社会人でよくセミナーに参加して勉強している人。資格取得やスキルアップのためにスクールに通っている人。学生で日ごろから授業や講義に出席している人。
復習などのために、音声を録音している人がきっといらっしゃるでしょう。
セミナーや授業で学んだことは、数年後に音声を聞き返すと、また新たな発見があるもの。当時に比べて知識や経験が増え、同じ物事でも違った見方や考え方ができるようになっていることが大きな理由です。また、興味や関心の持ち方が、当時とは異なることもあるでしょう。
それでは、ボイスレコーダーでセミナーや授業を録音し、自分の「学びのヒストリー」を作る楽しさを説明していきます。
音声学習の効果とメリット
ここであらためて、音声学習の効果を確認しておきましょう。
音声学習は、聴覚を通して、脳に直接、外部刺激を与える学習法であることから、潜在意識に刷り込まれやすいといわれています。特に就寝前が効果的だとか。何度も聞き返すことで、記憶にも定着しやすくなるでしょう。
また、語学学習で耳を鍛える(音声知覚を発達させる)には、直接の会話を除いては、音声データを利用するしかありません。いくらテキストで勉強したり、自分で読み上げたりしても耳を鍛えられないため、語学の上達には音声学習が不可欠です。
音声学習には、次のようなメリットもあります。
- 目が自由に使える
- 両手が自由に使える
- 速度調整ができる(倍速で聞けるなど)
- 通勤中や通学中に聞ける
- ながら学習ができる
学習する内容によっては適さない場合がありますが、忙しい現代人にとって「ながら学習」はありがたいもの。たとえば単純作業の際は、何かを聞きながら進めたほうが、ストレスの軽減にもつながります。
Amazonがオーディオブック「Audible(オーディブル)」で、音声による読書体験を提供しはじめたのも、このような利点やニーズを考えてのことです。
5W2Hを記録しておこう
さて、録音した音声をアーカイブ化するにあたって大切なのは、5W2Hを意識することです。具体的には、音声データのメタ情報やコメントとして次の事柄を記録しておくのがベストです。
- いつ(When)
- どこで(Where)
- 誰が(Who)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
- いくらで(How much)
たとえば、ある有料セミナーに参加した場合は、次のように記録しておくとよいでしょう。
- 2019年9月1日(日)14:00-16:00
- 文京シビックセンター 会議室2
- 吉田 義雄
- 海の生物の不思議
- 新江ノ島水族館に行ったときに、海の生物に強い興味を抱いたため
- クラゲ、軟骨魚類、深海生物などの進化の謎をわかりやすく説明してくれた
- 1,500円
このような情報をていねいに記録しておくことで、いざ聞き返そうと思ったときに、そのときの記憶が鮮明によみがえるはずです。
そして、自分の「学びのヒストリー」へ
録音した音声は、1年に1回「棚卸し」をしましょう。不足している情報を補いながら、タグ付けやフォルダ分けをしておくと、探しやすさが高まります。
このような作業によって、自分がこの1年間、どのようなことに興味をもってきたのかがわかります。数年分のアーカイブが貯まれば、年ごとの学びのテーマが浮き彫りになるはずです。
それらは、いわば自分の「学びのヒストリー」なのです。
学びのテーマ同士は、まったく関連がないように見えても、共通の問題意識から発していたことが数年後にわかるかもしれません。たとえば「科学史」と「宗教」に興味をもっていたのは、実は「戦争」の原因を知りたかったからだ、などです。
このような発見が、これまでの学びの整理につながるのはもちろん、これからの学びの指針にもなるはずです。