリアの共同親権は教育などに限定、ドイツは「子どもにとって著しく重要な事項」として抽象的に定めており、スイスの監護権は単独のようです。

日本はまだ、どこまでの範囲が共同親権として行使され、単独親権を行使できる「急迫の事情」がどのようなケースとなるのか、明確な基準が定められていません

なお、衆院本会議の討論では、賛成派と慎重派ではそれぞれ次のような意見が挙がっていました。

賛成派

  • 離婚後も双方が適切な形で子どもの養育に関わり、責任を果たすことができるようになる。
  • 離婚しづらいような社会になる方が健全。離婚するなら子どものことをしっかりと考えて、責任を持たせてからでないと離婚できないようにすることが、子の最善の利益を確保するために必要。

慎重派

  • 父母間で円滑なコミュニケーションが取れなくなったから、離婚するケースが圧倒的多数。まず前提として、コミュニケーションがうまくいっていたら離婚はしないのが普通。
  • 現行(単独親権)でも、共同親権を認めないから親子関係が断絶されるという制度ではない

共同親権のメリットとデメリット

子どもと同居するなど一方の親だけで決定できる「急迫の事情」や「日常の行為」について周知するガイドラインについては今後制定が進められるようですので、具体的なケースについては取り扱いが変わる可能性がありますが、共同親権について予想されるメリットやデメリットの一部をご紹介します。

メリット

  • 同居していない親と子が会いやすい
  • 離婚後も両親ともに養育や教育に携われる
  • 離婚訴訟の短期化(親権が争点になるケースの減少)
  • 養育費の支払いがされやすくなる
    ※ ただし、現段階では心情面に焦点が当てられているのみで、法的に強制力が発生するかどうかは不明のようです。

デメリット

  • 子に二重生活を強いることになる
  • 同居していない親と近い場所で生活する必要が発生する(遠方への引っ越しが難しい)
  • 15歳未満の子の場合、緊急ではないワクチン接種や手術などの医療行為に両親権者の同意が必要になる
  • 高校無償化や大学奨学金受給の条件が、離婚後の父母の収入の合算で判定される
  • DVや虐待などのケースが認められなかった場合、子を適切に保護できない可能性も

医療行為など「緊急を要する際には一方の親権者の同意のみでよい」とされてはいるものの、養育費の支払いにペナルティなどがない中での進学費用の合算判定や医療行為の同意など、デメリットが発生した際の子どもへの負担が大きいため、それらを細かくカバーしたガイドラインが出されることを願い、今後の展開に注目をしましょう。

DVや子への虐待が認められれば単独親権に

共同親権は、現在の単独親権に追加する形で導入され、単独親権か共同親権かは父母の協議によって決められます。

合意できない場合は、家庭裁判所(家裁)が親子関係などを考慮して単独親権か共同親権か、単独の場合はどちらを親権者にするか決定するとのことです。

家裁の判断により、DVや子どもへの虐待があったと認められた場合は単独親権となります。

衆院法務委員会の審議では「家庭裁判所の体制は不十分で、被害を見逃す恐れがある」という指摘も挙がっている中で、先日の法務委員会での参考人質疑時に、弁護士からは「DVがあるならスマホで証拠をとれる」「DVが認定されなかったのは、証拠が取れる環境にあったにも関わらず証拠が提出されなかったケースが多い」との発言もありました。

この発言に対して、DV被害時に証拠を撮影しようとしたら「包丁を向けられた」「スマホを破壊された」、録音を証拠として提出しても「音声は編集ができるから証拠にならない」とDVを認められなかったといった、DV・虐待経験者とみられる方々からの実体験が、SNSを中心に赤裸々に語られています。

激昂している最中の人物に、スマホやICレコーダーを向けて撮影や録音を開始するのはかなり危険な行為です。秘密の録音や録画であっても、もしバレてしまった場合に、暴力や暴言が激化してしまうことも考えられます。

一方、第三者からの判断において(特に司法の場では)どうしても証拠というものが重要視されます。

DV相談窓口や弁護士へ相談を仰いでから、適切に証拠を集めていく方法もありますが、時間も費用もかかってしまう点は否めません。先に証拠を用意する場合には、ぜひ以下の点にご注意ください。

録音や録画の際に注意すべき点

  • 録音や録画に気づかれないように、小型のレコーダーやスマホなどを活用する
  • DV発生前から日常の様子も含めて記録しておく
  • 複数のレコーダーで記録を行う
  • データは手元に残さずクラウドに保存するのが理想
  • 証拠として提出する際には反訳書(録音データの書き起こし)が必要

どれかひとつでも参考にしてみてください。

DVや虐待といった、いつ起こるかわからないときの秘密録音では、相手にわからないように長時間録音(録画)ができることが重要です。

また、録音後の音声が「それがいつ、どこのデータなのか」の振り返りが便利なものを選ぶとよいでしょう。

秘密録音のデータ取り扱いや、反訳書については以下の過去記事で詳しく解説してます。
関連記事:秘密録音はデータの取り扱いにも要注意! 音声データの証拠能力と、使用上の注意点

長時間録音に向いている無料アプリ

無料ではじめられ、iPhone、Androidのどちらでも使える音声録音アプリ「Voistand」では、

  • バックグラウンドでの長時間録音が可能
  • スマホの容量を気にしなくてもよいクラウドデータ保存
  • カレンダーUIなので、いつどこでの録音かがわかりやすい
  • AIベースの自動文字起こし機能がある
  • 過去の音声データの取り込みや文字起こしが可能

など、DVや虐待やハラスメントに悩まされている人に寄り添った機能が充実しています。

まずは無料で利用できますので、ぜひお試しくださいね。

iOS版(App Store) https://apps.apple.com/jp/app/id1544230010#?platform=iphone
Android版(Google Play Store) https://play.google.com/store/apps/details?id=com.voistand.app

Voistandをさらに詳しく知りたい人は、ぜひ以下の過去記事をご覧ください。
過去記事:録音や音声メモに無料スマホアプリ「Voistand」を使おう。その7つのメリットとは?

まとめ

いかがだったでしょうか?

「共同親権」の導入を柱とする民法などの改正案は可決の方向で進んでいますが、場合によっては離婚後の子どもたちの人生の大きな足かせとなってしまう可能性があり、詳細なガイドラインの策定が待たれます。

たとえば、子どもの「日常の行為」には習い事やアルバイトなどがあり、これらは共同親権の場合、双方の親権者の合意が必要となる見通しです。子どもが望ましくないアルバイトに身を置いていないかについて管理の目が増えるという点ではメリットともいえますし、教育に対して親権者の意見が分かれている場合には子どもが板挟みになってしまう可能性もあります。

「共同親権の導入を支持する人」と「単独親権の維持を望む人」について集められたパブリックコメントでは、約8,000件のうち1対2の割合で単独親権の維持を望む人が多かった中での可決となった改正案ですが、現実を踏まえてさまざまなケースに対応できるガイドラインが策定されるよう、より多くの関心が集まることを望みます。

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