2025年(令和7年)の新年度が始まり、2週間が経とうとしています。
2025年度新卒は初任給の増加や、内定率が2017年卒以降で過去最高の98.8%(リクルート「就職プロセス調査(2025年卒)」(PDF))など、何かと注目が集まった年となりました。一方で、どうやら入社後の退職数も往年比べてかなり増加しているようです。
退職の理由については一様ではないものの、SNSで散見された意見では、
- 提示されていた給与額と異なり、著しく低かった
- 最低賃金以下の給与額だった
- 提示されていた給与額は「1か月で1日も休まない場合の給与」が記載されていたなど、達成困難な条件があった
- 希望と大きく異なる勤務地に配属された
- 食事以外での水分補給禁止など、健康を害するような労働環境だった
- 面接時の雰囲気とは大きく異なり、パワハラを感じた
など、「最近の若者は……」とはいえないようなブラックなトラブルが少なくないようです。
近ごろ話題に挙がっている退職代行サービスも、2025年新卒者からの依頼が急増しているとの発表が出ています。
「ブラックな環境からスグにでも逃げ出したい。でも、上司や人事と直接やりとりするのは怖い…」。そんなときに便利な退職代行サービスではありますが、ちょっと待ってください。
実はそもそも、勤務先に雇用契約違反や労働基準法違反があった場合は、すぐに雇用契約を解除できます。また、ハローワークや労働基準監督署を通すことで、是正を促すこともできるのです。
今回はそんな新生活に覚えておきたい、入社後トラブルの際の対処法をご紹介します。
「なんかヘン……」これって入社後トラブル?
入社後にトラブルに見舞われてしまったら、まずは雇用契約書(労働契約書、労働)を読み、労働条件を確認しましょう。
「すでに働き始めているのに雇用契約書がない」といった場合は黄色信号です。雇用契約書がなくても労働契約は成立しますが、雇用契約書がないとその後のトラブルが発生しやすくなるのです。
なお、雇用契約書に記載されている事項はおおむね以下のとおりです。
- 労働契約の期間
- 就業場所、従事する業務
- 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無
- 休憩時間、休日、休暇
- 賃金の決定、計算・支払いの方法
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
- ほか、会社が制度を設ける場合に明示しなければならない事項(昇給、退職手当、賞与、休職など)
雇用契約書に記載されている内容と実際の労働環境が大きく異なる場合や、パワハラやセクハラなどをはじめとしたハラスメントに遭ってしまった場合には、退職に関する事項に「退職する日の何日前までに届出をする必要があるか」などの記載があっても、すぐに退職できる可能性があります。なぜなら、会社側からの雇用契約違反となるからです。
上司や人事部には相談しにくいという場合にも、労働基準監督署や最寄りのハローワークに問い合わせ、記載されている雇用契約書の内容が法的に正しいかどうかを相談してみるのもよいでしょう。
さらに、「最低賃金以下の給与だった」「安全や健康を害するような労働環境だった」など、労働基準法違反があった場合にも、従業員はすぐに雇用契約を解除できます(労働基準法第15条第2項)。
違反があった企業には労働基準監督署から是正勧告がなされ、勧告を受けた企業は定められた期日までに違反事項を改善し、結果を労働基準監督署に報告しなければならなくなります。
是正勧告を無視したり改善が認められない場合には、刑事事件として立件されることも。立件された企業は企業名を公表されるため、社会的信用を失うことなります。罰則の内容によっては、懲役や罰則もあります。
雇用契約違反による裁判の事例は、厚生労働省「多様な正社員の雇用ルール等に関する主な裁判例」(PDF)などで公表されています。また、ハローワークでも、労働関係法令違反がある企業の新卒求人を受け付けない旨を明言(PDF)しています。
適切な機関に相談することは、次なる被害者を産まないためにも、とても大切な行動です。
パワハラやセクハラに有効な証拠集め
過去記事「ハラスメント被害にあった上、非情な退職勧告。会社都合で離職するための7つのコツ」でも紹介したように、ハラスメント被害などがあった場合には、証拠を持参することでハローワークを通して会社都合退職に変更してもらえる可能性があります。
退職理由の交渉が難しい場合にも、スマホアプリやICレコーダー、カメラ撮影などでハラスメントの証拠を残しておくことや、いつ何があったかのメモ(日常的に被害があったことの証明に)を用意してハローワークに相談をしてみましょう。
iPhoneで使えるAI録音アプリ「Voistand」では、ハラスメント・いじめ・DVといった「いつ起きるかわからないコミュニケーショントラブル」に寄り添った機能が搭載されています。
- バックグラウンドでの長時間録音が可能
- スマホの容量を気にしなくてもよいクラウドデータ保存
- カレンダーUIなので、いつどこでの録音かがわかりやすい
- AIベースの自動文字起こし機能がある
- 過去の音声データの取り込みや文字起こしが可能
など、ハラスメントなどに悩まされている人を助けるための機能が充実しています。
まずは無料で利用できますので、ぜひお試しください。
iOS版(App Store) | https://apps.apple.com/jp/app/id1544230010#?platform=iphone |
Voistandをさらに詳しく知りたい人は、ぜひ以下の過去記事をご覧ください。
過去記事:録音や音声メモに無料スマホアプリ「Voistand」を使おう。その7つのメリットとは?
まとめ
いかがだったでしょうか?
2025年度新卒は人手不足による求人倍率の増加(1.75倍に)や、高額な初任給で募集を行う企業の増加など、新卒者にとってはこれまで以上に好条件といえる採用年度でした。そのため、新卒採用競争の激化によって、企業側の制度や受け入れ態勢が整っていない場合も考えられます。
退職代行などの便利なサービスも増加していますが、今後の長い社会人生活で身を守る術として、雇用や労働に関する法律や行政サービスを積極的に学んでみるとよいかもしれません。