ホーム 学習 スポーツでの大声が恥ずかしい? シャウト効果で明かされる「声」の科学的な必要性とは

スポーツでの大声が恥ずかしい? シャウト効果で明かされる「声」の科学的な必要性とは

この記事のサマリー

  • 大声を出すと最大筋収縮速度が9%、筋パワーが14%、握力が5%増加
  • 大声を出した後の深い呼吸が心肺機能の向上にも役立つ
  • 呼吸法と同様に、発声は身体機能に影響を与える
  • 大声によるアドレナリンで恐怖心の払拭や集中力が増加
  • 声を出すことは気持ちの切り替えやパフォーマンスの向上につながる

目次

スポーツ指導の場において「声を出せ!」というシーンがありますが、あなたはその意味をご存知でしょうか?

子どものころに控えめな性格だった人の中には、「声を出すのが恥ずかしい」と感じ、スポーツ自体に苦手意識を持ってしまった人もいるのではないでしょうか?

大声を出しながらスポーツに打ち込む姿はスポ根・体育会系の印象が強く、指導者自ら大声で「声を出せ!」と指導する姿は、いまやスポーツパワハラのように見えてしまうことがあるかもしれません。

チーム競技における声かけは、団結力や士気に直結するというのは皆さんも想像できるでしょう。しかし、個人にスポットを当てたとき、声というものがパフォーマンスとどのように関わっているのでしょうか。

実は、スポーツの際に大声をあげることは、シャウト効果によってフィジカル(肉体)面でもメンタル(精神)面でもパワーアップできるという研究結果が出ています

今回は、そんなスポーツと声出しについての密接な関係についてまとめてみました。

声がフィジカル(肉体)面に対して期待される効果

ハンマー投げやウエイトリフティングといったパワーが必要とされる競技で、動作の途中からリリースを行う直後にかけて大きな声をあげている姿を目にしたことがあるのではないでしょうか?

このような瞬発力が必要なパワー系競技においては、最大筋収縮速度が9%、筋パワーが14%増大したという研究結果が出ています。そして握力は5%の増加

パワー系競技だけではなく、テニスや卓球といった道具を使う競技でも、限界値を超えた筋力を発揮するには大声が欠かせません

また、声を出すことにより一時的に呼吸が深くなります。そのため、バスケやサッカーといった心肺機能が肝心なスポーツでも、大声を出した後の深い呼吸により、酸素が脳や身体に巡り集中力や持続力が増加します。

筋力の増加だけではなく、体が硬い人でも「ニャー」と言ってから前屈をすると、言わないときに比べてより深く前屈できるようです。これは息を声に乗せて吐き出すことによって呼吸筋が弛緩し、前屈しやすくなるという理にかなった面があります。呼吸による筋肉の動きは、「ふー」と吐き出すのと「はー」と吐き出すのでは異なります。筋トレやピラティスといったインナーマッスルを鍛える際に有効なのは「ふー」とお腹に力が入る呼吸です。それに比べ「にゃー」という声は「はー」と息を吐くときに似た、筋力を最小限に動かす呼吸となりますが、さらに「にゃー」と発した際はいっそう体の力が抜けるように、つまり呼吸筋が弛緩しているように感じられるでしょう。

このように、筋力や身体の使い方という面を考慮すると、スポーツや動作によって適切な声の出し方は異なるのです。

声がメンタル(精神)面に対して期待される効果

卓球で有名な福原愛さんは現役時代に「サーッ!」という掛け声がトレードマークともされていました。これは「リラックスする」ために発していたと福原さんは語っています。

また、柔道や剣道といった日本の武道でもよく大きな声をあげている姿を目にします。武道の場合には前述のとおり筋力アップの効果がある一方で、丹田(お腹の下部)を意識した気迫のある声を上げることで、自身の恐怖心を払拭させたり、相手に気迫を伝えたりする点も重要視されています。また、武術では特に「相手に隙を見せない」ためにも常に正しい姿勢をとることが重要で、正しい姿勢でないとお腹に力が入らず、声がきちんと出ないという教えもあります。そのため身体のチューニングを行うように練習時から声を出すように指示されることもあるのです。

大声を出すと脳からはアドレナリンが分泌されます。アドレナリンによって、武道での相手を前にして奮い立つ気力が出ること、脳を適度な緊張や集中モードにすることができるのです。そのため、体育館や格技場に入る前や、練習や試合の開始前の挨拶からしっかりと大声を出すことで、意識的にアドレナリンを分泌させ、「やる気スイッチ」を入れることができるのです。

スポーツの練習では集中力が大切です。ぜひとも大声の効果を意識的に使って、パフォーマンスを上げてくださいね。

まとめ

いかがだったでしょうか?

「スポーツで大声を出すのは恥ずかしい」という方も、理由を理解することで「よし、声を出してみよう」と思ったことでしょう。

大声を出すことはストレス発散にもつながるため、スポーツを通した心身の健康に大きく寄与します。もしプレーヤーとしてスポーツをすることからは遠ざかっている方も、まずはスポーツ観戦などから始めてみてはいかがでしょうか?

また、発声によるアドレナリンと集中力に注目するならば、勉強や仕事モードへの気分の切り替えにも使えるテクニックかもしれません。

ぜひ声を上手に使って、心身を健やかにすることに役立ててみてください。

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